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答弁本文情報

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昭和四十九年八月六日受領
答弁第八号
(質問の 八)

  内閣衆質七三第八号
    昭和四十九年八月六日
内閣総理大臣 田中(注)榮

         衆議院議長 前尾繁三郎 殿

衆議院議員堀昌雄君提出政府の緊急物価対策に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員堀昌雄君提出政府の緊急物価対策に関する質問に対する答弁書



一について

(1) 最近の物価動向をみると、総需要抑制策の効果の浸透もあつて需給の緩和が進み、物価の騰勢にもやや落ち着きがみられるが、先行き設備投資や消費需要が強含みである上、輸出需要も堅調であることから、需要面には底固さがうかがわれる。これに加え、今後エネルギーコストの上昇、賃上げ等コスト上昇要因の波及的影響が懸念される。

(2) 物価の鎮静化傾向を定着させるため、総需要抑制策を堅持する必要があり、このため、金融政策は引締め基調を継続するとともに、財政、特に公共投資についても同様に引き続き抑制的態度を維持する必要があるものと考えている。ただし、中小零細企業など特定の分野については、必要に応じて、総需要抑制の枠内で弾力的に配慮してまいりたい。

(3) なお、設備投資等の抑制措置については、抑制方針を引き続き維持する必要があるものと考える。将来供給力確保の観点から問題のある懐妊期間の長い一部産業分野における設備投資についても、今後の需給状況、原料事情等の変化に配慮しつつ、総需要抑制の枠内において、着工の時期、対象等について慎重な検討を行つてまいりたい。

二について

 現在、公正取引委員会において、私的な諮問機関である独占禁止法研究会を設け、御指摘の諸点を含め、鋭意検討を進めている一方、経済関係各省においても、これについて検討中の段階であり、政府としても、これらの検討の結論をまつて、総合的に判断し、対処してまいりたい。

三について

 政府は、公共料金については従来から極力抑制的に取り扱つてきたところであるが、料金の抑制によりコスト上昇の吸収ができず、企業の存続・維持が困難になると考えられるような場合、公共サービスの量的、質的水準の大幅な低下を招くような場合等、真にやむを得ないものについては、必要最小限度の改定を認めてきたところである。今後とも、公共料金については、物価動向及び国民生活への影響や、負担の適正化、合理化等に十分配慮し、極力抑制的に取り扱つてまいりたい。
 米については、(イ)大幅な逆ざやの存在が財政を圧迫していること、(ロ)いわゆる不正逆流が増大するおそれがあること、(ハ)米代金の家計に占める割合等諸般の事情を踏まえ、家計その他の経済事情をも十分考慮しつつ、末端逆ざやの解消を目途に政府売渡価格の引上げを行うこともやむを得ないと考えている。
 もとより物価の安定は現下最大の政策課題であり、米価の引上げを行うに当たつても、政府としては食糧管理や米消費の実情について国民に理解を求めるとともに、便乗値上げを厳に抑制し、物価の大幅な上昇を再現することのないよう現在の総需要抑制策を堅持していく考えである。

四について

(一) 所得税については、昭和四十九年度の税制改正において初年度一兆四千五百億円(平年度一兆七千二百七十億円)の大幅な減税を行い、この結果、課税最低限は夫婦子二人の給与所得者の場合百十二万円(昭和四十八年分)から一挙に百五十万円(平年度百七十万円)へと引き上げられたところである。この水準は諸外国の水準を相当上回るものであり、最近の国民生活の実情等からみても十分なものと考えている。
    物価上昇による国民生活への影響の問題については、総需要抑制政策を堅持する等、物価対策に全力を挙げることにより対処してまいる所存であり、年内減税を行うことは考えていない。

(二) 消費者物価が大幅に上昇しているため預貯金金利引上げの要請が強いことは事実である。
    こうした預貯金者の立場を考慮しつつ、昨年以降四回にわたり預貯金金利引上げを実施する等できるだけの配慮をしてきたところであるが、預貯金者の利益を守るためには、正統的な総需要抑制策の堅持により、物価の安定を図ることが肝要であると考える。

五について

 生活扶助基準、社会福祉施設の運営に係る入所者処遇費及び失業者就労事業に就労する者に支払われる賃金については、四十九年六月から六パーセントの再引上げが行われたところであるが、今後とも物価の動向あるいは失対就労者の生活実態等社会経済情勢の推移に応じ、適切に対処してまいりたい。
 厚生年金保険、船員保険及び国民年金については、四十八年度の改正により、年金額の実質価値を維持するために物価自動スライド制が導入されたところであり、近時の著しい物価上昇にかんがみ、四十九年度は特に支給時期を繰り上げ、厚生年金及び船員保険については八月分から、国民年金については九月分から、四十八年度の消費者物価の上昇率(一六・一パーセント)により年金額を引き上げることとしている。

 右答弁する。




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