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答弁本文情報

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昭和六十二年四月十日受領
答弁第一七号

  内閣衆質一〇八第一七号
    昭和六十二年四月十日
内閣総理大臣 中曽根康弘

         衆議院議長 原 健三郎 殿

衆議院議員遠藤和良君提出売上税導入に伴う独占禁止法の運用に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員遠藤和良君提出売上税導入に伴う独占禁止法の運用に関する質問に対する答弁書



一について

 物品税分の転嫁の仕方についての話合いを私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(昭和二十二年法律第五十四号。以下「独占禁止法」という。)違反として措置したことはない。

二について

 売上税分の転嫁の仕方、新価格の表示方法などについての話合いにとどまらずに、それに便乗して対価の決定を行うことは独占禁止法上問題となる。

三について

 事業者団体において、売上税分の転嫁の仕方、新価格の表示方法などに限つて話合いを行うことは独占禁止法上問題とならない。ただし、売上税の転嫁に便乗して、事業者間で商品・サービスの対価を決定することは独占禁止法上問題となる。

四について

 売上税は、転嫁により消費行為に負担を求めることを予定して事業者の売上げに課税する間接税である。
 財貨・サービスの価格は、各事業者ごとに当該財貨等の需給関係、コスト等に基づき自由な競争の下で決まるべきものであるが、売上税については前述のように価格決定に際してその全額が価格に含められて転嫁されていくべき性格のものと考える。

五について

 事業者団体において売上税分の転嫁の仕方、新価格の表示方法などに限つて話合いをすること、事業者団体が、構成員に対して売上税に関する資料や情報を提供したり、売上税の制度の仕組みを説明したり、関係官庁からの協力依頼に基づいて各種の要請を行うこと、構成員に対して売上税制施行に伴つて生ずる事業経営上の諸問題について指導を行うこと、構成員の取引先等に対して売上税の導入に伴う業界の実情等について理解を求める旨の要請を行うことは、いずれも独占禁止法上問題とならないので、同法に関する特例を認める指針を策定する必要はないと考えられる。

六及び七について

 メーカーや百貨店、スーパー等が、取引上の地位が相手方に優越していることを利用して、非課税事業者である納入業者等に対して課税事業者となるよう強要し、これに応じない納入業者等に対し取引を拒否し又は差別的な取扱いを行うようなことがあつた場合においてそれが独占禁止法に違反するか否かは、事案に即して個別具体的に判断されることとなるが、一般論としては、そのような行為が、非課税事業者である納入業者等に対し不当に不利益を与える場合には、不公正な取引方法として独占禁止法に違反するおそれがあると考えられる。

八について

 政府としては、売上税が転嫁により消費行為に負担を求めることを予定して事業者の売上げに課税する間接税であるとの基本的性格を踏まえ、その円滑な転嫁が行われることが重要と考えており、転嫁の円滑化のための措置について種々検討を行つているところである。

九について

 今回の売上税の創設を含む抜本的税制改革は、所得、消費、資産等の間で均衡の取れた税体系を構築することとし、所得税、法人税等の思い切つた減税を行い、現行間接税制度が抱える諸問題を根本的に解決し、併せて減税財源を確保する観点から売上税を創設するというものであり、現在国会に提出している売上税法案を撤回する考えはない。
 売上税法案においては、納税者の事務手続を簡素化し、我が国独自の流通形態と取引慣行になじむよう免税点を思い切つて高くするとともに、税額票のまとめ発行を認める等種々の工夫を施しているところであり、日本経済を破壊するとの御指摘は当たらないと考える。
 なお、売上税の導入に際しては、各事業者が無用の不安を抱き混乱が生じることのないよう各業界の実態に十分配意しつつ、公正取引委員会を始め関係省庁間の連絡を密にして対応してまいる考えであり、独占禁止法についても、売上税の性格を踏まえつつ、その適切な運用に努めてまいる所存である。

 右答弁する。




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