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答弁本文情報

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昭和五十二年八月三十日受領
答弁第一号
(質問の 一)

  内閣衆質八一第一号
    昭和五十二年八月三十日
内閣総理大臣 福田赳夫

         衆議院議長 保利 茂 殿

衆議院議員渡辺三郎君提出伊達発電所の設置に係わる電気事業法等の運用の実態に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員渡辺三郎君提出伊達発電所の設置に係わる電気事業法等の運用の実態に関する質問に対する答弁書



一について

 電源開発の実施に当たつては、電気の安定的な供給の確保を図るとともにその実施の場所の自然条件及び社会環境を十分に考慮し、関係住民の理解と協力を得ていくことが不可欠であり、その適地判断は電源開発にとつて最重要事項の一つであると考えている。

二並びに七(2)、(3)及び(9)並びに八(1)から(4)までについて

 電源開発促進法第三条第一項に基づき決定される電源開発基本計画の立案に当たつては、国土の総合的な開発、利用及び保全、電力の需給その他電源開発の円滑な実施を図るため必要な事項を考慮するとともに個別地点を電源開発基本計画に組み入れることについて当該都道府県知事の意見を聴くこととしており、伊達発電所についても、これらの点を踏まえて電源開発調整審議会において審議を行い、その基本計画への組入れを決定している。その審議の際、伊達発電所への燃料油の搬入方法についても説明が行われている。
 また、通商産業大臣が電気事業法第八条第一項に基づき伊達発電所一号機の設置に係る電気工作物の変更の許可を行うに当たつては、第六十回電源開発調整審議会の議を経て決定された電源開発基本計画を参酌しつつ、同法第八条第三項において準用する同法第五条所掲の基準に照らして、その設置の場所等が適正、妥当であることを総合的、概括的な形で判断している。
 その許可の際、燃料油の搬入をパイプラインにより行うことについても承知している。

三について

 昭和三十六年度から昭和五十一年度までの北海道電力株式会社の供給区域における需要電力量及びその用途別の内訳の推移並びに同社の供給力及び同社の供給区域における最大需要電力の推移については、それぞれ別表第一及び別表第二に示すとおりである。
 なお、送電端における供給電力量は、送電ロスを除けば需要電力量に等しい。

四について

(1) 伊達発電所の設置に係る埋立てについては、公有水面埋立法の一部を改正する法律(昭和四十八年法律第八十四号)による改正前の公有水面埋立法(以下「旧法」という。)第二条の規定に基づき北海道知事が免許を行つたものであるが、当該免許(以下「本件埋立免許」という。)の出願の日は、昭和四十七年八月十四日、免許の日は、昭和四十八年六月二十五日である。
    本件埋立免許には、埋立地を免許を受けた目的以外に使用しようとするとき及び埋立地に関して権利を設定し、又は埋立地を譲渡するときは、知事の許可を受けるものとすること、工事中は、船舶の運航、停けいその他公益上及び公安上の障害を起こさないよう措置し、通船の安全を保つため標燈を掲げるものとすること、埋立地の区域の境界に境界標を設定するものとすること、海岸保全施設を改築しようとするときは、海岸管理者の承認を受けるものとすること等の条件が付されている。

(2) 伊達市議会の意見は、「可と答申する。」である。

(3)及び(4) 本件埋立免許の出願時において旧法第五条第二号に該当する者である伊達漁業協同組合の同意を得ている。

(5) 本件埋立免許は、旧法第四条第二号に該当するものとしてなされたものではない。

(6)並びに五(2)及び(5)(ロ)から(ニ)まで 伊達発電所建設に伴う伊達漁業協同組合に対する漁業補償は、同組合と北海道電力株式会社との間で締結された協定に基づいて行われたものであつて、右協定によれば、当該発電所の建設に必要な一定の海域において同組合又はその所属組合員が受ける漁業損夫に対する補償金として四億五千万円、温排水利用の研究開発に対する協力金として二千万円の計四億七千万円が、北海道電力株式会社から支払われることとなつていると承知している。
    補償金の支払時期については、昭和四十七年八月十四日、同年十一月三十日、昭和四十八年十一月三十日及び昭和四十九年十一月三十日にそれぞれ支払が行われたと聞いている。
    なお、同組合では、配分委員会を設けて組合員各人に配分したと聞いている。

