答弁本文情報
昭和四十八年九月二十八日受領答弁第二一号
内閣衆質七一第二一号
昭和四十八年九月二十八日
国務大臣 三木武夫
衆議院議長 前尾繁三郎 殿
衆議院議員金瀬俊雄君提出成田暫定パイプラインの安全対策に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
衆議院議員金瀬俊雄君提出成田暫定パイプラインの安全対策に関する質問に対する答弁書
一について
(1) 石油パイプライン事業法第二条及び同法施行令第二条によれば、導管の延長が十五キロメートル以下のものは、同法の適用対象から除外されている。成田暫定パイプラインは、その延長が約七・八キロメートルであり、また、本格パイプラインの供用開始まで使用するものであつて、その一部に本格パイプラインを構成する部分を含んでいても、暫定パイプライン全体が本格パイプラインの一環として機能することとはしていないので、本格パイプラインの分枝とはみなされず、従つて石油パイプライン事業法の適用対象とはならない。
(2) 十五キロメートル以下の事業用石油パイプラインは、石油パイプライン事業法の適用を受けないが、順次その全長を延伸していくような事業用パイプラインは、その全長が十五キロメートルをこえた段階で石油パイプライン事業法の規定に基づき事業規制を受けることとなる。
(3) 新東京国際空港公団(以下「公団」という。)より千葉市新港から成田市三里塚まで航空タービン燃料油輸送のための石油パイプライン事業について、石油パイプライン事業法施行令附則第二項の規定の届出が昭和四十八年一月二十四日運輸大臣に対しなされた。
公団はこの届出により、同法施行令附則第二項の規定に基づき、同法第五条第一項の許可を受けたものとみなされる。
(4)から(11)まで 公団の本格パイプラインについては、石油パイプライン事業法施行前からその工事は継続して行われており、また、公団は新東京国際空港公団法第二十四条に基づく業務方法書に基づき運輸大臣の承認を受けた新東京国際空港公団航空機給油施設の建設及び管理規程に従つて、安全性の確保を十分考慮してその工事を進めてきたところである。
石油パイプライン事業法に基づく技術基準の詳細が未定であつたので、工事計画の認可の申請が行われていないが、当該技術基準の細目が告示されれば、早急に所定の手続を講ずることとなつている。
なお、工事計画の認可の申請は、運輸大臣及び自治大臣に対してなされることとなるが、その期限については、石油パイプライン事業法に基づく技術基準に関する告示が現在制定されていないため、まだ指定していないが、告示が制定され次第、指定を行うこととしている。
(12) 本格パイプラインの一部を、一時的に暫定パイプラインとして使用することとしているが、これによつて本格パイプラインに係る公団の届出事項の内容が変更されることとはならない。
(1)及び(2) 石油を圧送するための導管等の道路の占用については、道路の構造及び交通に及ぼす影響が大きいので、従来からその道路の占用の許可に当たつては建設省への事前協議を求めているところであり、成田市においても、昭和四十八年五月二十三日事前協議を行つた。
その内容は、道路の占用の目的、期間、場所、占用物件の構造、工事実施の方法、その他必要な事項であり、これに対し昭和四十八年五月二十五日、本件占用の許可に当たつては、道路法第三十三条の規定によるほか、公団が事業実施に当たつて、予定される石油パイプライン事業法の技術基準に準じた措置をとることを確認すべき旨の行政指導を行つた。
(1)及び(2) 道路の占用の許可は道路法第三十三条の規定に照らし行われるものであるが、本件成田暫定パイプラインの道路の占用の許可は、更に住民の代表たる議会の意志を十分尊重すべきであるとの成田市長の判断のもとに、たまたま付議されていた「燃料パイプ埋設道路占用許可申請の不許可に関する請願」に関する市議会の意思決定を待ち、不採択と議決されたのち行われたものである。このことは、御指摘の監査の結果においても述べられているところであり、本件道路の占用の許可が住民無視の状態を引き起こしたものとは考えられない。
(3) 公団としては、暫定パイプラインの敷設に当たり沿線地区に対して十数回にわたり話合いを行い地元の理解と協力を得るよう努めているところである。
(1)から(3) まで公団が現在までに埋設した石油パイプラインの導管の熔接部については、内部線源方式によるX線検査は行つていない。
公団の「熔接部の非破壊検査基準」に基づく撮影方法によれば「撮影方法は管内に線源を配置する一重壁単影像法を採用することを原則とする。但し構造上この撮影法によることが出来ない場合等は管外に線源をおく一重壁または二重壁単影像法によることができる。」となつている。
公団が現在建設中の石油パイプラインの導管は、内径約三十三センチメートルで管内に線源を配置する一重壁単影像法を採用することは困難であつたため、現在までに埋設した熔接部については前述の「熔接部の非破壊検査基準」に基づき、管外に線源をおく二重壁単影像法によつたものと承知している。
(4)から(6)まで 今後公団が建設を進める新空港に係るパイプラインの熔接部検査については、一応外部線源方式によることを考えているが、もしこれ以外の適切な方式が実用化されれば、その採用も検討する考えである。
一方、国鉄のパイプライン建設に当たつては、内部線源方式を原則としているが、これによることができない箇所については外部線源方式によることも考えている。
公団・国鉄両者とも、いずれの方式によるにしてもパイプラインの安全性は十分確保させる考えである。
技術基準に適合しない箇所については、適合させるべく所要の措置を行わせるものであり、その結果については完成検査等により確認されることとなつている。