答弁本文情報
昭和四十九年八月六日受領答弁第五号
内閣衆質七三第五号
昭和四十九年八月六日
衆議院議長 前尾繁三郎 殿
衆議院議員美濃政市君提出消費者米価に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
衆議院議員美濃政市君提出消費者米価に関する質問に対する答弁書
一について
今回の政府買入価格の大幅な引上げにより、両米価の逆ざやは一層拡大することとなるが、このような両米価の大幅な逆ざや関係は、財政上、食糧管理制度運営上種々問題を生ぜしめるので、早急にその是正を図る必要があると考えている。
他方、今後の物価動向とその消費者家計に及ぼす影響についても十分留意していく必要があるものと考えられる。
このような理由から米の政府売渡価格については、物価動向、国民生活への影響及び食糧管理制度の運営等に十分配慮して適正な改定を行いたいと考えている。
売渡価格の改定があつた場合、米価の引上げ前に消費者によるある程度の仮需要が発生することはありうると思われるが主食用うるち米についてはその大半が政府の直接管理下にあり、かつ、政府としては、従来から需要に応じ十分な供給を行つておるところでもあり、販売業者等に対し大口消費者の過大な需要を抑制するよう指導するとともに消費者に対し米の供給に全く不安がないことを十分PRすれば、新米出回り期を控えていることでもあるので大きな混乱の発生は避けられると考える。
また、販売業者等流通段階において不当に買占め、売惜しみ等が起るようなことは厳に抑制すべきであり、いやしくもそのような事態を生ずることのないよう政府売却数量の割当てを適正に行うとともに、売却の実施状況について常時的確には握し、厳正な指導を行うこととしている。
更に万全を期するため、あらかじめ消費地在庫を十分に積増ししておくとともに、スポット的に生ずる緊急な需要等消費者の需要に弾力的に対応するため、都道府県に売却数量の調整枠をもたせる等の特別措置を講じることとしている。
食糧管理法においては、両米価の算定に当たつてはいずれについても「経済事情」を参酌すべきこととされているところであり、両米価決定に当たつてその相互の関連を考慮することは許されるものと考えており、食糧管理制度の適切な運用を期する上においては、両米価の相互の関連性に十分配慮して処理すべきものと考えている。
最近における国際的な食料の需給事情からみて、国民の基礎的な生活物資である食料については、極力国内で生産し自給力を維持向上していくことが基本的に重要であると考えている。
このような観点に立つて、米、野菜、果実、鶏卵、肉類、牛乳・乳製品等については完全自給ないしは八割以上の自給率を確保することとし、そのために最大限の政策努力を傾注しているところである。
なお、農産物需給の長期展望とそれに基づく生産目標については、現在農政審議会において検討中であるが、今後これらの検討結果を踏まえて対処してまいりたいと考えている。