答弁本文情報
昭和六十年九月二十七日受領答弁第四六号
内閣衆質一〇二第四六号
昭和六十年九月二十七日
内閣総理大臣 中曽根康弘
衆議院議長 坂田道太 殿
衆議院議員森清君提出日本国憲法制定に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
衆議院議員森清君提出日本国憲法制定に関する質問に対する答弁書
一について
日本国憲法は、大日本帝国憲法の改正手続によつて有効に成立したものであつて、その間の経緯については、法理的に何ら問題はないものと考える。
一についてにおいて述べたとおり日本国憲法は大日本帝国憲法の改正手続によつて有効に成立したものであつて、御指摘のように連合国最高司令官の権限においてその有効性が保障されているものではない。
陸戦ノ法規慣例ニ関スル規則中の占領に関する規定は、本来交戦国の一方が戦闘継続中他方の領土を事実上占領した場合のことを予想しているものであつて、連合国による我が国の占領のような場合について定めたものではないと解される。
日本国憲法が大日本帝国憲法の改正手続によつて有効に成立したものであることは、一についてにおいて述べたとおりであり、日本国憲法の前文における「日本国民は、正当に選挙された国会における代表者を通じて行動し、…この憲法を確定する」との文言は、日本国憲法が正当に選挙された国民の代表者によつて構成されていた衆議院の議決を経たものであることを表したものと解される。したがつて、御指摘のような問題はないものと考える。
日本国憲法が御指摘の分類のいずれに属するかは、講学上の問題であつて、政府として断定することは、差し控えたい。