衆議院

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昭和四十七年四月二十八日受領
答弁第八号
(質問の 八)

  内閣衆質六八第八号
    昭和四十七年四月二十八日
内閣総理大臣 佐藤榮作

         衆議院議長 (注)田 中 殿

衆議院議員沖本泰幸君提出報道機関の報道及び取材の自由に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員沖本泰幸君提出報道機関の報道及び取材の自由に関する質問に対する答弁書



一 報道機関の報道が「国民の「知る権利」に奉仕するもの」であり、「報道のための取材の自由も憲法第二一条の精神に照らし、十分尊重に値いするものといわなければならない」ことは、最高裁(昭四四・一一・二六大法廷決定)の明言するところであり、政府としても、報道機関が国政に関して取材しようとすることそのことを制限するようなことは、全く考えていない。たゞ、質問が「その取材対象について絶対に制限を加えるべきではない」とし、報道機関が取材の対象としたことがらについては、国家機関はすべてこれに応ずべきであり、その公表の可否はもつぱら「報道機関の自主的な判断に委ねるべき」であるとしている点については、首肯しがたい。けだし、国家機関がその任務を遂行していくうえにおいて、あることがらを「秘密」として秘匿することが国益に合致する場合があることは否定できないところであつて、さればこそ、議院における証人の宣誓及び証言等に関する法律(第五条)、民事訴訟法(第二七二条)又は刑事訴訟法(第一四四条)が職務上の秘密についての公務員の証言拒絶の制度を認めているものと解されるからである。
  したがつて、報道機関が取材の対象としたことがらについて、それが「秘密」として秘匿されるべきものに当たる場合に政府がその取材に応じなかつたとしても、そのことが報道機関の取材の自由を不当に制限したり、又は国民の「知る権利」を封殺するものであるというのは当たらない。

二 国家公務員法第一一一条に規定する「そそのかし」とは、同条に定める一定の「違法行為を実行させる目的をもつて、他人に対し、その行為を実行する決意を新たに生じさせるに足りる慫慂行為(昭四四・四・二最高裁大法廷判決(国家公務員法違反等被告事件)参照)をいうものと解されるところ、報道のための取材の自由が、一に述べたとおり、憲法第二一条の精神に照らし、十分尊重に値いするものであることはいうまでもないとしても、それは、もとよりなんらの制約を受けないものではなく(昭四四・一一・二六最高裁大法廷決定及び昭三三・二・一七最高裁大法廷決定参照)、また、国家公務員法第一一一条は、その規定の文言に徴しても、その対象を国家公務員のみに限定することはしていないのであるから、報道機関の取材行為であつても、その手段方法のいかんによつては、国家公務員法第一一一条の適用をみることとなることは当然であろう。このことは、報道機関の取材のための「手段方法は、法秩序のもとに他の法益を侵さないように行なわれなければならないことは当然である」(昭四四・三・一八東京高裁判決(確定))とされていることからも明らかである。
  もとより、報道のための取材の自由は、十分尊重されるべきものであり、右の限度を越えない限り、報道機関の取材行為に対して国家公務員法第一一一条が適用されることはありえないと考えられる。

 右答弁する。


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