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答弁本文情報

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昭和五十一年三月十六日受領
答弁第一号
(質問の 一)

  内閣衆質七七第一号
    昭和五十一年三月十六日
内閣総理大臣 三木武夫

         衆議院議長 前尾繁三郎 殿

衆議院議員田口一男君提出住友重機及びその関連企業の富田機器、日特金属の労使紛争に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員田口一男君提出住友重機及びその関連企業の富田機器、日特金属の労使紛争に関する質問に対する答弁書



一 について

 住友重機械工業株式会社(以下「住友重機」という。)、株式会社富田機器製作所(以下「富田機器」という。)及び日特金属工業株式会社(以下「日特金属」という。)における昭和五十年四月以降の労使紛争については、住友重機においては、同社と総評全国金属労働組合住友重機械支部(以下「住友重機支部」という。)との間で、昭和五十年十月末から労使紛争の解決のための話合いが行われ、日特金属においては、関係労使間で、昭和五十年六月に組合事務所の貸与問題等に関する和解が成立し、同年七月から被解雇者九名についての原職復帰等の問題が話し合われ、富田機器においては、三重県地方労働委員会(以下「三重地労委」という。)の不当労働行為救済命令に基づき、本年二月、同社は謝罪文の掲示を行つたと聞いている。
 なお、昭和五十年四月以降、住友重機支部等から関係地方労働委員会に対して、住友重機を被申立人として二件の不当労働行為救済申立てが行われたが、これらについては、現在、関係地方労働委員会に係属中であると聞いている。

二 について

 昭和五十年四月以降、次の不当労働行為救済命令が出されている。

1 日特金属が行つた申立人大野美夫ら九名に対する指名解雇は組合活動家を企業内から排除する意図のもとに行つた不当労働行為であると判断のうえ、同社に対して、申立人九名の原職ないし原職相当職への復帰等を命じたもの(東京都地方労働委員会、昭和五十年六月十七日決定)。

2 住友重機が行つた研修における組合批判等を不当労働行為であると判断のうえ、同社に対して、研修等の際に日本労働組合総評議会全日本造船機械労働組合浦賀分会等を批判中傷することの禁止、同分会等を批判中傷するような内容のビラ配布の禁止、昇給について行つた考課査定の取消し及び再査定の実施等を命じたもの(東京都地方労働委員会、昭和五十年十月二十一日決定)。

3 富田機器の職制等が行つた全国金属労働組合富田機器支部(以下「富田支部」という。)又はその組合員に対する中傷、誹謗、役員選挙投票・スト権確立投票への干渉等の行為は、いずれも不当労働行為であると判断のうえ、同社及び住友重機に対して、富田支部及びその組合員に対する中傷、誹謗、役員選挙投票・スト権確立投票等に干渉するなどの支配介入の禁止等を命じたもの(三重地労委、昭和五十一年二月十七日決定)。

三 について

 三重地労委は、富田機器と住友重機との関連について、富田機器の全株式が住友重機によつて所有されていること、富田機器の役員、部長等の多くが住友重機又は住友重機の前身の住友機械工業株式会社からの出向者等であること、富田機器が住友重機の専属下請関係にあること、住友機械工業株式会社の職員が春闘の際に富田機器に来て問題解決に当たつたこと等の事実を認定のうえ、住友重機と富田機器との間には、「構造的に、前者が後者を総合的、統一的、継続的に支配ないし管理する体制が形成されていたものと推認し得る」とするとともに、不当労働行為制度においては、「当該労働関係上の労働組合ないし組合員の諸利益を左右する支配力、影響力を有するものを当事者としなければならない。」として、住友重機の被申立人適格を認めた。
 また、三重地労委は、日特金属と住友重機との関連について、住友重機は従来富田機器が製作していた小型のバイエル変速機の一部を、昭和四十八年十月頃より日特金属に製作させることにしたこと等の事実を認定した。
 三重地労委の不当労働行為救済命令後の住友重機、日特金属、富田機器の関係については、住友重機から事情を聴いたところ、同社は、現在、富田機器の全株式を所有しており、また、富田機器及び日特金属にバイエル無段変速機の生産を委託している等と説明している。

四 について

 日特金属は、東京都地方労働委員会が昭和五十年六月に行つた不当労働行為救済命令(二についての1参照)を不服として中央労働委員会に再審査の申立てを行つたと聞いている。当該命令は中央労働委員会において争われている場合にもその効力は停止されず(労働組合法第二十七条第五項ただし書参照)、日特金属は当該命令を履行すべきであるが、地方労働委員会の命令が中央労働委員会において争われている限り命令の効力はいまだ確定していないので、当該命令の履行を罰則をもつて強制することとはされていない。

五 について

 住友重機が富田機器のほかに新たに日特金属に対してもバイエル無段変速機の生産委託を行うこととした事情については、昭和五十年四月二十二日付け内閣衆質七五第一七号による答弁書の十一についての前段において述べたとおりである。号
 その後、同変速機に対する需要が減退したため、住友重機からの富田機器及び日特金属に対する同変速機の発注が減少し、両社の同変速機部門の操業度が低下したと聞いている。また、日特金属が募集したパートタイマーの一部は同社のバイエル無段変速機の生産に従事してきたが、同社は、昭和四十九年十一月以降同変速機の生産のためのパートタイマー募集はしていないと聞いている。
 なお、住友重機、富田機器及び日特金属から事情を聴いたところ、住友重機が富田機器のほかに新たに日特金属に対してもバイエル無段変速機の生産委託を行うこととし、あるいは、日特金属がパートタイマーを募集したことは、富田支部等が不当労働行為救済の申立てをしたことと全く関係がないと説明している。

六 について

 労働基準監督機関においては、労働基準法等に違反する一定の事案について関係行政機関との間で相互通報を行うこととし、それぞれ監督指導上の参考とすることとしているが、住友重機及び富田機器において認められた労働基準法等の違反の事実は、右の通報を要する事案には当たらないものである。
 また、防衛庁等が住友重機又は日特金属に対し発注等を行つたことがあるが、政府としては、契約違反等の事実がない以上、両社に対する発注・取引きを停止することは考えていない。

七 について

 住友重機及び富田機器において認められた労働基準法等の違反の事実については、所轄労働基準監督署において、これを是正するよう勧告を行い、是正させたところである。
 また、政府としては、これまで、関係者から労使紛争に関して事情聴取する等の努力を行つてきたところであるが、今後においても、労使当事者の自主的解決への努力を期待しつつ、紛争の解決促進のために採り得る諸措置について更に検討を進めるとともに、労使の話合いを促進する等紛争の早期かつ円満な解決のために努力してまいりたい。

 右答弁する。




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