答弁本文情報
昭和五十年五月十六日受領答弁第一六号
内閣衆質七五第一六号
昭和五十年五月十六日
衆議院議長 前尾繁三郎 殿
衆議院議員金瀬俊雄君提出新東京国際空港建設事業に係る土地収用法の発動(事業認定処分)に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
衆議院議員金瀬俊雄君提出新東京国際空港建設事業に係る土地収用法の発動(事業認定処分)に関する質問に対する答弁書
一について
政府の見解は、従前のとおりである。公共事業であつても、法手続を無視してよいとする理由はなく、現行法令の定める手続に従つて行われるべきものであることは、当然である。
新東京国際空港建設事業に係る事業認定処分(昭和四十四年十二月十六日建設省告示第三千八百六十五号)に当たつては、土地収用法第二十条の要件に適合するか否かについて必要かつ十分な資料を収集して判断している。
(1)から(11)まで及び(15) 本件事業認定申請に当たり、御質問に係る基本計画、工事実施計画、飛行場燈火、進入方式及び航空法規に関し、所要の説明が行われている。
(12)から(14)まで 精密進入を行う計器着陸用滑走路については、標準式進入燈が必要である旨の説明が行われている。
(16)から(18)まで 新東京国際空港の敷地は、同空港における進入方式、航空機の大きさ等を考慮し、空港が円滑かつ安全に機能するため御指摘の範囲が必要となる旨の説明が行われている。
(19) 本事業の起業地に航空保安施設の一部を設置する予定であるが、その他の航空保安施設の設置のため必要な用地は、取りあえず、本件事業認定申請から除外する旨の説明が行われている。
(1)から(3)まで 建設大臣は、本件事業認定処分を行うに当たつては、二において答弁したとおり、本事業が事業認定の要件に合致するか否かを適正に判断している。
(4) 三において答弁したとおりである。
(1)から(6)まで 土地収用法上は飛行場外となる航空保安施設についても、飛行場と併せて又は別個に事業認定申請をすることが可能である。なお、本来飛行場内に設置さるべき航空保安施設については、それが飛行場内に存してよいことは当然であつて、例示に係る飛行場燈火のごとき本来飛行場内に設置さるべき航空保安施設を飛行場内に設置したことには何ら問題はない。
(7)から(14)まで 土地収用法第四条の「特別の必要」とは、現にある事業の用に供されている土地等を新たに他の事業の用に供するため収用し又は使用する必要がある場合に、両者の公益性を比較衡量し、前者の公益性よりも後者の公益性が大きいことをいう。
また、これについては、事業認定処分を行う者が当該処分に際して判断するものである。
なお、新東京国際空港とこれに係る航空保安施設については、共に航空機の離着陸のため機能するものであり、また、その事業主体が同一であるから、同条の適用の余地はない。
(15)及び(16) 航空保安施設用地については、収用又は使用の必要がある場合には航空保安施設に関する事業として事業認定申請をすることが可能であるが、新東京国際空港の飛行場外となる航空保安施設用地については、従来、事業認定を受けないで任意買収により取得する方針をとつてきている。
四千メートル滑走路の三四側からの着陸接地点を一時的に七百五十メートル北側に移設して同滑走路を運用することとしているが、可及的速やかに当初予定した運用を実現すべく所要の用地を確保することとしていること等から、御指摘のようなことにはならない。
四千メートル滑走路の一六側から三四側に向けて離陸する航空機に対する滑走路末端燈は、同滑走路の三四側の末端部に設置することとなる。
法令を遵守しつつ一日も早く新東京国際空港を開港すべく鋭意努力しているところである。
新東京国際空港公団による空港用地等の取得に係る問題は、可能な限り話合いにより解決するよう、同公団に対しかねてから指導してきたところである。