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答弁本文情報

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昭和五十二年十二月二十三日受領
答弁第一六号
(質問の 一六)

  内閣衆質八二第一六号
    昭和五十二年十二月二十三日
内閣総理大臣 福田赳夫

         衆議院議長 保利 茂 殿

衆議院議員渡辺三郎君提出伊達発電所の設置に係わる電気事業法等の運用の実態に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員渡辺三郎君提出伊達発電所の設置に係わる電気事業法等の運用の実態に関する質問に対する答弁書



一について

(1) 電源開発の実施に当たつては、適地判断の外、その電源開発に係る関係法令に適合するよう進められることがまずもつて必要であると考えている。

(2) 関係住民の理解と協力がなければ電源開発を推進することが困難だと考えるからである。なお、電源開発の実施に当たつては、電気事業者は地域の事情に応じ説明会の開催等により関係住民の理解と協力を得るよう努めているところである。

(3) 電源開発の実施に当たつては、その実施の場所の自然条件及び社会環境を個々の場所の具体的事情に即して十分に考慮することが必要であると考えている。

(4) 電気の安定的な供給を確保するためには、電気事業の用に供する電気工作物の能力がその供給区域における電気の需要に応ずることができるものであること等が必要であると考えている。

二について

(1) 公有水面埋立法の一部を改正する法律(昭和四十八年法律第八十四号)による改正前の公有水面埋立法(以下「旧法」という。)第四条の規定は、埋立てに関する工事の施行区域内における公有水面に関し権利を有する者がある場合には、同条に列記された各号のいずれかに該当する場合でなけれぼ埋立ての免許をしてはならない旨定めた規定であるところ、御質問に係る埋立免許(以下「本件埋立免許」という。)の出願については、同条第一号の規定に該当するものであつたため、同条第二号に関する判断を要しなかつたものである。

(2)(イ) 御質問に係る協定(以下「本件協定」という。)は、本件埋立免許前に、伊達漁業協同組合と北海道電力株式会社との合意により締結されたものであつて、旧法第六条第三項の規定による北海道知事の裁定によるものでないと承知している。

   (ロ) 本件協定の締結年月日は、昭和四十七年六月三十日であると承知している。

   (ハ)及び(ニ)並びに三(3)(ロ)から(ニ)まで 北海道電力株式会社から伊達漁業協同組合に対し支払われる御指摘の四億七千万円は、伊達発電所の建設に必要な一定の海域において同組合又はその所属組合員が受ける漁業損失に対する補償金四億五千万円、温排水利用の研究開発に対する協力金二千万円の合計であり、これは、同組合と北海道電力株式会社との間で締結された本件協定に基づいて支払われるものと承知している。
       なお、公共用地の取得に伴う損失補償基準要綱は、土地所有者その他関係権利者の権利保護の観点から、損失補償額を個別に見積もることができるものについて、個別払いの原則を採用しているが、それぞれのケースについてどのような支払方法を採るかは当事者間において定められるものと考えている。

   (ホ)及び三(3)(イ) 伊達発電所建設に伴う伊達漁業協同組合に対する漁業補償は、本件協定に定めるところに従い、昭和四十七年八月十四日に一億五千万円、同年十一月三十日に二億二千万円、昭和四十八年十一月三十日に五千万円及び昭和四十九年十一月三十日に五千万円がそれぞれ支払われたと聞いている。

   (へ) 本件協定には、埋立てに関する工事の着手の時期については取り決められていないと承知している。

(3)(イ) 工事の施行に伴い海水汚濁防止対策を講ずべきことは、本件協定において定められたものと聞いている。

   (ロ) 海水汚濁防止シートは、取水口外郭施設工事に伴う捨石、しゆんせつ及び埋立てによる汚濁水が拡散するのを防止するため、布製のカーテンを海面から海底まで張り下げる施設であると聞いている。

   (ハ) 排水浄化設備は、しゆんせつ土砂の上澄み海水を浄化処理し、排出するため設置されたものであつて、クラリーファイヤーを主体とした浄化装置とフィルターを主体とした脱水装置から成るものであると聞いている。

(4) 本件埋立免許に係る旧法第十一条の規定に基づく告示は、昭和四十八年六月二十七日、北海道公報により行われている。

(5) 本件埋立免許の願書においては、当初、埋立てに関する工事の着手及びしゆん功について指定を受けようとする期間を、それぞれ、免許の日から十日以内、昭和四十九年十月三十一日までとしていたが、その後、出願人である北海道電力株式会社から、当初の出願に係る期間を、それぞれ、免許の日から三十日以内、昭和五十年十二月三十一日までに変更したい旨の申出が行われた。

