答弁本文情報
昭和五十三年十二月二十二日受領答弁第二号
内閣衆質八六第二号
昭和五十三年十二月二十二日
衆議院議長 保利 茂 殿
衆議院議員荒木宏君提出中小織布業者の経営難打開に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
衆議院議員荒木宏君提出中小織布業者の経営難打開に関する質問に対する答弁書
一について
昨年の繊維製品の輸入は、国内需要の低迷もあつて、全体的に鎮静化傾向にあつたが、本年に入つてからは、景気の回復傾向、円高等を背景にして、繊維製品輸入は増加している。
綿織物の輸入も増加してきているが、綿織物の国内生産は、現在減少する傾向にはなく、在庫も、ほとんど横ばい状況で推移している。また、織り工賃等採算状況も、ほぼ横ばいである。
しかし、現在我が国綿織物業界が、設備の廃棄等の体質改善に取り組んでいる時期にあることもあり、引き続き今後の輸入、生産、在庫、採算状況等の推移を注視してまいりたい。
綿糸の価格については、昨年四月から本年六月末に至るまでの不況カルテル実施の結果もあつて在庫整理がかなり進んだこと、本年夏の猛暑により製品需要が盛り上り、活発な糸需要があつたため、織物業者の間で来年の春夏物の糸手当てがおう盛になつていること、更には一部商社が強気の買いに出たこと等の要因もあり、最近、かなり高い水準で推移している。
紡績業界と関連業者との話合いについては、従来から日本紡績協会と日本綿スフ織物工業組合連合会、日本ニット工業組合連合会、日本タオル工業組合連合会等の関連業界との間で定例的な話合いが行われ、綿糸の需給、価格等の問題についての種々の情報交換が行われているところである。
このような情報交換を今後とも継続することが必要であると考えており、特に糸手当てに関して個別に問題が生じるような場合には、必要に応じて関係者間で情報交換を行うよう指導してまいりたい。
特恵関税制度については、従来から、中小企業をはじめ国内産業に与える影響にも十分配慮して運用を行つているところである。
去る十一月に開催された日中貿易混合委員会において、中華人民共和国から、特恵関税の供与を受けたい旨の申入れを受けたところであり、今後、国内産業に与える影響にも配慮しつつ、総合的な見地から慎重に検討してまいりたい。