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答弁本文情報

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昭和六十三年五月三十一日受領
答弁第三四号

  内閣衆質一一二第三四号
    昭和六十三年五月三十一日
内閣総理大臣臨時代理
 国務大臣 宮澤喜一

         衆議院議長 原 健三郎 殿

衆議院議員滝沢幸助君提出教科書の檢定と採擇制度および其れに關連する問題についての質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員滝沢幸助君提出教科書の檢定と採擇制度および其れに關連する問題についての質問に対する答弁書



一について

(一) 御指摘の教科用図書検定基準の項は、日韓共同コミュニケ及び日中共同声明の精神を尊重する立場に立つて発表された昭和五十七年八月二十六日の「『歴史教科書』についての官房長官談話」の趣旨を受け、教科用図書検定調査審議会の答申に基づき設けられたものであり、現在、この項を廃止することは考えていない。

(二) 教科書検定は、教科書の記述が、教育基本法(昭和二十二年法律第二十五号)に定める教育の目的及び方針並びに学校教育法(昭和二十二年法律第二十六号)に定めるその学校の目的及び学校教育の目標に一致したもの、学習指導要領にのつとつたもの、客観的かつ公正なもの、児童・生徒の理解力など心身の発達段階に照らして適切な教育的配慮が施されたものとなるようにとの立場から教科用図書検定基準に基づき行つているところであるが、文部大臣は、原稿本審査合格の条件として、修正意見を付することができることとされている。

(三) 御指摘の原書房発行の「新編日本史」教科書の検定に際しては、内閣総理大臣から文部大臣に対して、昭和五十七年の官房長官談話の趣旨に配慮して適切に行うようにとの一般的な指示が行われ、また、外務省からも右官房長官談話の精神を踏まえ検定作業が行われることが必要であるとの考え方が伝えられ、右官房長官談話の趣旨に対する配慮を更に深めて文部大臣が本件教科書の検定を実施したものである。
    教科書検定については、従来から、法令の規定による文部大臣の権限に基づき、適切に実施してきているところである。

(四) 歴史教科書の検定においては、広く受け入れられている学問研究の成果に基づき記述されているかどうかという観点から審査を行つており、必要な場合は、児童・生徒の発達段階に即して、多様な考え方があることを理解させる記述となるよう配慮しているところである。

二について

 教科書の採択については、臨時教育審議会の「教育改革に関する第三次答申」の趣旨も踏まえ、本年度、学識経験者等の協力を得て教科書採択の在り方に関する調査研究を行い、適切な採択の在り方について検討することとしている。
 また、教科書の採択は、都道府県教育委員会及び市町村教育委員会が、それぞれの権限と責任に基づき、適正かつ公正に行うべきものであり、その職務の適切な執行を妨害する行為等により採択結果が左右されることのないよう適切な対応がなされなければならない旨指導しているところである。
 なお、現在、御指摘のような罰則を設けることは考えていない。

三について

(一) 学習指導要領については、昭和六十二年十二月の教育課程審議会の答申を受けて、現在、改訂のための検討を行つているところであり、小学校及び中学校については昭和六十三年末を目途に、また、高等学校については昭和六十四年春ごろに、それぞれ告示する予定である。

(二) 小学校、中学校及び高等学校の国語科の教科書において、仮名遣いについては、現代口語文においては「現代仮名遣い」(昭和六十一年内閣告示第一号)を用いることとし、文語文においては原則として歴史的仮名遣いを用いることとしている。また、漢字については、使用する漢字の範囲及びその使用法は「常用漢字表」(昭和五十六年内閣告示第一号)によることとし、原典をそのまま載せる必要がある場合などにはこれによらないことができることとしている。これらの扱いについては、現在、適切なものと考えている。

四について

 教育基本法は、我が国の教育の理念と基本原則を定めたものであり、今日、広く定着しているところである。現在、教育基本法の改正を行うことは考えていない。





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