(6) 北海道電力株式会社は、昭和五十年十二月五日、埋立てに関する工事のしゆん功認可を申請し、北海道知事は、昭和五十年十二月十八日、しゆん功認可をした。したがつて、同社は、旧法第二十四条の規定に基づき、しゆん功認可の日において埋立地の所有権を取得したものである。なお、同社は、昭和五十年十二月二十二日、当該土地の登記を行つたと聞いている。

(7) 本件埋立免許に係る埋立てに関しては、旧法第二十五条の規定による公共用国有地の下付はなされていない。

(8) 公有水面埋立法に関する事務は、建設省河川局水政課及び運輸省港湾局管理課においてつかさどつている。

三について

(1)(イ) 伊達漁業協同組合が昭和四十七年五月三十一日の総会で行つた海共第百三十五号共同漁業権に係る漁業権変更の決議は、伊達発電所の設置に伴い、右漁業権の一部を放棄することを内容としている。

   (ロ)及び(ヘ) 北海道知事が昭和四十八年六月二十五日付けで行つた海共第百三十五号共同漁業権に係る変更免許は、右漁業権の権利内容たる漁場区域について、特定の海面を当該漁場区域から除外することを内容とする処分である。したがつて、右変更免許によつて漁場区域から除外された海面については、同漁業権は消滅した。

   (ハ) 伊達漁業協同組合の組合員は、昭和四十七年五月三十一日の総会開催時において、百四十七名であつたと承知している。

   (ニ)、(ホ)及び(ト) 伊達漁業協同組合においては、前記の漁業権変更による漁場区域の変更は当該漁業権に係る漁業権行使規則の実施の当然の前提となる等の観点から、前記漁業権変更決議に当たつて漁場区域の変更を内容とする漁業権行使規則の変更等の決議は行わず、したがつて、漁業権の変更免許の申請に際しても、これに係る漁業権行使規則の変更等についての認可の申請はしなかつたものと承知している。

(2)(イ)及び(ロ) 前記変更免許によつて変更された後の海共第百三十五号共同漁業権は、存続期間の満了により昭和四十八年八月三十一日に消滅した。
       なお、前記変更免許によつて漁業権の漁場区域から除外された海面については、右漁業権は当該変更免許の日に消滅した。

   (ハ)から(ヘ)まで 漁業権は、漁業が海況等の変化の影響を受けやすいものであるという実態にかんがみ、漁業権の内容の固定化を避けるとともに、最も高度に漁場を利用する者に免許を与えようとする趣旨から、存続期間が設けられている権利である。したがつて、存続期間の満了により漁業権は消滅し、その場合の漁業権の消滅について、漁業法上補償することとはされていない。

(4) 北海道電力株式会社は、昭和四十九年六月十七日、有珠漁業協同組合との間に、協定を締結するとともにこれに基づく覚書を交換し、この覚書に基づき、同組合に対して昭和四十九年六月二十九日に三億六千万円、同年七月三十一日に六千万円をそれぞれ支払つたと聞いている。

(5) 漁業法の施行に関する事務は、水産庁漁政部沿岸漁業課並びに同庁海洋漁業部国際課、遠洋漁業課及び沖合漁業課においてつかさどつている。
    水産業協同組合法に関する事務は、水産庁漁政部協同組合課及び漁業保険課においてつかさどつている。

四について

(1)、(6)及び(8) 内閣総理大臣は、昭和四十七年度の電源開発基本計画の変更に当たつては、電源開発促進法第三条第一項の規定に基づきこれを立案し、第六十回電源開発調整審議会の議を経て決定した。
    また、通商産業大臣が電気事業法第八条第一項の規定に基づき伊達発電所一号機の設置に係る電気工作物の変更の許可を行うに当たつては、第六十回電源開発調整審議会の議を経て決定された電源開発基本計画を参酌しつつ、同法第八条第三項において準用する同法第五条所掲の基準に照らして、その設置の場所等が適正、妥当であることを総合的、概括的な形で判断している。

(2) 電源開発基本計画案を電源開発調整審議会に附議するに先立つて、経済企画庁は地元情勢をも考慮した関係都道府県知事の意見を求め、その意見を電源開発調整審議会に報告し、慎重な審議が行われているところである。本件に関しても同様の趣旨で昭和四十七年二月二十一日北海道知事の意見を求め、同年八月十四日「漁業権者及び地元関係市町村と北海道電力株式会社との間において、本件に関し合意に向けての情勢が整つてきたものと判断するので、電源開発調整審議会に附議されるよう取り計らい願いたい。」旨の回答を得た。

