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答弁本文情報

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昭和五十九年十二月十八日受領
答弁第二号

  内閣衆質一〇二第二号
    昭和五十九年十二月十八日
内閣総理大臣 中曽根康弘

         衆議院議長 (注)永健司 殿

衆議院議員草川昭三君提出自動車損害賠償責任保険の料率引上げに関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員草川昭三君提出自動車損害賠償責任保険の料率引上げに関する質問に対する答弁書



一について

 自動車損害賠償責任保険(以下「自賠責保険」という。)の累積運用益は、保険契約者が納付した保険料を原資として発生してきたものであるので、基本的には契約者の利益のために活用する必要があると考えており、現在、その活用策につき自動車損害賠償責任保険審議会(以下「自賠責審議会」という。)において御審議願つているところである。

二について

 自動車事故による被害者の保護を目的とした強制保険である自賠責保険については、自賠責保険制度の性格等にかんがみ、国が再保険を通じてその運営に関与し、適正な運営を確保する必要があると考えている。

 三について

 いかなる自動車も自賠責保険又は自動車損害賠償責任共済のいずれかの契約が締結されていない限り、これを運行の用に供することができず、かつ、そのいずれを選ぶかは、原則として契約者の自由であるから、当該保険及び当該共済は、制度として均一なものである必要がある。このため、保険料率についても、従来から自賠責保険、自動車損害賠償責任共済を通じて同一としているところである。

四について

 自賠責保険の収支については、毎年度、自動車保険料率算定会が、前年度までの保険金支払等の実績に基づいて、翌契約年度分までを算出しているが、自動車事故が増加傾向にある現状では、保険金支払の実績が予測を上回る結果となるのはやむを得ないと考える。

五について

 自賠責保険の収支は、昭和五十三年度以降単年度で赤字となつたが、累積収支では黒字であつたため、料率改定を行わなかつたものである。
 また、昭和五十七年度の累積収支が赤字であることは、昭和五十九年初めの検証で判明したため、その後、自賠責審議会に報告し、現在、同審議会において収支改善策等につき御審議願つているところである。

六について

 医療費については、自動車保険料率算定会における調査を充実する等、従来からその支払の適正化に努めているところであるが、引き続き努力してまいりたい。

七について

 後遺障害の認定については、自動車保険料率算定会の後遺障害認定担当者が、労働者災害補償保険における後遺障害の認定の方法等を参考にして行つており、この認定に基づいて損害保険会社が保険金支払を行つている。これらの担当者に対しては、自動車保険料率算定会において、十分な教育訓練を施すとともに、その認定に当たつては、顧問医から意見を聴取する等、公正な認定に努めているところである。

八及び九について

 自賠責審議会の委員には、学識経験者四人及び自動車運送関係者二人(ほかに臨時委員一人)も任命されており、同審議会の審議には自動車ユーザー等の意見も十分反映されていると考えている。

十について

(1) 昭和四十五年に死亡事故に係る追加保険料の支払制度を創設したが、その他のメリット・デメリット制度を導入することは、自賠責保険契約が車両単位で強制されるものであること等から、困難ではないかと考えている。
(2) 複数の車両の共同不法行為による事故の場合には、それぞれの契約の保険金額の合計額を限度として被害者の損害額につき保険金の支払が行われているが、自賠責保険が車両ごとに保険金額を契約しているものであること等に照らし、この取扱いを変更することは適当ではないと考えている。
   なお、一車両に重複して自賠責保険契約が締結されている場合については、昭和四十五年の自動車損害賠償保障法の改正により、一つの契約についてのみ保険金が支払われることとされたところである。

 右答弁する。




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