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答弁本文情報

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昭和四十八年七月二十七日受領
答弁第一四号
(質問の 一四)

  内閣衆質七一第一四号
    昭和四十八年七月二十七日
内閣総理大臣 田中(注)榮

         衆議院議長 前尾繁三郎 殿

衆議院議員赤松勇君提出朝鮮の統一に関する再質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員赤松勇君提出朝鮮の統一に関する再質問に対する答弁書



(一)の一の(2)について

 政府としては、これまで再三明らかにしてきたとおり、民族の悲願である統一の実現を目指して行われている現在の南北対話を阻害してはならないというのが基本的立場である。このような観点から政府としては、南北間の対話の基礎となつている現在のバランスを急激に崩す虞のあるような措置をとることを慎しむことこそ、南北対話進展のためにふさわしい国際環境を作つていくゆえんであると考えており、このような立場に立つて今後とも朝鮮半島政策を推進する方針である。
 なお、今秋の国連総会における朝鮮問題の審議に際しても上述のような基本的立場を踏まえて対処したいと考えている。

(一)の一の(3)イについて

1 南北両朝鮮を対等に扱うべきか否かは、我が国の対外関係全般、南北対話への影響等諸般の要素を総合して判断すべきである。この意味で、我が国としてはあくまでも韓国との友好協力関係の維持発展が第一であり、現状においては北朝鮮との関係はおのずから限られた範囲のものたらざるをえないと考える。

2 御質問の後段の点については「アジアの平和と緊張緩和」及び「朝鮮半島の平和的統一」ということには南北両朝鮮の態度、両者間の関係、南北両朝鮮と諸外国との関係等様々な要素が関連しており、我が国が南北を対象に扱う方針を打ち出せばそれ自体アジアの平和と緊張緩和に寄与し、また朝鮮半島の平和的統一の機運に好影響を与えるとは限らないと考える。

(一)の一の(3)ロについて

 政府としては、既に答弁書をもつてお答えしたとおり、現在の段階で北朝鮮承認を考慮するのは時期尚早であると考えているが、その理由を敷術すれば次のとおりである。

1 現在行われている南北対話は、南北間で保たれている微妙なバランスのうえに成り立つており、この南北対話が今後とも続けられ、実質的な成果をあげるためには、何よりもこのバランスに配慮する必要がある。我が国としては、この現在あるバランス関係に急激な変化を与えるような措置をとることは極力慎しむべきであり、南北間の自主的な話し合いの帰趨をあくまで尊重していくべきである。

2 前記1に関連して、我が国としては、ソ連、中国等の社会主義諸国の韓国に対する態度も考慮する必要がある。現在のところソ連、中国等社会主義諸国は韓国承認に向けて何らの動きも示していない。かかる点も我が国の北朝鮮との間の外交関係樹立について考慮せねばならないところである。

3 去る六月二十三日、韓国及び北朝鮮はそれぞれ統一及び国連加盟に関する提案を行つたが、南北の平和的共存、国連同時加盟を骨子とする韓国側提案と、国連同時加盟に反対し連邦国家をつくり単一国号で国連に加盟すべきだとする北朝鮮側提案との間にはかなりの立場の隔たりがあり、政府としては今後の事態の発展を更に見極める必要がある。
  特に、北朝鮮はWHOのような既に韓国が加盟している国際機関に併行加盟し、また既に韓国と外交関係を有する国と外交関係を設定する等、事実上「二つの朝鮮」を作り出しつつある面もあり、これと今回の提案とを対比するとその真意が必ずしも明確でないので、これをよく見極める必要がある。

(一)の一の(3)ハについて

 政府は、韓国が長期的に均衡のとれた健全な経済発展をとげ、真の繁栄と民生の安定がもたらされることが最も重要であるとの基本的認識の下に対韓経済協力を進めており、これを「日本の経済侵略」とするのは当たらない。
 このような対韓経済協力は、もとより南北統一を阻害するものとは考えられず、韓国の繁栄と民生の安定に協力することが北朝鮮を敵視するものであるとの考え方は政府として理解し難いところである。

(一)の一の(5)について

 (一)の一の(3)ロでお答えしたとおりである。

(二)の二の(2)及び(3)について

 政府は今秋の国連総会において朝鮮問題は審議されることになるものと予想しているが、国連総会の開催は二ヵ月先のことであり、国連における本件をめぐる情勢も十分に固まつていないので、政府としては情勢の進展を見守りつつ、関係国と協議し、検討を重ねた上で、本問題に臨む具体的対処方針を固めてゆくこととしたい。
 なお、UNCURKと国連軍の取扱いに関する政府の基本方針は、先般の質問主意書に対する答弁書の二の(2)及び(3)で述べたとおりである。

 右答弁する。




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