答弁本文情報
昭和五十八年三月十一日受領答弁第九号
内閣衆質九八第九号
昭和五十八年三月十一日
衆議院議長 福田 一 殿
衆議院議員新村勝雄君提出学校法人東日本学園大学の運営に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
衆議院議員新村勝雄君提出学校法人東日本学園大学の運営に関する質問に対する答弁書
一について
1から3まで 寄附の時期、寄附者名及び寄附金額については、次のとおりである。
昭和四十九年度(昭和四十九年十月十九日から同年十二月九日まで)
(株)新日本観光興業 | 十四億九千二百九十九万二十六円 |
昭和五十年度(昭和五十年五月二十七日から昭和五十一年三月八日まで)
(株)新日本観光興業 | 十四億円 | |
(株)新日本振興 | 一億六千万円 | |
(株)新日本不動産 | 四千万円 | |
(株)新日本産業 | 二億八千万円 | |
(株)新日本開発 | 一億二千万円 |
4 これらの寄附金は、寄附者から日本私学振興財団に寄附され、同財団から学校法人東日本学園大学に配付されたものである。
二について
1 昭和五十三年六月三十日、同年十月三十一日、同年十二月三十一日、昭和五十四年六月三十日及び同年十二月三十一日である。
2 二十八億二千九百九十六万八千六百三円
3 昭和五十五年三月三十一日、昭和五十六年三月二十四日、昭和五十七年五月三十一日、同年六月二十一日及び同年七月九日に全額回収された。
4 利子の支払はされていない。
5 新日本観光興業株式会社の日本債券信用銀行に対する負債を肩代わり弁済していた。
1 昭和五十三年十月三十日及び昭和五十四年四月二十日である。
2 二十六億円
3 昭和五十七年五月三十一日に全額回収された。
4 利子の支払はされていない。
回答は、当該学校法人を指導する必要上個別に求めたものであるので、その提示は差し控えたい。
なお、回答の概要は、次のとおりである。
留意事項記の1(学校法人の運営関係)について
(1) 負債の肩代わり弁済については、利息を付して回収する。
(2) 無利息で資金の貸与を行つている件については、利息を付することとする。
(3) 運用財産である土地を著しく低廉と思われる価格で売却した件については、譲渡を受けた株式会社から将来相当額を学校法人に支払うこととしていたが、事実上不可能となつた。
理事一同は、その責任を痛感し、取りあえず、理事長と四名の理事が一千万円の損害補てんをしたが、今後とも、理事長の責任において可能な範囲内での補てんがなされるよう努力する。
留意事項記の2(入学定員関係)について
漸次、定員に近づけるよう努力する。
留意事項記の3(寄附金の募集関係)について
現在寄付金募集の予定はないが、募集する場合には、十分留意する。
留意事項の4(公正な入学者選抜関係)について
留意事項を遵守している。
私学の自主性を尊重する趣旨から、私学として良識ある対応を自主的に行うことを期待したものである。
昭和五十七年五月二十九日及び同月三十一日に学校法人会計に次のとおり入金されている。
(氏名) | (入金額) | |
渡辺 享理事長 | 四百万円 | |
石井孝之理事 | 二百万円 | |
小林秀男理事 | 二百万円 | |
前田和幸理事 | 百万円 | |
今崎孝俊理事 | 百万円 |
このような確約書が作成されたことは、極めて遺憾なことと考える。
入学試験の内容について、採点、入学者決定の経過、寄附金の額については調査を行つていない。
大学入学者の選抜は、大学教育を受けるにふさわしい能力・適性等を備えた者を公正かつ妥当な方法で選抜するよう実施されるべきものであり、文部省では入学者選抜の基本的事項を毎年「大学入学者選抜実施要項」としてまとめ、各大学に通知しているところである。なお、当該要項の趣旨を更に徹底するため、毎年、全国四ブロックにおいて大学関係者等を集め説明会を行つている。
また、別途、入学者選抜の公正確保等に関する指導通知を出しているが、最近では昭和五十六年五月に、入学者選抜の公正確保、入学に関する寄附金、学校債の収受等の禁止等に関する通知を行つている。
学校法人東日本学園大学は、日本私学振興財団に対して私立大学等経常費補助金の交付申請をしていないが、その理由は承知していない。
学校法人東日本学園大学の運営は、理事会を中心に行われているものと承知している。
東日本学園大学の所在地石狩郡当別町は札幌市郊外にあり、立地上患者の確保が難しい面もあるが、同大学の担当者の説明によれば、大学としては、患者の確保のために努力を重ねてきており、毎年患者の数は増加してきているということである。
一日平均外来患者数は、昭和五十六年度においては百四人であつたものが、昭和五十七年四月から昭和五十八年二月までの間においては、百四十九人に増加しているということである。
外来患者数の基準は、入学定員の二倍以上すなわち、同大学の場合は、二百四十人以上であるので、今後とも、外来患者数の増加について、指導してまいりたい。
大学院博士課程の設置は認可事項ではないが、設置する場合は、文部大臣に協議することとなつている。文部大臣に協議があつた場合には、大学設置審議会に意見伺いをし、教育研究上の面から、博士課程設置の水準にあるか否かについて審査しているが、東日本学園大学については、主として次のような理由によつてその設置を承認したものである。
(1) 教員組織や施設・設備等が、大学院設置基準その他の定めに合致し、博士課程を設置するだけの水準にあると認められたこと。
(2) 博士課程を設置することは、教育研究体制を充実することになり、当該大学の質的向上に資するだけでなく、地域の医療の向上にもつながることとなること。
学校法人東日本学園大学の設立認可については、申請書類に基づき、私立大学審議会における所定の手続を経、また、寄附金についても、寄附申込書、預貯金等証明書及び役員会の決議録等により確認する等慎重な審査を行つたものであるが、その後適正を欠く事態があつたことは遺憾である。
これまでも、不適正な事態の是正と運営の適正化について厳正な指導を行つてきたところであるが、今後とも、引き続き必要な指導を行つてまいりたい。