衆議院

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昭和六十一年五月十六日受領
答弁第一三号

  内閣衆質一〇四第一三号
    昭和六十一年五月十六日
内閣総理大臣 中曽根康弘

         衆議院議長 坂田道太 殿

衆議院議員矢山有作君提出「日米防衛協力のための指針」に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員矢山有作君提出「日米防衛協力のための指針」に関する質問に対する答弁書



一の1及び2並びに二の5について

 「日米防衛協力のための指針」は、日米間の協力の在り方に関する防衛協力小委員会の研究・協議の結果を取りまとめて文書の形にしたものであり、その性格は飽くまでも指針である。

一の3について

 御指摘の答弁は、「『日米防衛協力のための指針」(以下「指針」という。)の内容については、閣議において、外務大臣及び防衛庁長官から報告され、了承されたものである」との趣旨を述べたものである。
 なお、「閣議決定」とは、内閣の機関意思を決定するものとして、閣議でする決定をいい、「閣議了解」とは、行政事務を分担管理する国務大臣が、その機関意思を決定するにつき、閣議において与えられる了解をいう。

一の4について

 統合幕僚会議事務局及び陸上、海上、航空各幕僚監部の関係部局がそれぞれの所掌事務に応じて御指摘の各研究に参加しており、それぞれを担当する室又は課を特定することはできない。
 また、これまで共同作戦計画の研究を優先して進めてきているが、他の項目についても逐次研究を実施している。

一の5について

 研究を実施するに当たつての政府部内における具体的な協議等の状況については、事柄の性質上、答弁することを差し控えたい。

一の6について

 御指摘の文書の番号は、「長官指示第六号」であり、同文書は、統合幕僚会議議長及び陸上、海上、航空各幕僚長に対して発出されている。
 なお、同文書は、秘密ではない。

一の7について

 「指針」が閣議に報告された際、防衛庁長官が「この指針に基づき自衛隊が米軍との間で実施することが予定されている共同作戦計画の研究その他の作業については、防衛庁長官が責任をもつて当たることとしたい」旨発言したのは、これらの研究の性格等によるものであり、このことに御指摘のような意味はない。

二の1及び4、十九の1から3まで、二十三の2から4まで、7及び8並びに二十四の5から9までについて

 通常、日米安保条約の関連取極とは、条約第六条の実施に関する交換公文、吉田・アチソン交換公文等に関する交換公文、地位協定、相互防衛援助協定に関する交換公文をいい、また、関係法令及び関係取極とは、それぞれその時々に現に存在する国内法令及び日米間の取極を意味する。

二の2及び3、三の2、4及び9から11まで、四の5、五の1、六の1及び4、七の8、9及び15、八の24、十二の2から4まで、十三の2から4まで、10から12まで及び20、十四の1から5まで及び12、十六の6、十八の4及び6、二十の2及び3、二十二の2及び3並びに二十三の6について

 御指摘の部分は、いずれも一般的な意味で記述されているものである。

三の1について

 「その防衛政策として」は、その次の「整備・維持し」までかかるものであるが、この部分の記述は、我が国の憲法及び基本的な防衛政策に基づいているものである。

三の3について

 御指摘の部分は、一般的な意味で記述されているものであるが、いずれにせよ「指針」は新たな立法措置を義務づけるものではない。

三の5について

 我が国における施設・区域は、地位協定に基づいて米軍の使用に供されていることによるものである。

三の6から8までについて

 非核三原則は、我が国が主体的意思に基づき我が国においては核兵器の存在を許さないことを内容とする政策であるところ、日米安保条約の下において、同条約及び関連取極の規定に従つて行われる核攻撃力を有する米軍部隊と自衛隊の共同対処行動自体は、非核三原則に反するものではない。
 米軍の部隊運用に係る日米間の協議等については、事柄の性質上、答弁することを差し控えたい。

四の1について

 御指摘の両者には基本的な相違はない。

四の2について

 「共同対処行動」とは、我が国防衛のため、自衛隊と米軍が行う共同作戦のように日米安保条約に基づき日米両国が共通の危険に対処するために共同してとる行動である。

四の3、六の7、七の6及び14、十四の6並びに十五の1について

 御指摘の部分は、いずれも特定のものを念頭に置いて記述されているわけではない。

四の4、五の21、七の1及び10、八の21、十六の1、二十の1、二十一の1、二十二の1並びに二十三の1について

 御指摘の用語は、いずれも一般的な意味で使用されているものであり、防衛庁において定義されたものがあるわけではない。

五の2から4まで、6及び20並びに七の7について

 「共同作戦計画についての研究」は、日本に対する武力攻撃がなされた場合に、自衛隊及び米軍が、日本防衛のための整合のとれた作戦を円滑かつ効果的に共同して実施するための、「指針」に基づく研究であり、防衛庁独自の研究である「防衛研究」とは別個のものである。
 なお、「指針」に基づき自衛隊及び米軍が行うのは、「共同作戦計画」の策定ではなく、飽くまでも「共同作戦計画についての研究」である。

