答弁本文情報
昭和五十四年五月二日受領答弁第二二号
内閣衆質八七第二二号
昭和五十四年五月二日
衆議院議長 ※(注)尾弘吉 殿
衆議院議員※(注)長亀次郎君提出沖繩県の市町村未買収道路用地(旧つぶれ地)に対する国の補償措置に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
衆議院議員※(注)長亀次郎君提出沖繩県の市町村未買収道路用地(旧つぶれ地)に対する国の補償措置に関する質問に対する答弁書
一について
沖繩県における市町村道未買収道路用地については、戦時中及び戦後における沖繩の特殊事情により発生したものもあると考えている。
昭和五十二年度までの調査結果によれば、地籍不明による調査不能地域分の推計を含めて、総面積四百五十八万平方メートル(うち講和条約発効前に生じたもの四百八万平方メートル)であり、価格にして約八百九十億円(うち講和条約発効前のもの約八百二十億円)と推計している。
一般の市町村道未買収道路用地買収の補助率は、沖繩振興開発特別措置法(昭和四十六年法律第百三十一号)及び同法施行令によつて特例が認められている市町村道改築の場合の補助制度に倣い、幹線市町村道につき十分の八としている。
現行市町村道については、その見直しにより、県道への格上げ及び幹線市町村道への格上げを検討している。
市町村道未買収道路用地については、幹線市町村道分だけでもかなりの量となり、処理能力などを勘案してもその処理に長期間を要することとなると思われるので、幹線市町村道分の処理に全力を挙げたいと考えている。
市町村道未買収道路用地の処理については、未買収道路用地の生じた経緯等にかんがみ、次の方針によることとし、昭和五十四年度予算において、十億円を計上し、その買収に着手することとしている。
(一) 沖繩県の区域内における位置境界不明地域内の各筆の土地の位置境界の明確化等に関する特別措置法(昭和五十二年法律第四十号。以下「位置境界明確化法」という。)第二十二条第一項の位置境界不明地域(以下「位置境界不明地域」という。)における市町村道未買収道路用地については、同法施行令第十三条に規定する財政措置により対処する。
(二) 位置境界不明地域外における幹線市町村道の講和条約の発効前に生じた未買収道路用地の買収費については、補助率十分の八で補助することにより対処する。なお、この場合、現行市町村道の見直しによる県道への格上げ及び幹線市町村道への格上げを検討している。
昭和五十二年度までの調査結果による現行市町村道の状況の下で御指示の算定方式により試算すると次のとおりである。(地籍不明による調査不能地域分の推計を含む。)
1 イ 面積 四百八万平方メートル
ロ 推計価格 約八百二十億円
ハ 現行幹線市町村道分の十分の八相当額 約二百九十億円
ニ 現行幹線市町村道分の十分の二相当額 約七十億円
ホ 現行幹線市町村道以外の市町村道分 約四百六十億円
2 イ及びロ 調査対象としていない。
ハ 諸制度が整備されたと認められる講和条約発効後に生じた市町村道未買収道路用地については、道路管理者である市町村がその責任において処理すべきものと考えている。
沖繩の特殊事情により生じた市町村道未買収道路用地については、早期に処理する必要があると考えており、そのため政府としてもできる限りの努力をしてまいりたい。
1 位置境界不明地域内における市町村道未買収道路用地については、位置境界明確化法施行令第十三条第一項に定めるところによる補助が行われるが、当該補助の対象となる幹線市町村道については、現在、見直しを行つている。また、国は当該補助を受ける市町村に対して、同令第十三条第二項の規定により交付金を交付することができることとなつている。
2 交付金の対象となる道路面積及びその額は、現在のところ確定していない。
位置境界不明地域については、政府としても、早急に地籍の明確化を推進する必要があるところから、その支障となるおそれのある市町村道未買収道路用地については、位置境界不明地域の特殊事情にかんがみ、位置境界明確化法及び同法施行令により特別の措置を講じたものである。
地方財政は、昭和五十年度以降今日まで厳しい財源不足に陥つているが、これに対して政府は、毎年度地方公共団体の財政運営に支障を生じないよう所要の財源措置を講じてきているところであり、沖繩県の市町村についても他の都道府県の市町村に比べて特に困難な財政状況にあるとは考えていない。
政府においては、現在、沖繩県における市町村道についてその見直しによる県道及び幹線市町村道への格上げ等を検討中であり、これらの措置により市町村道未買収道路用地の取得に係る市町村の財政負担はかなりの軽減がなされると考えるが、幹線市町村道に係る市町村の補助裏負担がどの程度の額になるかは現段階では不明である。
政府としては、幹線市町村道未買収道路用地の取得に伴つて市町村の補助裏負担が生ずる場合には、必要に応じ地方債をもつて措置し、特にその償還費が財政運営の圧迫要因となるときは、当該市町村の全般的な財政状況を考慮しつつ地方交付税によつて措置することを考えているが、その具体的内容は今後各市町村における補助裏負担の状況が明確になつた段階で検討することとしたい。
市町村道の見直しについては、現在、作業中であり、できるだけ早期に終わるよう努力しているところである。
1及び2 県道未買収道路用地買収については、従来から大幅に予算の拡大を図つてきたところであり、今後も沖繩県の執行能力なども勘案しつつ積極的に進めてまいりたい。
3 第八次道路整備五箇年計画期間内(昭和五十七年度まで)に概成させる目標で努力してまいりたい。