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答弁本文情報

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昭和六十一年十二月五日受領
答弁第一五号

  内閣衆質一〇七第一五号
    昭和六十一年十二月五日
内閣総理大臣 中曽根康弘

         衆議院議長 原 健三郎 殿

衆議院議員草川昭三君提出蚕糸価格政策に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員草川昭三君提出蚕糸価格政策に関する質問に対する答弁書



一について

 今後の農政の展開に当たつては、農地の流動化及び農業生産の組織化を通ずる規模拡大等による生産性の向上、需給均衡の確保等が重要となつており、価格政策の運用に当たつても、これらの施策との関連に十分配慮した運用が肝要であると考えている。
 また、去る十一月二十八日に農政審議会から農林水産大臣に対し、価格政策も含め、中長期的な農政の基本方向についての検討結果として、「二十一世紀へ向けての農政の基本方向」が報告されたところであり、同報告も踏まえ、価格政策の運用に遺憾なきを期してまいる考えである。
 なお、繭及び生糸については、二についてにおいて述べるとおり、昭和六十年四月、繭糸価格安定制度の抜本的改正のための法律改正が行われたところである。

二について

(一) 繭糸価格安定制度及び蚕糸砂糖類価格安定事業団(以下「事業団」という。)については、近年における生糸需給の不均衡、事業団における大量の生糸在庫の累積等蚕糸業をめぐる諸情勢にかんがみ、また、臨時行政調査会の最終答申及び(三)において述べる会計検査院の指摘も踏まえ、繭及び生糸の価格安定に関する措置の改善を図るとともに、事業団における生糸在庫の処理の円滑化を図るための措置を講ずることを目的とする「繭糸価格安定法及び蚕糸砂糖類価格安定事業団法の一部を改正する法律」(昭和六十年法律第二十四号)が昭和六十年四月二十三日に公布され、同年五月一日から施行されたところである。
    今後とも、この法律改正の趣旨に即した制度の適切な運営を行つていく考えである。

(二) 繭及び生糸の行政価格については、昭和六十年の法律改正により、従来の生糸の生産条件を基準とした価格設定方式から生産条件及び需給事情その他の経済事情を総合的に勘案した価格設定方式に変更したところである。
    今後とも、この法律改正の趣旨に即した価格設定を行つていく考えである。

(三) 会計検査院の昭和五十八年度決算検査報告で特記された繭糸価格安定制度及び事業団に関する指摘の要点は、次のとおりである。
    繭糸価格安定制度及びこれを運営する事業団の財政の現状は、危機的様相を呈しており、急激な国内生産の調整及び輸入の縮減ができないなど種々の困難な事情は認められるが、このまま放置すると、過剰在庫を整理することが困難となるばかりでなく、今後更に在庫量は増大し、損失は著増することになる。
    このため、事業団の過剰在庫を解消することが緊要であり、繭糸価格安定制度について抜本的見直しを行うことが必要である。

三について

 事業団の在庫生糸の売渡しについては、原則として先に買い入れた糸から放出することとしているが、生糸需要の減退に伴い、特に昭和五十四年度以降昭和六十年の法律改正までの間に事業団の生糸在庫が急増したため、古い糸の一部が残つているものである。

四について

 事業団の在庫生糸については、昭和六十年の法律改正によりその処理の円滑化のための措置が講じられており、これにより、今後数年間をかけて処理することとしている。

五について

 事業団の特別勘定の長期借入金は、昭和六十年度末において千九百五十二億円である。その金利については、特定の金融機関との個別取引に係る事柄であるので、具体的な数値は公表できないが、水準としては、通常の貸付金利より若干低いものとなつている。
 事業団の特別勘定の欠損金は、昭和六十年度末において四百七十五億円である。

六について

 御指摘の懇談会に事業団の職員が同席したことについては、横浜生糸問屋協会から事業団に対し、当該懇談会終了後事業団の横浜倉庫を視察する予定があるとの連絡が事前にあり、このため、事業団が同協会と相談の上、視察に際して遺漏のないようにと配慮したことによるものであるとの報告を事業団から受けている。

七について

 日本器械製糸工業組合(以下「日器工」という。)の行為が私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(昭和二十二年法律第五十四号。以下「独占禁止法」という。)に違反するかどうかについては、具体的な事実関係に係る問題であるので、現時点では答弁を差し控えることとしたい。
 なお、一般的に言えば、行政官庁の指導の存在により、事業者団体の行為が独占禁止法違反を免れるものではない。

八について

 日器工の行為については、中小企業団体の組織に関する法律(昭和三十二年法律第百八十五号)第十八条の認可を受けてはいないが、一般的に言えば、当該行為が行政指導の内容を通知するものであれば同条の認可の対象となるものではなく、生産数量について組合として組合員の同意の下に何らかの制限を行うものであれば同条の認可の対象となるものである。

九について

 横浜生糸、神戸生糸、前橋乾繭及び豊橋乾繭の各取引所は、昭和六十一年九月十一日、特定の商品取引員に対し監査を行つたが、この監査は、各取引所の定款に基づき、商品取引員の受託業務の運営について行つたものであると承知している。

十について

 農林水産省としては、適切な市場管理が行われることとなるよう従前から商品取引所を指導してきているところであり、御指摘の取引所の通達は、商品取引員の受託業務の適正化を期するために行つたものであると理解している。
 なお、通商産業省所管の商品取引所において御指摘のような通達を行つた例はない。

十一について

 農林水産省としては、商品市場における価格形成及び取引の公正の確保を図る観点から、商品取引員に対し、適正な受託を行うよう指導しているところである。また、商品取引所に対しても、商品取引員に対し適正な受託を行うよう指導監督すること、相場が過熱するおそれがある場合には委託臨時増証拠金を徴収すること等適切な市場管理を行うよう指導しているところである。

十二について

 委託者の債権の保全を通じて商品取引員に対する信頼を確保するため、商品取引員に対し、一定の純資産額の保有、財務に関する定期的報告、商品取引所に対する受託業務保証金の預託等を義務付けるとともに、商品取引員が売買取引の受託により生じた債務を弁済することができない場合に代位弁済を行う指定弁済機関制度を設けているところである。
 今後とも商品取引員に対する信頼を高めるため、その財務基盤の強化を図るよう、商品取引所を通じて商品取引員を指導してまいりたい。

 右答弁する。




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