答弁本文情報
昭和五十年六月十三日受領答弁第二一号
内閣衆質七五第二一号
昭和五十年六月十三日
衆議院議長 前尾繁三郎 殿
衆議院議員山本政弘君提出ヒロセ電機の労使紛争に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
衆議院議員山本政弘君提出ヒロセ電機の労使紛争に関する質問に対する答弁書
一について
ヒロセ電機株式会社(以下「会社」という。)においては、昭和五十年二月初めに、各工場ごとに、全従業員に対し、会社幹部から業績不振に伴う会社の危機が訴えられたが、これに応じてほとんどの従業員から提出された進退伺いに基づき、会社は、百九名の従業員に対し、同年二月二十日付けをもつて退職とする旨を文書で通知した。この結果、会社を退職した者は、現在までのところ約百名であると聞いている。
なお、右の退職問題に関し、所轄労働基準監督署に対して、会社の従業員等から、労働基準法の解釈について相談があつたが、申告、告訴等を受けた事実はない。
1 労働基準法違反に係る申告については、総評全国金属労働組合東京地方本部品川地域支部ヒロセ電機分会(以下「分会」という。)の組合員等から、昭和四十九年三月から昭和五十年五月までの間に、会社の大崎工場において労働基準法第三十九条等の違反の事実があるとして、所轄労働基準監督署に対し、計五件の申告が行われたので、所轄労働基準監督署では臨検監督を実施した。その結果、労働基準法第三十九条、第八十九条等の違反の事実が認められたので、所轄労働基準監督署は、事業主に対して、これを是正するよう勧告を行つたところである。
2 警察に対する告訴については、所轄警察署において、昭和四十九年五月十四日から同年六月二十五日までの間に、会社において発生した暴行、傷害等被疑事件について、分会側から六件、会社側から三件、計九件の告訴を受けたので、所轄警察署ではこれらについて所要の捜査を行い、同年九月二日、東京地方検察庁に送致し、同地方検察庁では、同年十二月二十七日、不起訴処分とした。
3 人権侵害に係る申告については、分会の組合員から、昭和四十九年五月から昭和五十年四月までの間に、会社が不当労働行為による人権侵犯を行つた事実があるとして、東京法務局に対し、計二件の申告が行われ、現在、同法務局において調査中である。
労働委員会に対する不当労働行為救済申立てについては、分会等から、昭和四十八年十一月から昭和五十年四月までの間に、東京都地方労働委員会に対し、会社が不利益取扱い、団体交渉拒否及び支配介入を行つたとして、計四件の不当労働行為救済申立てが行われ、現在、これらの事件は、同地方労働委員会に係属中であると聞いている。
政府としては、労使当事者の自主的解決への努力を期待しつつ、紛争の解決促進のために採り得る諸措置について更に検討を進めるとともに、労使の話合いを促進する等紛争の早期かつ円満な解決のために努力してまいりたい。