(7) 工事の施行に伴う海水汚濁防止対策としては、約三億二千五百万円の経費で海水汚濁防止シートが、また約一億六千四百万円の経費で排水浄化設備が設置されており、その設置の完了した日は、前者については、第一次が昭和四十八年八月十二日、第二次が昭和四十九年七月十日、第三次が昭和五十年六月二十六日であり、後者については、昭和四十九年七月十五日であると聞いている。

(8)及び(9) 本件埋立免許においては、埋立てに関する工事は免許の日から三十日以内に着手し、昭和五十年十二月三十一日までにしゆん功するものとされており、現実には、当該工事は昭和四十八年七月七日に着手され、昭和五十年十二月五日にしゆん功したと聞いている。

五について

(1) 伊達発電所の設置のための埋立工事の施行区域内にあつた漁業権の種類は、昭和四十三年九月一日付け海共第百三十五号の免許に係る第一種共同漁業、第二種共同漁業及び第三種共同漁業を内容とする共同漁業権並びに同日付け海区第四十八号の免許に係る第一種区画漁業を内容とする区画漁業権のそれぞれ一部である。なお、同区域内には、入漁権は存在していなかつた。

(3)、(4)及び(5)(イ) 伊達漁業協同組合は、昭和四十七年五月三十一日の総会で、水産業協同組合法第四十八条第一項第八号及び第五十条第四号の規定に基づき、海共第百三十五号及び海区第四十八号の各漁業権に係る漁業権変更の決議を無記名投票の方法により行い、同年七月四日、漁業法第二十二条第一項の規定に基づき、北海道知事に対し漁業権の変更免許を申請し、同知事は、昭和四十八年六月二十五日、当該漁業権に係る変更免許を行つている。
    なお、海共第百三十五号及び海区第四十八号の各漁業権は、昭和四十八年八月三十一日に、存続期間の満了により消滅した。

(6) 北海道電力株式会社は、有珠漁業協同組合に対し、同組合との間に締結した協定書に基づく覚書により、その漁業振興資金及び再建助成金を支払つたと聞いている。
    また、伊達漁業協同組合に対しては、同組合との間に締結した協定書及びこれに附帯して交換した覚書により、胆振西部衛生組合のし尿処理水排水口の移設等に対する協力金及び沿岸漁業振興に充当される資金を支払つたと聞いている。

六について

(1) いまだ設置が完了していないものは、パイプライン、その関連施設等である。

(2)及び(3)並びに七(13)及び(14) パイプライン、その関連施設等の設置がいまだ完了していないのは、北海道電力株式会社がその工事計画の認可申請及び工事の開始に当たつて、安全対策及び環境保全対策に慎重を期するとともに、広報活動等を積極的に行つて関係住民の理解と協力を得るようできる限りの努力をしてきているためであり、発電所の設置の場所に係る適地判断の誤りによるものではない。
    通商産業省においても、北海道電力株式会社に対しこれらの対策に遺漏なきよう指導するとともに、当該工事計画の認可に当たつて慎重に審査を進めてきたものである。

(4)から(6)まで 伊達発電所の設置は、室蘭、伊達を含む胆振地区の電力需要増加に見合う電源として系統構成等を総合的に検討して計画されたものであり、これによつて北海道電力株式会社の適正供給予備率を確保する見通しであつた。
    現時点においては、事故、異常渇水その他不測の事態が生じない限り、北海道電力株式会社は、一応電力需要に見合つた供給を続けていくことが可能ではあるが、既に適正供給予備率をかなり下回つているため電力需給のひつ迫が危惧されており、伊達発電所の速やかな運転開始が必要であると考える。

七について

(1) 電気事業法第八条第一項に基づく伊達発電所一号機の設置に係る電気工作物の変更の許可申請の日は、昭和四十七年十月二十四日、許可の日は、同年十一月二十四日である。

(4)から(8)まで 電気事業法第三条及び第八条第一項に基づく許可に当たつては、同法第一条の目的を踏まえ、安全上及び公害防止上の支障の有無についても、同法第五条第四号、第五号及び第六号の基準に照らして総合的、概括的に審査を行うこととしており、伊達発電所一号機の設置に係る電気工作物の変更の許可に当たつても、このような審査を行つている。
    なお、発電所を組成する個々の電気工作物の設置に伴う安全上及び公害防止上の支障の有無については、同法第四十一条に基づきその工事計画を認可するに当たつて、同法第四十八条の技術基準に照らして審査を行うこととしており、伊達発電所を組成する個々の電気工作物の工事計画の認可に当たつても、このような審査を行つている。

