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昭和六十年三月二十二日受領
答弁第一七号

  内閣衆質一〇二第一七号
    昭和六十年三月二十二日
内閣総理大臣 中曽根康弘

         衆議院議長 坂田道太 殿

衆議院議員(注)長亀次郎君提出第二次大戦中旧日本軍によつて接収された沖縄県下の土地に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員(注)長亀次郎君提出第二次大戦中旧日本軍によつて接収された沖縄県下の土地に関する質問に対する答弁書



一について

1 昭和五十三年四月十七日、衆議院予算委員会に提出した「沖縄における旧軍買収地について」(以下「大蔵省報告書」という。)は、旧軍買収地について、強制接収等を理由に旧地主に返還すべきであるとの要求があつたことから、昭和四十八年以降、大蔵省(沖縄総合事務局財務部)において関係省庁の協力を得て調査を行い、その結果を取りまとめたものである。
2(1) 旧陸・海軍の発した通ちよう等には、用地買収の区域、用地買収の手続、代金の支払方法、所有権移転登記の時期等が示されている。
 (2) 沖縄本島及び伊江島に関するものを含め、旧軍が飛行場用地として買収した土地について、旧軍人等及び旧地主から当該買収の経緯等を聴取したものである。
3(1) 御指摘の「旧日本軍接収用地調査報告書」(以下「沖縄県報告書」という。)において、旧軍の沖縄北飛行場の用地買収に係る記述のあることは承知しているが、当該用地買収に係る関係者の陳述は、必ずしも一致したものではない。
 (2) 旧軍は、大蔵省報告書において述べているとおり、すべて私法上の売買契約によつて土地を買収したものと認められる。
 (3) 土地所有者に対して、土地の買収に関する説明と協力要請を行つたものと考えられる。
4(1)及び(3) 御指摘の証言については承知しているが、大蔵省報告書において述べているとおり、旧軍買収地が旧国家総動員法に基づき強制収用されたとする証拠は全く見当たらず、旧軍買収地は、すべて私法上の売買契約によつて買収されたものと認められる。
 (2) 神(注)道氏の御指摘の証言も、多くの関係者の陳述の一つである。
     関係者の陳述は、必ずしも一致したものではない。
5 大蔵省報告書において述べているとおり、戦時中旧軍が取得した土地は、私法上の売買契約により正当な手続を経て国有財産になつたものと判断される。

二について

1 沖縄県報告書に旧地主に対するアンケート調査結果が記載されていることは承知している。  しかしながら、大蔵省が関係者に対し行つた事情聴取等においては、代金の支払及び受領を認める陳述等がある。
2 旧軍人等及び旧地主の両方に、正当に契約し代金を授受した旨の陳述等がある。しかし、事情聴取等は公表を予定せず、秘密を守ることを約束して行つたものであり、陳述者個人の氏名等を公表することは適当でないと考える。
3 宮古島及び石垣島においては、旧軍が飛行場用地を買収したことを証する直接的な資料(土地売渡証書、領収書等)が相当数発見されている。これに対し、沖縄本島及び伊江島においては直接的な資料は発見されていないが、これは、これらの地域で直接の戦闘が行われ、直接的な資料が滅失したためではないかと考えられる。しかしながら、沖縄本島及び伊江島においても、旧陸・海軍の軍用地買収手続あるいは代金の支払方法等に関する資料は発見されており、また、代金の支払及び受領を認める関係者の陳述等がある。

三について

1(1)及び(2) 昭和二十一年から昭和二十六年にかけて行われた土地所有権認定作業は、米国軍政府及び民政府の布告等に基づき、各市町村ごとに組織された土地所有権委員会によつて進められた。その結果、所有権者が明らかになつた土地については、各市町村長から当該土地所有権者に対し、土地所有権証明書が交付されている。この土地所有権認定作業を通じて所有権に争いがある場合には、調停制度や巡回裁判制度により所有権を確定することとされ、その旨あらかじめ周知されていた。さらに、一定の土地に対する所有権の申告がない等の場合には、当該土地は、当該土地の所在地の市町村長が不在者のために管理した。
     米国軍政府及び民政府の施政下とはいえ、このような手続の下で行われた土地所有権認定作業は、十分信頼できると考える。
 (3) 千九百四十六年二月二十八日付け琉球列島米国海軍軍政本部指令第百二十一号によると、土地所有権認定作業においては、すべての土地について、その所有権の調査をすることとされており、一部の基地については、土地所有権認定作業に際して立入調査が行われたという陳述がある。
2(1) 本件土地については、昭和二十一年から昭和二十六年にかけて行われた土地所有権認定作業の結果、昭和二十六年四月一日、読谷村長から国有地として土地所有権証明書が交付された。
     その後、本件土地の一部については、巡回裁判の結果民有地とされたが、残余の部分については、沖縄県に対し、登記名義人の表示の変更登記を行うよう申し入れている。
 (2) 御指摘の土地は、読谷村字座喜味大道原に所在しているが、当該土地については民間人が土地所有申請を行い、民有地と認められたものであり、民有地については、大蔵省報告書作成に際して調査の対象にしていないので、その土地所有権認定作業の手続に関する具体的経過については確認できない。
 (3) 読谷村字伊良皆六九七番の土地については、巡回裁判の結果、その一部について、上間清子の所有権が認定された。これは、土地所有権認定作業を通じて所有権について争いがある場合には、調停制度や巡回裁判制度により所有権者を確定することとされ、その旨が周知されていたことによるものと判断される。
3 土地所有権認定作業において、旧軍が使用していた土地についても民間人による土地所有申請が禁じられていたわけではない。
  なお、国有地に対する民間人の土地所有申請書は収集されていない。
4 土地所有権認定作業は、1(1)及び(2)において述べたとおり米国軍政府及び民政府の布告等に基づき行われており、重大な欠陥があつたとの御指摘は当たらないと考える。

四について

 御指摘の答弁は、旧読谷飛行場跡地の処理についてのものであり、同跡地の処理に関する政府の考え方は変わつていない。

 右答弁する。




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