答弁本文情報
昭和六十一年十月三日受領答弁第六号
内閣衆質一〇七第六号
昭和六十一年十月三日
内閣総理大臣 中曽根康弘
衆議院議長 原 健三郎 殿
衆議院議員草川昭三君提出在郷軍人病に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
衆議院議員草川昭三君提出在郷軍人病に関する質問に対する答弁書
一について
いわゆる在郷軍人病とは、土壌菌の一種であるレジオネラ菌による感染症であり、一般健常人では極めてまれにしか発症せず、免疫機能の低下した人に発症することがある疾病とされている。
昭和五十六年度及び五十七年度に厚生省が組織した研究班において調査を行つたところ、レジオネラ菌は広く土壌、河川、湖沼等に分布しているので感染の素地は至る所にあるが、建築物内における発生メカニズムとしては、@土壌等のレジオネラ菌が冷却塔水に入つてそこで増殖し、A更に飛散して冷却塔に近接する外気取入口から侵入し空気調和設備を介して建築物内に拡散し、Bこれを吸入することにより免疫機能の低下した人が発症すると推論される、との報告を受けている。
昭和五十六年度及び五十七年度に厚生省が組織した研究班による調査結果を踏まえ、昭和五十八年三月に都道府県あて通知した「建築物環境衛生維持管理要領」において「冷却塔については、必要に応じ、冷却水の交換、清掃、消毒を行うこと。」とするとともに、建築物環境衛生管理技術者講習会等の場で、冷却塔の維持管理を適切に行うよう指導しているところである。
在郷軍人病の発生メカニズムと冷却塔設備の構造、空気調和設備用の外気取入口の位置等の関係が十分解明されていない現段階においては、建築基準法令において当該構造等について基準を定めることは考えていない。