昭和五十四年十二月十四日受領
答弁第二号
内閣衆質九〇第二号
昭和五十四年十二月十四日
衆議院議長 ※(注)尾弘吉 殿
衆議院議員草川昭三君提出丸山ワクチンの製造承認申請に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
衆議院議員草川昭三君提出丸山ワクチンの製造承認申請に関する質問に対する答弁書
一について
1 昭和五十一年十一月二十七日付けで製造の承認申請がなされた「SSM ― 注射液」については、中央薬事審議会において昭和五十二年四月十五日、同年六月十七日及び同年七月八日の三回にわたり審議された結果、提出資料のみでは十分な審議ができないとして、申請者に対し、作用機序を裏付ける基礎的研究資料を含め追加資料の提出を求めることとされた。
その後、中央薬事審議会において追加資料の提出をまつて、昭和五十三年八月四日及び同年九月二十一日の二回にわたり審議したところ、その有効性を確認するにはいまだ資料が不十分であるとされた。
2 中央薬事審議会においては、佐藤博博士等による実験成績を含め提出された資料のすべてについて審議したが、それらはその有効性を実証するものであるという判断には至らなかつた。
なお、昭和五十四年秋の日本癌学会及び日本癌治療学会における研究報告については、申請者から資料として提出されていないので中央薬事審議会における審議の対象とはされていない。
3 いわゆる免疫療法剤の評価については、基礎実験の結果から臨床効果を予測することが従来の抗悪性腫瘍剤に比較してより困難であるため、臨床研究の役割が一層重要となるが、免疫療法剤の治療効果は強力なものではなく、他の治療法と併用することにより有効となると考えられていることから、その臨床効果の評価を行うためには、他の治療法との併用の下における精密かつ客観的な臨床研究を行うことが必要とされている。このため、申請者に対してはこのような臨床研究を行うよう指導しているところである。
なお、厚生省においては、免疫療法剤の審査の一層の適正を期するため、研究班を組織して検討を行つているところである。
また、御指摘のように当初化学療法剤として審査し、その後免疫療法剤としての審査に切り替えたという事実はない。
4 クレスチン及びピシバニールは、いずれも申請された効能についてその有効性が確認されたので製造の承認が行われたものである。「SSM ― 注射液」については、右のような経過で現在なお審議を継続しているところであり、理由なく審査を遅延させているものではない。
現在、申請者に対し、更に追加資料の提出を求めており、必要資料が提出された時点で改めて審議されることとなる。
中央薬事審議会においていまだ審議中であるので、その結果をまつて対処すべきものと考えている。