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答弁本文情報

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昭和四十七年七月十八日受領
答弁第六号
(質問の 六)

  内閣衆質六九第六号
    昭和四十七年七月十八日
内閣総理大臣 田中(注)榮

         衆議院議長 (注)田 中 殿

衆議院議員土井たか子君提出瀬戸内海の海水汚濁対策に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員土井たか子君提出瀬戸内海の海水汚濁対策に関する質問に対する答弁書



一(一) 現行の大気汚染防止法では、いおう酸化物については、ばい煙発生施設ごとの排出量を対象とするものであるが、この排出基準は、環境基準を維持達成するため、地域総量規制の見地から地域内の全対象施設の排出総量が一定限度以下となるように設定している。
     ばいじんや有害物質等に係る排出基準は全国一律の濃度による規制措置がとられているが、都道府県は、地域の実情に応じ条例でよりきびしい排出基準を定めることができることとしている。

 (二) 現在の水質汚濁防止法による排水規制は、全国一律の基準による規制であるため、濃度による規制措置がとられているが、都道府県は必要に応じ、排水量を勘案して上乗せ排水基準を設定することができることとされている。

 (三) しかし、長期的には、いかなる方法による規制が有効かつ合理的であるかについて検討することが重要であるので総量規制を含めた規制方式の可能性について鋭意検討してまいりたい。

二(一) 大阪湾については、近畿圏の既成都市区域における工場等の制限に関する法律により、原則的に工場等の新増設を規制しており、また、工業再配置促進対策により、これらの地域の工場の分散を促進し、環境の改善を図ることとしている。
     また、瀬戸内海全域についても、瀬戸内海環境保全対策推進会議を設置し、その環境保全に関する将来計画等を検討しているので、これらの結果をもふまえ、今後工場立地について、瀬戸内海の環境保全を十分配慮した指導を行なつてまいりたい。

 (二) また、海上埋立については、公有水面埋立法の適用に際して環境保全の見地から免許条件等を厳格に適用してきたところであるが、今後環境保全についてより一層万全を図るため、同法を実情に応じ得るように改正することも検討したい。

三 瀬戸内海において近年発生する赤潮等の現象は、富栄養化にその一因があると考えられ、海洋投棄にかかるし尿や下水等各種排水に含まれる窒素やリンがその原因ではないかとする説が有力である。し尿の海洋投棄については廃棄物処理施設整備緊急措置法に基づき、新たに策定する廃棄物処理施設整備計画で、昭和五十年度末を目標にその全面解消を計画しており、瀬戸内海については昭和四十八年四月一日以降、し尿の投棄を全面的に禁止することとしている。
  また、下水道の整備については、全国の市街地に下水道を整備し下水を完全に処理できる時期としては昭和六十年を長期的な目標年次としているが、瀬戸内海関連地域については、水質環境基準の設定状況を勘案し、下水道の整備を促進していく方針である。
  当面下水道整備緊急措置法に基づき、第三次下水道整備五か年計画により、昭和四十六年度から五十年度までの五か年間に瀬戸内海に関連する大阪府ほか十三府県の関連地域のうち特に水質汚濁対策上重要な地域に重点をおき、整備することとしており、昭和四十五年度末における普及率約二十二・七パーセントを昭和五十年度末において約三十八・四パーセントに高める予定である。また、赤潮の原因と考えられる窒素やリンを除去するためには、現在の二次処理より更に高度な三次処理が必要であり、三次処理技術の開発とその実用化について鋭意調査研究を行なつているところであり、早急に具体化を図つていく方針である。

四 水質汚濁および大気汚染等の公害の防止対策の基礎となる科学的な調査については、環境庁をはじめ関係省庁において積極的に実施しており、これらの予算については環境庁の行なう調整によりその総合的な推進を図つてきたところである。特に瀬戸内海等の沿岸海域の汚染防止については瀬戸内海水質汚濁総合調査等により実態調査を強力に進めるとともに、大型水理模型実験施設の整備をはじめとして関連試験研究の充実を図つている。
  また、環境問題を科学的な立場に立つて総合的、多角的に解明し、合理的な対策の基礎を与える機関として昭和四十八年度中に国立公害研究所を設立することとし、現在その建設の準備に着手している。
  最後に、瀬戸内海の環境保全施策をどのような法律、組織のもとにすすめていくかということについては、まず、瀬戸内海環境保全対策の内容を固めることが重要である。このため、汚染の実態、メカニズムの解明を急ぎ、これをふまえて沿岸地域の開発のあり方について環境保全面から具体的にどうすべきかを明確にする、いわば「環境保全マスタープラン」というべきものをまとめることとしており、その際、これを現実に実施していくにあたつて特段の立法が必要かどうかについてもあわせ検討してまいりたい。

 右答弁する。




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