衆議院

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昭和五十一年三月三十日受領
答弁第三号
(質問の 三)

  内閣衆質七七第三号
    昭和五十一年三月三十日
内閣総理大臣 三木武夫

         衆議院議長 前尾繁三郎 殿

衆議院議員松浦利尚君提出議院の国政調査権と公務員の守秘義務等との関係に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員松浦利尚君提出議院の国政調査権と公務員の守秘義務等との関係に関する質問に対する答弁書



一及び二について

1 いわゆる国政調査権は、憲法第六十二条に由来するものであり、国政の全般にわたつてその適正な行使が保障されなければならないことはいうまでもないところである。
  一方、憲法第六十五条によつて内閣に属することとされている行政権に属する公務の民主的かつ能率的な運営を確保するために、国家公務員には守秘義務が課されている。

2 そこで、国政調査権と国家公務員の守秘義務との間において調整を必要とする場合が生ずる。国政調査権に基づいて政府に対して要請があつた場合、その要請にこたえて職務上の秘密を開披するかどうかは、守秘義務によつてまもられるべき公益と国政調査権の行使によつて得られるべき公益とを個々の事案ごとに比較衡量することにより決定されるべきものと考える。

3 個々の事案について右の判断をする場合において、国会と政府との見解が異なる場合が時に生ずることは避け得ないところであろうが、政府としては、国会の国政調査活動が十分その目的を達成できるよう、政府の立場から許される最大限の協力をすべきものと考える。
  (昭和四十九年十二月二十三日参議院予算委員会における三木内閣総理大臣答弁参照)

三について

 国政調査権と守秘義務との関係については、「一及び二について」で述べたところによるべきものと考えるが、その場合にいわゆる内閣声明が発せられない限り証言をし又は書類を提出しなければならないのは、議院における証人の宣誓及び証言等に関する法律に基づき証言又は書類の提出が求められる場合であつて、同法第五条により議院等から証言又は書類の提出の承認を拒む理由を受諾することができないとして内閣声明の要求があつたときに限られるものと解する。

四について

(一) ある事項が国家公務員法第百条第一項の職務上知ることのできた秘密に当たるかどうかについては、それが個人の秘密であると行政庁側の秘密であるとを問わず、法の趣旨、目的に即した客観的、合理的な判断が要求されることは当然であるが、個々の事案については、右のような原則に照らしそれぞれの行政機関において判断すべきものであると考える。
    また、所得税法が国家公務員法とは別に税務職員の守秘義務違反について特に規定し通常より重い罰則を定めているのは、税務職員がその職務の性質から納税者の財産上、一身上の秘密に広く接する立場にあり、その際知り得た納税者の秘密を他に漏らすことがあれば、納税者との間の信頼関係が損なわれ、ひいては、適正、公平な課税の実現が阻害されることとなることに対処するものであり、お説のように、殊更秘密の範囲を狭義に解すべきものではない。

(二) 所得税法第二百三十三条の規定は、誠実な自主申告の慣行の醸成に資することを目的として一定額以上の所得を申告した者の住所、氏名、申告所得金額という極めて限定された事項について例外的にその開披を定めたものであり、御指摘のように納税者の秘密にかかわる事項を公表することは、申告納税制度の円滑な運営を図る観点から適当でないと考える。

(三) 刑事訴訟法第四十七条本文が訴訟関係書類の公判開廷前における非公開の原則を定めているのは、訴訟関係人の人権を保護し、また、捜査及び裁判に対し不当な影響が及ぶことを防止しようという公益上の必要によるものである。
    同条ただし書が、公益上の必要その他の事由があつて相当と認められる場合に訴訟関係書類の公開を認めているのは、非公開とすることによつて保護される公益に優先する他の公益上の必要があると認められる場合に例外的取扱いを許したものと解される。したがつて、国政調査権の発動による資料の提出要求に応じて訴訟関係書類を公開できるのは、刑事訴訟法第四十七条本文によつて保護されるべき公益より国政調査権の行使によつて得られるべき公益が優先する場合に限られるものと考える。

 右答弁する。


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