答弁本文情報
昭和五十四年四月二十七日受領答弁第二三号
内閣衆質八七第二三号
昭和五十四年四月二十七日
衆議院議長 ※(注)尾弘吉 殿
衆議院議員瀬野栄次郎君提出農薬行政に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
衆議院議員瀬野栄次郎君提出農薬行政に関する質問に対する答弁書
一について
農薬事故により犠牲者が出ていることは非常に残念なことであると考えており、農林水産省においても低毒性農薬の開発、農薬危害防止運動の展開等による安全かつ適正な使用の推進を図つてきたところであり、今後とも関係機関等の協力を得て農薬の使用に伴う事故の未然防止に万全を期することとしている。
1 使用禁止等の措置がなされた農薬の禁止等の理由は、次のとおりである。
(一) 有機りん系農薬(パラチオン剤、メチルパラチオン剤及びTEPP剤)
人畜に対する急性毒性が強く、その使用による中毒事故等の発生のおそれがあつたため、生産中止の行政指導を行つた。
(二) 有機塩素系農薬(DDT剤及びBHC剤)
残留性が強く分解しにくいこと等から、その使用により、作物及び環境を汚染するおそれがあつたため、農薬取締法に基づき、販売を禁止した。
(三) 有機水銀系農薬
有機水銀剤の使用により水銀が玄米中に微量ではあるが残留する事実が判明したこと等から、使用中止の行政指導を行つた。
2 国内における販売が禁止されている農薬の最近三年間の相手国別輸出量は、輸出業者からの報告によれば、次のとおりである。
BHC原体
昭和五十一年 | マレーシア 一、〇七〇トン、ヴィエトナム 九四〇トン、オーストラ | |
リア 二五六トン、タイ 五〇トン、その他 一三トン、合計 二、三 | ||
二九トン | ||
昭和五十二年 | ヴィエトナム 五四〇トン、アルゼンティン 九九トン、マレーシア | |
五八トン、カナダ 三八トン、インド 三一トン、その他 七九トン、 | ||
合計 八四五トン | ||
昭和五十三年 | ヴィエトナム 一、二〇〇トン、カナダ 八六トン、ニュー・ジーラン | |
ド 五一トン、ポーランド 四七トン、南アフリカ 四四トン、その他 | ||
二三九トン、合計 一、六六七トン |
DDT原体
昭和五十一年 | ヴィエトナム 五〇トン、ケニア 四〇トン、合計 九〇トン | |
昭和五十二年 | タイ 八九トン、合計 八九トン | |
昭和五十三年 | 〇 |
3 国内における販売が禁止されている農薬の輸出は、輸入国側の食糧増産等の必要性に応じて行われるものと考えられるが、これら農薬の輸出は「公害の輸出」という批難を受けるおそれもあるところから、昭和四十九年三月、外交ルートを通じて関係輸入国政府に対し、我が国においてこれら農薬の販売が禁止されていること等を説明した。更に、輸出業者に対しては、こうした事情を相手方に説明の上商談を行うこと及び輸出に当たつては輸入国政府が当該農薬の輸入を認めていることを示す書類を添付して事前に通商産業省の確認を受けるよう指導してきており、今後もこの指導を続けてまいりたい。
三について
農薬取締法第三条第一項第三号の規定に該当するかどうかの判定は、当時における最新の科学的知見により厳格な検査を実施して行われたものであり、また、急性毒性の程度及び使用条件を十分勘案し、所要の危険防止方法を講じてきたところである。
一方、農薬危害防止運動等を通じて事故の未然防止対策の徹底を図るとともに、低毒性農薬の開発普及に努めた結果、農薬事故件数は漸減してきたところである。更に、昭和四十六年の農薬取締法の一部改正により、登録に係る使用方法を遵守し、危険防止方法を講じた場合においてもなお人畜に危険を及ぼすおそれのある農薬の登録の取消し等に関する制度改正を行つたところである。
1 混合農薬については、その安全かつ適正な使用の確保を図る見地から、昭和五十二年十月に混合製剤の農薬の急性毒性に関する試験の方法を定めるとともに農薬の登録申請に際し、所要の急性毒性に関する試験成績資料を提出することを義務づけており、その結果によれば混合により著しく毒性を増すものは現在のところ認められていない。
なお、今後とも新しい科学的知見の集積により関係機関の協力を得て、農薬の安全かつ適正な使用の指導に努めてまいりたい。
2 全国農業協同組合連合会では、農作物に対する薬効薬害を中心に検討し、農薬の混用適否表を作つていると聞いている。
なお、人畜に対する相乗毒性の影響については、1で述べたとおり、農薬の混合使用により事故等の発生のおそれがあるとは考えられないので、特に相乗毒性等の試験は実施していないと聞いている。
ベーチェット病の調査研究は、昭和四十七年度以降、特定疾患ベーチェット病調査研究班において継続されている。研究の重点は、本疾患の原因究明、治療法の改良に置かれており、原因究明については、細菌若しくはウィルス、免疫異常又は代謝異常との関連、発症に関連する宿主の素因の問題、あるいは、化学物質の関与の有無など、多角的な研究が進められているがいまだ結論は得られていない。
都道府県別の農産物(野菜及び果実)の集荷場及び卸売市場の数は、別表のとおりである。
別 表


