答弁本文情報
昭和五十一年一月十六日受領答弁第一〇号
内閣衆質七六第一〇号
昭和五十一年一月十六日
衆議院議長 前尾繁三郎 殿
衆議院議員小林進君提出金大中氏の自由、その他に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
衆議院議員小林進君提出金大中氏の自由、その他に関する質問に対する答弁書
一について
(1)(一) 金大中氏の選挙違反裁判の事実経過については、次のとおりと承知している。
金大中氏は、一九六七年四月の第六代大統領選挙に関連して大統領選挙法違反容疑で、同年八月二日ソウル刑事地方法院に起訴され、同年六月の第七代国会議員選挙に関連して国会議員選挙法違反容疑で、同年九月六日ソウル刑事地方法院に起訴され、また一九七一年四月の第七代大統領選挙に関連して大統領選挙法違反容疑で、また同年五月の第八代国会議員選挙に関連して国会議員選挙法違反容疑で、同年七月二十六日ソウル刑事地方法院に起訴された。
これらは一括審理され、一九七五年九月十二日検察側は金大中氏に懲役五年を求刑し、同年十二月十三日ソウル刑事地方法院は、金大中氏に禁錮一年及び罰金刑宣告猶予の判決を下し、金大中氏は直ちに控訴した。
(二) 金大中氏に係る選挙違反裁判については、韓国の司法機関による韓国人に対する裁判であるので、日本国政府としてこれにコメントすることは適当でないと考える。
(2) 田中・金両首脳会談においては、金大中氏の選挙違反にかかわる裁判の問題については、論議されなかつた。
(1)及び(2) 我が国において、外国の公権力の行使により、日本に居住する日本国民及び外国人の基本的人権が侵害されたような事例は承知していない。
(3)及び(4) 政府としては、韓国中央情報部部員が日本国内に存在し、かつ活動を行つているとの事実はは握していない。
したがつて、特別の外交措置を執るという問題は生じていない。
政府としては、昭和五十年十月二十九日衆議院予算委員会(第七六回国会)の審議の際の小林進委員の金東雲元書記官の出頭要請問題に関する発言につき、委員長から「私もごもつともな御発言と思いますので、委員長として政府に対し善処方を要望しますが、外務大臣いかがでございますか。」との発言があり、外務大臣は「政府は、国会の御審議を尊重し、ただいまの委員長の御発言の御趣旨を体し、責任をもつて委員長の御要望が実現するようお約束をいたします。」と答弁し、更に委員長より「二十一日に小委員会ができておりますので、これに、回答の各大臣から報告をいたすことにいたします。」との発言が行われているので、結果については、この委員長の発言の趣旨にそつて外務大臣より報告する。