答弁本文情報
昭和五十九年八月十四日受領答弁第三三号
内閣衆質一〇一第三三号
昭和五十九年八月十四日
衆議院議長 ※(注)永健司 殿
衆議院議員菅直人君提出昭和電工株式会社の各工場におけるじん肺などの発生状況に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
衆議院議員菅直人君提出昭和電工株式会社の各工場におけるじん肺などの発生状況に関する質問に対する答弁書
一及び二について
所轄都道府県労働基準局に保存されているじん肺健康管理実施状況報告によれば、じん肺健康診断の実施状況及び管理区分別労働者数は、次のとおりである。なお、じん肺健康診断ごとのじん肺法(昭和三十五年法律第三十号)第十二条に規定するじん肺の所見があると診断された労働者数は、把握していない。
(一) 昭和電工株式会社大町工場
(1) じん肺健康診断実施状況
(2) 粉じん作業従事労働者及び粉じん作業従事労働者であつた者のじん肺管理区分別内訳(毎年十二月末日現在)
(二) 昭和電工株式会社塩尻工場(以下「塩尻工場」という。)
(1) じん肺健康診断実施状況
(2) 粉じん作業従事労働者及び粉じん作業従事労働者であつた者のじん肺管理区分別内訳(毎年十二月末日現在)
(三) 昭和電工株式会社秩父工場(以下「秩父工場」という。)
(1) じん肺健康診断実施状況
(2) 粉じん作業従事労働者及び粉じん作業従事労働者であつた者のじん肺管理区分別内訳(毎年十二月末日現在)
都道府県労働基準局長は、事業者、労働者又は労働者であつた者から提出されたエックス線写真及びじん肺健康診断の結果を証明する書面等を基礎として、じん肺管理区分の決定をしており、これら提出された資料については、管理区分決定後、提出者に返却することとされている。したがつて、個人別の過去の健康診断の詳細は、把握していない。
塩尻工場の昭和五十四年十二月末日におけるじん肺管理区分別の労働者数は、一及び二についてにおいて示したとおりである。また、じん肺管理区分決定に至るまでに受診したじん肺健康診断の日時等については、三についてにおいて述べた理由により把握していない。
有所見者数が増加した理由としては、診断技術の向上、粉じん作業従事期間の伸長等が考えられるが、詳細については不明である。
じん肺管理区分決定に係るじん肺健康診断より前に行われたじん肺健康診断の診断内容等については、三についてにおいて述べた理由により把握していない。
秩父工場におけるクロム作業従事者のうち、昭和五十年十二月十七日から昭和五十一年十月十五日までの間において労働者災害補償保険法(昭和二十二年法律第五十号。以下「労災保険法」という。)第十五条の障害補償給付の支給決定を受けたものの状況は、嗅覚脱失があるとして障害等級第十二級に該当すると認められた者二十六名及び嗅覚減退があるとして障害等級第十四級に該当すると認められた者二十三名である。
昭和五十年十二月十七日に障害等級第十四級に該当するとされた者のうちの五名については、埼玉労働者災害補償保険審査官が、専門医の診断結果等に基づき、原処分庁たる秩父労働基準監督署長が障害補償給付の支給決定に用いた医師の検査結果がその資料として必ずしも適当なものでなかつたと判断し、昭和五十一年六月同支給決定を取り消したものである。
秩父工場のクロム作業従事者(退職者を含む。)であつて労災保険法に基づき保険給付の支給決定を受けたもののうち、鼻中隔穿孔が認められた者は、十八名である。
秩父工場のクロム作業従事者(退職者を含む。)のうち、肺がん等のがんにり患し、又はこのために死亡したことにより労災保険法に基づく保険給付の支給決定を受けたものはない。