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答弁本文情報

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昭和五十三年三月三日受領
答弁第一四号
(質問の 一四)

  内閣衆質八四第一四号
    昭和五十三年三月三日
内閣総理大臣 福田赳夫

         衆議院議長 保利 茂 殿

衆議院議員春日一幸君提出東大医学部附属病院精神神経科の正常化に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員春日一幸君提出東大医学部附属病院精神神経科の正常化に関する質問に対する答弁書



一について

(一) 東京大学医学部においては、昭和四十三年十月、医局講座制の解体等を主張する精神神経科の講師、助手等により、東大精神科医師連合(精医連)が結成されたが、その後、授業の再開等紛争の収拾に関して意見を異にする者により結成された精神医学教室会議との対立もあつて、精医連側は、いわゆる「自主管理」と称し、昭和四十四年九月以降同病棟を占拠し、今日に至つている。
    この間、大学当局としては、話合いを進めることにより、この不正常な事態を解決すべく努力を払つてきたところであり、入院患者が常時在院している等の事情を考え、強行手段をとることを避けてきたものである。
    なお、現在精医連と称しているのは、引き続き医局講座制の解体等を主張している医師の集団であり、東京大学医学部では講師一名(石川 清)が参加していると承知しているが、その詳細についてはは握していない。

(二) 占拠されている施設は、精神神経科において、病室、研究室及び実験室等の用に供されるものであり、現時点で占拠と認められる面積は、千三百六十六平方メートルである。

(三) 精神神経科病棟は、昭和四十四年以降精医連による占拠の状態が続いており、同病棟には、現在医師としては、東京大学医学部講師一名(石川 清)のほか、同大学職員以外の者が約三十名出入りし、診療に従事しているものと承知しているが、遺憾ながらその実態を正確にはは握できる状況になつていない。

(四) 精神神経科の入院患者に対する診療は、東京大学の医師以外の者によつても行われているが、これは、病院当局が事実上このことを容認しているものである。しかしながら、このような状態は、附属病院の運営の在り方として正常なものではなく、極めて遺憾であると考える。
    なお、これらの者に対しては、報酬は、支払われていない。

(五) 精神神経科病棟が極左暴力集団の宿泊場所に利用されたことがあると聞いているが、その実態については確認していない。

(六) 占拠後これまでに、大学当局の責任者によつて、そのような発言がなされた事実については、承知していない。
    昨年十二月に発生した精神神経科入院患者の死亡と病棟内の管理体制との関連性については、現在のところは握できる状況にはない。

(七)及び二(五) 精神神経科病棟の入院患者に係る診療料金及び診療に必要な経費、光熱水料等は、東京大学医学部附属病院の所定の手続にのつとり経理されている。
    占拠以後の同病棟は、国有財産及び物品の管理責任者等が自由に立ち入ることができないため、国有財産及び物品の使用等の状況を十分には握することができない状態にある。
    なお、本年二月十三日、これら管理責任者等が、短時間ではあるが、国有財産及び物品の使用等の状況を調査したところである。

(八) 精神神経科病棟の占拠により、同病棟において学生の臨床実習ができず、また、外来患者で入院を必要とすると判断されるものを同病棟へ入院させることができない状態にある。
    なお、学生の病棟実習については、東京大学医学部附属病院分院等で実施している。

二について

(一) 医学部附属病院長は、国有財産である大学施設の管理責任者である学長から、附属病院施設の管理の補助執行を命ぜられているが、精神神経科病棟は、病院長を含め大学当局の努力にもかかわらず、現在なお、病院長等の自由な立ち入りができない状態にある。
    したがつて、同病棟の管理が十分になされているとは言い難い。
    なお、本年二月十三日、病院長等は、短時間ではあるが、同病棟の使用等の状況を調査したところである。

(二)から(四)まで 学長は、国有財産である大学施設の不正常な事態を解消するためとるべき措置について、施設の管理責任者としての立場のほか、教育、研究、診療等大学の運営全体の責任者としての立場から適切な判断をする必要があるという考えの下に、また、占拠されている病棟には、入院患者が常時在院していることもあつて、これまで、話合いにより事態を正常化すべく努力を続けてきた。政府としては、大学当局と緊密な連絡の下に、大学の努力を助け、速やかな解決に導くよう強く指導、助言を行つているところである。
    なお、占拠されている病棟の実情については、適時、大学当局から報告を受け、必要なは握を行つており、この点についての監査は行つていない。

(六) 本件は、内閣に対して独立の地位を有する会計検査院の所掌事務に関する御質問であり、本来、内閣としてお答えすることになじまない問題ではあるが、会計検査院に照会したところ「会計検査院は、国立大学の学内紛争によつて生ずる諸問題については、東京大学医学部附属病院精神神経科病棟の占拠という事態も含め、昭和四十四年十一月意見を表示して大学側の善処方を求めており、その後その推移を見守つてきたところである。しかし、本病棟については今日に至るもなお事態の進展をみないので、去る二月十五、十六の両日に、特に会計実地検査を実施した。」旨の回答を得た。

三について

 教員は、全体の奉仕者であつて、自己の使命を自覚し、その職責の遂行に努めなければならないことは当然であり、長期にわたり不正常な事態を継続していることは、まことに遺憾である。
 大学当局は、このような不正常な事態を速やかに解決するため、最大限の努力を傾けるべきものと考える。
 政府としても、大学当局の今後の努力を助け、速やかな解決に導くよう、一層努力してまいりたい。

 右答弁する。




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