(10) 伊達発電所の設置に係る電気事業法第四十一条第一項及び第二項に基づく電気工作物の工事計画及びその変更の認可の申請並びにそれぞれの認可の年月日は、別表第三に示すとおりである。

(11)及び(12) 本件パイプラインの工事の計画は、電気事業法施行規則別表第二の中欄に掲げる発電所の設置の工事の計画の一部をなしており、同規則第三十二条第三項に基づき、分割して申請されたものである。

(15) 電気事業法に係る事務は、資源エネルギー庁公益事業部の八課においてつかさどつている。

八について

(5) 伊達発電所設置に係る電源開発基本計画の変更は、昭和四十七年十一月四日に決定しており、同変更の公表は同月七日付け官報に掲載するとともに経済企画庁に掲示して行つている。同変更の内容は、当該年度の電源開発計画に伊達発電所他一地点を追加するものであり、同変更の公表に際しては、発電所の位置、方式、最大出力等電源開発促進法施行令第三条に定める事項を添付している。

(6) 北海道電力株式会社は、伊達発電所の設置に当たつて、昭和四十五年六月から昭和五十二年六月までの間に、被補償者との協議により、土地の取得、家屋移転補償、漁業補償、公共施設の移設補償等に総額約二十七億円を支払つたと聞いている。

九について

(1) 石油パイプライン事業法の施行に関する事務は、資源エネルギー庁石油部流通課においてつかさどつている。

(2) 石油パイプライン事業の事業用施設の技術上の基準を定める省令(昭和四十七年十二月二十五日通商産業省、運輸省、建設省、自治省令第二号。以下「技術基準省令」という。)及び石油パイプライン事業の事業用施設の技術上の基準の細目を定める告示(昭和四十八年九月二十八日通商産業省、運輸省、建設省、自治省告示第一号。以下「技術基準告示」という。)は、技術的専門分野に係るものであり、このため、学識経験者による技術基準検討専門委員会の結論を受けて政府の責任においてその策定を行つたものである。
    したがつて、技術基準省令及び技術基準告示の解釈は、政府の責任において行うものである。

(3)及び(7)から(9)まで 本件パイプラインに係るホースコネクションは、パイプラインを補修する場合において、ピグ取扱装置によりパイプライン内の危険物を水で置換した後に、その水を除去するときに使用するものであり、場合によつては、ホースコネクションによりパイプライン内の危険物を除去することも考えられるものであるが、これは消防法に基づく技術基準により設置することが必要とされる設備ではない。

(4)及び(5) 本件パイプラインに係るホースコネクションの設置のために必要な諸経費は、電気料金の原価に含まれる性格のものであるが、その額は、電気料金の原価にほとんど影響を与えない程度のものである。

(6) 北海道電力株式会社をはじめ一般電気事業者は低廉な料金で電気を供給するよう経営努力を払うべきであり、通商産業省においても、電気料金の認可に当たつては、能率的な経営の下における適正な原価について厳正な査定を行つているところである。

(10)及び(11) 技術基準告示第四十六条の石油を除去するための措置に関する規定は、相隣接した緊急しや断弁の区間の石油を安全に水又は不燃性の気体に置換することができる措置を講ずれば足りるものであつて、相隣接した緊急しや断弁の区間ごとにそれぞれ独立した措置を講ずべきことを定めたものではない。

(12)及び(13) 導管内の石油の除去については、技術基準省令第三十四条に定める措置により、また、必要に応じ技術基準省令第三十九条に基づく技術基準告示第五十一条第三号に定める緊急対策のための資機材により行われることとなる。

 右答弁する。


別表第一 北海道電力株式会社の供給区域における需要電力量の推移
別表第一 北海道電力株式会社の供給区域における需要電力量の推移


別表第二 北海道電力株式会社の供給力及び最大需要電力の推移
別表第二 北海道電力株式会社の供給力及び最大需要電力の推移


別表第三 伊達発電所の設置に係る電気工作物の工事計画及びその変更の認可申請年月日及び認可年月日
別表第三 伊達発電所の設置に係る電気工作物の工事計画及びその変更の認可申請年月日及び認可年月日




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