(3) 昭和四十七年度の電源開発基本計画の変更(昭和四十七年十一月七日総理府告示第五十一号)の立案に当たり考慮された事項は、

   一 安定した電気の供給を確保するために必要なものであり、かつ、電力系統との関連、港湾、用水等の立地条件を考慮した適切なものであること

   二 国土の総合的な開発及び利用の見地から適切な考慮がなされ、国土の総合開発計画、地域の開発・整備計画等との調和が図られたものであること

   三 国土の保全、自然及び歴史的環境の保護保存との調和が図られたものであること

   四 人の健康の保護及び生活環境の保全を図るため、地域の特性を考慮し、これに応じた適切な公害防止対策を有するものであること等であり、伊達発電所についても以上の点に適合するものと評価した。また、このような検討は、電源開発促進法第三条の規定の趣旨に照らして行われたものであつて、電気事業法第五条の規定とは直接の関係はない。

(4)及び(5) 電源開発調整審議会では、当該会計年度に新たに着手しようとする電源開発に関して発電所の位置、発電原動力の種別、発電施設の最大出力、工事の着手及び完成の予定期日等の基本的事項について審議をしており、伊達発電所への燃料油の搬入については、昭和四十七年十月十九日に開催された電源開発調整審議会において、経済企画庁総合計画局電源開発官が、室蘭港からパイプラインにより送油する計画となつている旨の説明を行つた。

(7) 現在、胆振支庁管轄区域における電気の最大消費地は室蘭市ではないが、一般電気事業者から供給を受ける電気の量に関しては、室蘭市が胆振支庁管轄区域において最も多い。

(9)(イ) 「参酌する」とは、考慮に取り入れて参照し、判断することを意味すると考えている。

   (ロ) 通商産業大臣は、電源開発調整審議会の委員として電源開発基本計画案の審議に参画しており、また、電気事業法第八条第一項の規定に基づく電気工作物の変更の許可を行うに当たつては、電源開発基本計画を参酌することとしている。

   (ハ)及び(ホ) 内閣法第六条は、内閣の首長たる内閣総理大臣の権限を定めているのであつて、総理府の長としてその事務を分担管理する主任の大臣たる内閣総理大臣に関する規定ではない。電源開発促進法に基づき、お尋ねの電源開発基本計画を立案し、これを決定するのは、総理府の長たる内閣総理大臣であり、この立場における内閣総理大臣が、内閣法に基づいて他の主任の大臣の処分権限を拘束するというような関係にはない。

   (ニ) 内閣法第六条でいう「閣議にかけて決定した方針」とは、同法第四条による閣議にかけて決定した方針である。なお、電源開発促進法に基づく電源開発基本計画は、総理府の長たる内閣総理大臣が、電源開発調整審議会の議を経て決定するものであつて、閣議にかけて決定するものではない。

(10) 内閣総理大臣は、電源開発基本計画を決定するに当たつて、電気事業法第五条の基準にき束されるものではない。

(11) 電源開発促進法に基づく電源開発に関する基本的な政策及び計画の企画立案及び総合調整に関すること並びに電源開発調整審議会の庶務に関することは、経済企画庁総合計画局電源開発官がつかさどつている。

五について

(1)から(3)まで 御質問のホースコネクションは、パイプラインを補修する場合において、ピグ取扱装置によりパイプライン内の危険物を水で置換した後に、その水を除去するときに使用するものであり、場合によつては、ホースコネクションによりパイプライン内の危険物を除去することも考えられるものであるが、この装置を設置することによる配管等の構造強度等については、十分に検討の上計画されており、保安上の問題はないと考えている。
    消防法に基づく設置基準により設置が必要とされる装置以外の装置が付加される場合には、当該装置を付加することによる影響についても、審査に当たつて、十分に配慮されることとなつている。

(4)及び(5) 石油パイプライン事業法においては、合理的かつ安全な石油の輸送の実現と公共の安全を確保する見地から、事業の用に供する石油パイプラインにつきその公共的性格に基づく事業規制と当該施設についての保安規制とを一体的に行うことにより、石油パイプライン事業の運営を適正ならしめるとともに災害の発生の防止を図ることとしている。
    石油パイプライン事業の事業用施設の技術上の基準を定める省令(以下「技術基準省令」という。)及び石油パイプライン事業の事業用施設の技術上の基準の細目を定める告示(以下「技術基準告示」という。)は、パイプラインによる石油輸送の安全を確保するための石油パイプライン事業の事業用施設が満たすべき条件等を規定したものである。

(6) 技術基準告示第四十六条の規定は、保安対策上の見地から、導管の補修を要する箇所をはさむ相隣接した緊急しや断弁の区間の石油を、安全に水又は不燃性の気体に置換することができる措置を講じなければならないことを定めたものである。

(7) 導管内の石油の除去については、技術基準省令第三十四条に定める措置により対処し、また、必要に応じ、技術基準省令第三十九条に基づく技術基準告示第五十一条第三号に定める緊急対策のための資機材を用い、導管の漏えい箇所の前後をしや断すること等により対処することとなる。

 右答弁する。




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