答弁本文情報
昭和四十八年二月二十日受領答弁第一号
内閣衆質七一第一号
昭和四十八年二月二十日
衆議院議長 中村梅吉 殿
衆議院議員赤松勇君提出医薬分業の推進に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
衆議院議員赤松勇君提出医薬分業の推進に関する質問に対する答弁書
一について
数量的にみた医薬分業の実施状況は次のとおりである。(社会保険診療報酬支払基金の資料による。)
(1) | 社会保険における処方箋発行枚数 | ||
昭和三十一年度 | 五二、九七四枚 | (指数 一〇〇) | |
昭和四十六年度 | 三、三七九、五四七枚 | (〃 六三七九) |
(2) | 社会保険診療報酬額(昭和四十六年度) | ||
医療費総額 | 一、〇四三、五七三、五三〇千円 | (一〇〇%) | |
調剤金額 | 四、五七六、〇四三千円 | (〇・四四%) |
政府は、昭和四十五年度に薬剤師数の予測に関する研究を行ない、また、昭和四十六年度以降都道府県薬剤師会の設置する医薬品検査センターの検査設備整備費に対する国庫補助を行なつているほか、調剤専門薬局の整備、無薬局地域の解消等薬局側の受入れ体制の整備に関して所要の措置を講じている。また、広報活動、各種催物の開催等を通じて薬局及び薬剤師の社会的役割について国民に対する積極的な啓発宣伝を行なうなど、医薬分業の意義の徹底に努めている。
薬局側の受入体制の整備に関しては、薬局の整備、特に医療金融公庫の貸付け等を通じて調剤を行なう機関としての薬局の整備に努めるとともに、薬剤師の資質の向上等のための施策を講じている。また、医薬品の管理等のため、昭和四十六年度及び昭和四十七年度において都道府県薬剤師会の設置する医薬品検査センターの検査設備整備費に対する国庫補助を行なつたが、引き続き昭和四十八年度においてもこれを実施する方針である。
昭和三十五年度以降医療金融公庫が薬局に対して行なつた貸付件数及び貸付金額は次のとおりである。
なお、現在医療金融公庫による融資制度が設けられているため、これと別個に薬局の受入体制整備のための金融公庫を創設する考えはない。
医薬分業の推進については、医師の技術料等の適正な評価との関連を検討すべきであるとの意見もあるが、これら診療報酬の問題については、従来から中央社会保険医療協議会の答申に基づいてその適正化が図られており、今後も引き続き診療報酬の適正化について審議が行なわれるものと思われるので、その結論をまつて善処いたしたい。
医薬分業については、薬局側の受入体制を整備する等、分業の基礎的条件をととのえるとともに、国民にその必要性を周知徹底することに努力を払うことを通じて、その推進を図つていく方針を既に明らかにしているところであり、今後ともこの方針のもとに逐次分業の実施を推進していく所存である。
現在特段の医薬品市場の混乱や不良医薬品の服用による医療事故の発生をみているとは考えていないが、いずれにせよご指摘のとおり薬局側の受入れ体制の整備による医薬分業の推進は、国民医療の向上を期するため必要と考えているので、今後さらにその推進を図つていく所存である。