五の5について

 「共同作戦計画についての研究を行う」とされているのは、情勢の変化等に応じて絶えず研究を行つていく必要があること等によるものである。

五の7について

 御指摘の用語について明確に定義されたものがあるわけではないが、一般的には、「共同演習」は特に総合的な「共同訓練」を指すものとして使用されている。

五の8から10まで及び16から19まで並びに十六の7から10までについて

(一) 「共通の実施要領」及び「あらかじめ調整された作戦運用上の手続」は、いずれも自衛隊及び米軍が整合のとれた作戦を円滑かつ効果的に共同して実施するためのものであるが、「共通の実施要領」が作戦上必要と認める具体的な実施の手順であるのに対し、「あらかじめ調整された作戦運用上の手続」とは、自衛隊及び米軍がそれぞれの指揮系統に従つて行動することから必要となる手続である。
(二) 「共通の実施要領」及び「あらかじめ調整された作戦運用上の手続」の具体的内容等については、現在研究中である。
    なお、御指摘の「標準化協定(Standardization Agreement)」の性格等については承知していない。

五の11、14及び15について

 御指摘のACP及びATPは、米軍が作成した文書で、それぞれ標準的な通信要領及び戦術要領を定めたものであり、昭和三十四年から各自衛隊において使用することが承認されているが、その種類については、事柄の性質上、答弁することを差し控えたい。

五の12について

 御指摘の答弁は、ACP及びATPを念頭に置いたものである。

五の13について

 リムパック84において、海上自衛隊は、ACP及びATPを使用したが、これらは、「秘」に区分されており、その種類、名称及び内容について答弁することは差し控えたい。

五の22及び23、六の5及び6、七の2から5まで及び11から13まで、八の5から9まで及び27、十一の4及び5、十三の14、17及び21から24まで、十四の11及び14から17まで、十五の2、十七並びに十八の2、3及び5について

 御指摘の点は、いずれも現在研究中である。
 なお、「相互間の通信連絡体系」、「相互支援」、「緊急取得要領」、「自衛隊と米軍との間の調整機関」、「情報組織」及び「情報の要求、収集、処理及び配布」は、それぞれ一般的な意味で使用されているものである。

六の2について

 自衛隊は、従来から、米軍との間で必要な情報交換を行つてきているところである。

六の3、十五の3及び二十三の9について

 御指摘の点の国内法上の根拠は、いずれも防衛庁設置法(昭和二十九年法律第百六十四号)第六条である。

七の16及び17について

 「指針」に基づく各種の研究は、特定の取極を締結することを目的とするものではない。

八の1について

 「指針」にいう「武力攻撃がなされるおそれのある場合」は、一般的な意味で記述されているものであるが、これは、日米両国が整合のとれた共同対処行動を確保するために必要な準備を行うことが適当であるような事態を指すものであり、自衛隊法(昭和二十九年法律第百六十五号)第七十六条に規定する防衛出動の要件としての「武力攻撃のおそれのある場合」より広い概念であると考えている。

八の2から4まで、28及び29、十九の6及び7、二十の4及び6、二十一の2及び3並びに二十二の4、5、8及び10について

 御指摘の点は、日米間の協力の基本的な在り方等について記述されている部分に係るものであるが、その具体的内容等については、いずれも今後の検討の課題である。

八の10、11及び13について

 「作戦準備」は、「日本に対する武力攻撃がなされるおそれのある場合」に実施されるものであり、一般的には、防衛出動待機命令より前の時点から行われるものと考えているが、その具体的内容等については、現在研究中である。
 なお、命令による治安出動、治安出動待機命令及び海上における警備行動は、我が国に対する武力攻撃に対処するために下令されるものではない。

八の12、14から18まで、20、23、25及び26について

 「共通の準備段階」、「共通の基準」、「行動準備」、「その他の作戦準備に係る事項」、「部隊の戦闘準備の態勢」及び「戦闘準備」は、いずれも一般的な意味で使用されているものであるが、
 それぞれの具体的内容等については、いずれも現在研究中である。
 なお、御指摘の「デフコン」が米軍の警戒態勢を指すのであれば、これは、御指摘の「航空自衛隊の『警戒態勢』」等とは別個のものである。

八の19及び十八の1について

 「情報活動」及び「情報」は、それぞれ一般的な意味で使用されているものであるが、いずれにせよ、自衛隊の情報活動は、我が国の憲法及び基本的な防衛政策の範囲内で行われるものである。

八の22について

 御指摘の用語は、「指針」において記述されているものではなく、また、防衛庁において定義されたものがあるわけではない。

九について

 御指摘の部分は、いずれも日米安保条約及び防衛計画の大綱に従つて記述されているものであり、「指針」にいう「限定的かつ小規模な侵略」とは、防衛計画の大綱の「限定的かつ小規模な侵略」と同様な意味である。

