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答弁本文情報

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昭和五十八年九月二日受領
答弁第八号
(質問の 八)

  内閣衆質九九第八号
    昭和五十八年九月二日
内閣総理大臣 中曽根康弘

         衆議院議長 福田 一 殿

衆議院議員林百郎君外二名提出地震防災のための当面の強化策に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員林百郎君外二名提出地震防災のための当面の強化策に関する質問に対する答弁書



一について

1 港湾の施設の耐震設計は、地震動加速度、地震の頻度等から求められる震度期待値等を考慮して行われているところであるが、秋田港の場合も、通常用いられている再来年数七十五年の震度期待値等を考慮してその設計が行われたものであり、妥当なものであつたと考えている。
  また、地盤の軟弱な土地において行われる開発行為については、都市計画法(昭和四十三年法律第百号)の規定に基づき、水抜きの実施等安全上必要な措置が講じられるよう指導している。

2 地盤に関する調査としては、国土庁の推進している土地分類調査による表層地質についての調査、工業技術院地質調査所の実施している地質調査等があり、それぞれその成果は、縮尺五万分の一の地図等により公表されている。
  これにより沖積層等軟弱地盤の分布の概要を知ることができるが、これらの調査は、震災対策のみを目的としたものではないので、軟弱地盤の具体的な対策のためには、個別の精査が必要となる。
  公共施設等の構造物については、個々の施設を整備する場合に、あらかじめボーリング調査を実施する等により、個別に地盤を調査し、軟弱地盤である場合にはその対策を講じている。
  原子力発電所については、核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律(昭和三十二年法律第百六十六号)による原子炉の設置許可に係る安全審査等において、耐震設計をも含めて十分に安全が確保されることを確認している。
  石油コンビナートについては、消防法(昭和二十三年法律第百八十六号)及び高圧ガス取締法(昭和二十六年法律第二百四号)により、施設の態様、施設を設置する場所の地域区分及び地盤区分、施設の規模等に応じた設計震度を設定して、これに耐え得るものとしている。

二について

1 秋田港の岸壁等の公共土木施設の災害復旧は、公共土木施設災害復旧事業費国庫負担法(昭和二十六年法律第九十七号)に基づく災害復旧事業として、港湾管理者はもとより、国においてもこれを実施している。
  このうち、国が実施する災害復旧事業については、秋田港の機能を一日も早く回復させるため、昭和五十八年度中に最大限の復旧工事を実施し、昭和五十九年度までに、すべての復旧工事を完了する予定である。

2 被災自治体の財政負担の軽減については、公共土木施設災害復旧事業等各種災害復旧事業に対する高率補助の適用、地方負担に対する地方債の充当、当該地方債の元利償還金に対する普通交付税措置等により配慮している。
  公共土木施設災害復旧事業に係る激甚災害指定基準の見直しについては、激甚災害制度の趣旨を踏まえ、災害の発生状況、国及び地方公共団体の財政状況等を勘案しつつ慎重に検討することとしている。

3 公共土木施設災害復旧事業費国庫負担法(昭和二十六年法律第九十七号)及び農林水産業施設災害復旧事業費国庫補助の暫定措置に関する法律(昭和二十五年法律第百六十九号)に基づく災害復旧事業においては、原形復旧が著しく困難又は不適当な場合には、これに代わるべき必要な施設を設置すること、また、必要な場合には、災害関連事業を活用して改良復旧を実施することとしており、再度災害防止については、現行の災害復旧制度の運用によつて、十分配慮をしているところである。

4 災害援護資金の貸付けは、被災世帯の生活の立て直しに資するためのものであり、現行の貸付限度額は低利の福祉的な貸付けとしては妥当な水準と考えている。また、所得制限の基準額については、毎年所得水準の向上を勘案して引上げ措置を講じており、本年も七月にその引上げを行つたところである。
  住宅の災害復旧対策については、住宅金融公庫において災害復興住宅の建設等及び宅地防災工事に係る低利貸付けを行つており、災害復興住宅の建設等に係る貸付けについては、本年七月、貸付限度額の引上げを行つたところである。

三について

 日本海中部地震の経験にかんがみ、津波対策を強化するため、津波警報関係省庁連絡会議を設置し、観光客及び海水浴客を含む公衆並びに船舶に対する津波警戒の徹底等について申し合わせるとともに、地方公共団体を始め関係機関に対し指導を行つている。
 なお、防災無線については、地方公共団体が早期に整備し得るよう積極的に助成策を講じてきており、施設の整備に当たつては、災害時に十分機能し得るよう、施設の設置場所、風圧対策、耐震対策等のほか、停電時に備えての非常電源設備の常備及び電源容量の確保等についても従来から指導しているところである。

四について

1 現在の地震予知技術の水準においては、海洋型のマグニチュード八程度の大規模な地震について、その発生の前兆現象を相当の確度をもつて捕そくできる可能性があり、当面、このような地震の発生が懸念されている東海地域について、地震の予知を前提とした震災対策が進められているところである。
  その他の地震に対する対策についても、国と地方の協力の下に、@都市防災化の推進、A防災体制の強化と防災意識の高揚、B地震予知のための観測・研究の推進に重点を置いた震災対策を実施しているところであり、今後ともその強化を図つてまいりたい。

2 地震防災対策強化地域における地震対策緊急整備事業に係る国の財政上の特別措置に関する法律(昭和五十五年法律第六十三号)が適用される地震防災対策強化地域は、@大規模な地震が発生するおそれが特に大きいこと、A地震の直前予知が可能であることを前提として指定されているものである。当該地域においては、地震の発生に備えて避難地・避難路、緊急輸送道路、緊急輸送関連港湾等を緊急に整備しているところであるが、それ以外の地域についても、特定観測地域を含めて、治山治水、道路、港湾、都市公園等公共事業に関する五箇年計画等に基づき、計画的な震災対策の推進と防災性の強化が図られているところであり、今後ともその積極的な推進に努めてまいりたい。

3 地震対策緊急整備事業については、計画年度内に、できる限り事業の進ちよくが図られるよう、今後ともその促進に努めてまいりたい。
  また、震災対策予算については、国の財政状況等を勘案しつつ、地震予知の推進、防災体制の強化、都市防災化の推進等を重点にその充実に努めているところである。

 右答弁する。




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