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答弁本文情報

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昭和四十九年六月七日受領
答弁第三四号
(質問の 三四)

  内閣衆質七二第三四号
    昭和四十九年六月七日
内閣総理大臣 田中(注)榮

         衆議院議長 前尾繁三郎 殿

衆議院議員加藤清政君提出北方領土問題等に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員加藤清政君提出北方領土問題等に関する質問に対する答弁書



一について

 昨年秋、田中総理訪ソの際の日ソ首脳会談において、平和条約締結交渉を本年中適当な時期に行うことに合意済であり、過般来年内実施を期してその時期等についてソ連側と協議中である。
 また、総理訪ソに際し、ブレジネフ共産党書記長、ポドゴルヌイ最高会議幹部会議長及びコスイギン首相は原則的に訪日招待を受諾しているので、日本側としてはいずれかの首脳の早期訪日実現を期待しており、これが実現すれば、その際平和条約についても話合いを行う方針である。

二について

 ソ連側は、従来、日ソ間の領土問題は戦後の諸国際協定及び日ソ共同宣言(日ソ共同宣言第9項においてソ連側は歯舞群島及び色丹島を平和条約締結後に日本に引き渡すことに同意している。)によつて解決済であるとの主張を行つてきたが、これに対し、我が国は一貫して歯舞群島、色丹島のみならず、国後島及び択捉島の両島が歴史的にも法的にも我が国固有の領土であるので、これら北方四島の返還を要求するとの立場を堅持し、総理訪ソの際も、総理大臣よりこの我が方の立場を強く主張し、ソ連側の大局的見地からの英断を求めた結果、前述のごとく解決済との立場をとつていたソ連側が、領土問題が平和条約締結によつて解決さるべき戦後の未解決の問題であることを認めるに至つた。
 政府としては、日ソ首脳会談の成果を踏まえ、四島の復帰を図るため今後とも粘り強く折衝を続ける所存である。

三について

 政府は、従来からあらゆる機会をとらえ日ソ間に真の善隣友好僕係を確立するためには北方領土問題を解決し、平和条約を締結することが不可欠である旨主張して来たところ、前述のとおり、総理訪ソに際しての首脳会談において、ソ連側は、領土問題が平和条約締結によつて解決さるべき戦後の未解決の問題であることを認め、この未解決の問題を解決して平和条約を締結することが日ソ両国間の真の善隣友好関係の確立に寄与する旨日ソ共同声明に明記することに同意した。

四について

 政府としては、シベリアの天然資源開発協力問題と北方領土問題とは直接の関連がないと考えており、また、ソ連側としても、両者を結びつける考え方はとつていないと考える。
 現在日ソ当事者間で話合いが行われているシベリア天然資源開発にかかわる各プロジェクトに対し、政府としては、右話合いが日ソ当事者間でそれぞれ満足の行く形でまとまれば信用供与を含め必要な協力措置をとるとの基本的立場で対処しているが、プロジェクトの規模が大きくかつ複雑になつていることもあり、できるプロジェクトから一つずつ片づけていくのが現実的であり、またこのうち特に石油及び天然ガス等の巨大な資金及び高度の技術を必要とする大規模なプロジェクトについては、米側の参加が望ましいと考えている。

五について

 北方海域における安全操業問題は、あくまでも拿捕という不幸な事件をなくすため、平和条約締結までの暫定措置として領土問題及び領海幅員に対する双方の基本的立場を害することなく、人道的立場より実際的解決を図るとの基本方針の下で対ソ折衝を行つてきているが、本件の主要問題である対象水域の範囲及び取締りについてソ連側の態度は依然として固い。
 しかしながら、昨年十月の櫻内・イシコフ会談の際、近い時期に交渉を継続することが合意されている本件につき、その早期妥結のため引き続き努力を払つていく所存である。

六について

(一) 政府は、北方地域への墓参について人道的見地から、遺族の希望に沿つて実現できるよう従来よりソ連側と鋭意折衝してきており、昨年十月の総理訪ソの際にも、総理大臣より、墓参に対する日本人の心情を説明の上、墓参の実現許可方要請したのに対し、ソ連側は、日本側の要請をしかるべき注意をもつて検討する旨約した。

(二) 本年度の墓参については、去る四月二十四日ソ連本土、樺太への墓参とともに、北方諸島の四か所(歯舞群島、色丹島、国後島及び択捉島の各島一か所)についても、墓参許可方ソ連側に対し申入れを行つた。右申入れに対するソ連側よりの回答は、未だ受け取つていないが、政府としては、総理訪ソの際の右経緯にかんがみ、本年度の墓参ができる限り遺族の希望に沿つた形で実現するよう今後とも努力する所存である。

 右答弁する。




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