十の1について

 御指摘のそれぞれの英文の表現には、基本的な相違はない。

十の2及び3について

 御指摘の点について、「指針」においては、それぞれの防衛力を「適時かつ効果的に(in a timely and effective manner)」運用することとされているが、これは、一般的な意味で記述されているものである。

十一の1及び2並びに十四の7及び8について

 自衛隊の実施する各種の作戦は、我が国の憲法及び基本的な防衛政策の範囲内で行われるものである。
 なお、「防勢作戦」は、一般的な意味で使用されているものであり、防衛庁において定義されたものがあるわけではない。

十一の3、十三の5から9まで及び13並びに十四の9及び10について

 御指摘の点は、状況によつて異なるので、一概に述べることは困難であるが、いずれにせよ、自衛隊の実施する作戦については、我が国の憲法及び基本的な防衛政策の範囲内で行われるものであることは先に述べたとおりである。

十一の6について

 御指摘のような事実は承知していないが、「自衛隊の能力の及ばない機能」に関連する米国の日本に対する協力の具体的な在り方については、現在研究中である。

十二の1について

 御指摘の点は、米陸軍以外の陸上部隊も念頭に置いて記述されていることによるものである。

十二の5及び6並びに十三の15及び25について

 御指摘の点は、いずれも我が国の防衛作戦の基本的な考え方等を踏まえ、それぞれの作戦の特性に応じて記述されているものである。
 なお、共同作戦の実施に当たつては、部隊の来援の必要性を含め、日米間で話合いが行われることになるものと考えている。

十三の1について

 御指摘の点は、海上作戦の態様を「周辺海域の防衛のための海上作戦」と「海上交通の保護のための海上作戦」とに区分して整理していることによるものである。

十三の16について

 御指摘の「運用上の観点」という記述は、我が国の海上防衛力整備の観点ではなく、我が国防衛のため必要な範囲で実際に作戦を実施する場合の観点という意味である。

十三の18及び19について

 御指摘の点について、「指針」においては、「機動打撃力(additional mobility and strike power)」とされているが、これは、一般的な意味で記述されているものである。

十四の13について

 御指摘の点は、米軍が行うこととされている「航空打撃力を有する航空部隊の使用を伴うような作戦」は、自衛隊の能力の及ばない機能を補完するための作戦として実施されるものであること等によるものである。

十五の4について

 「指針」は、主として機能別に日米間の協力の在り方を記述しているものである。

十六の2について

 御指摘の点は、英文では、「command‐and‐control channels」という一つの用語として記述されているものである。

十六の3から5までについて

 御指摘の「統制権」とか「作戦統制」とかについては、「指針」において記述されているものではなく、また、日米間において定議されたものがあるわけではない。
 いずれにせよ、自衛隊及び米軍はそれぞれの指揮系統に従つて行動するものである。

十六の11から13までについて

 「松前・バーンズ取極」は、我が国における対領空侵犯措置のためのものであり、締結以来改正されておらず、今日においても有効である。

十八の7について

 先に述べたとおり、「指針」は、そもそも新たな立法措置を義務づけるものではない。

十九の4について

 「指針」にいう「後方支援活動」は、「日本に対する武力攻撃がなされた場合」に行われるものであり、御指摘のようなことはない。

十九の5について

 「後方支援」は、一般的な意味で使用されているものであり、防衛庁において定義されたものがあるわけではない。
 御指摘の「後方補給」については、「指針」において記述されているものではなく、また、防衛庁において定義されたものがあるわけではない。

二十の5について

 一般的に、調達は、取得の一手段であると承知している。

二十二の6及び7について

 自衛隊が御指摘の「米軍の装備品の整備」について支援を実施する場合、その国内法上の根拠は、防衛庁設置法第六条である。
 また、これまで自衛隊が米軍の装備品の整備を行つたことはない。

二十二の9について

 御指摘の「関連活動」とは、「指針」のIIの2の(2)の(v)の(c)「整備」に関連する活動をいう。

二十三の5について

 御指摘の点について、「指針」においては、「効果的かつ経済的な使用」とされているが、これは、一般的な意味で記述されているものである。

二十四の1について

 日米安保条約上の極東の範囲については、昭和三十五年二月二十六日に衆議院安保条約等特別委員会に提出された政府統一見解のとおりである。

二十四の2から4まで及び10から15までについて

 御指摘の部分は、いずれも一般的な意味で記述されているものであり、特定のものが念頭に置かれているわけではなく、また、「指針」のIIIにおいて想定されているのは、文字どおり、日本以外の極東における事態で我が国の安全に重要な影響を与える場合である。
 研究作業の内容については、事柄の性質上、その公表は日米安保体制の効果的運用に支障を来すことともなり得るので、研究開始当初より、日米関係当局間で不公表とする旨合意されており、答弁することを差し控えたい。

 右答弁する。


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