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答弁本文情報

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平成三年五月三十一日受領
答弁第一三号

  内閣衆質一二〇第一三号
    平成三年五月三十一日
内閣総理大臣 海部俊樹

         衆議院議長 櫻内義雄 殿

衆議院議員長谷百合子君提出リニアモーターカー山梨実験線にかかわる諸問題に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員長谷百合子君提出リニアモーターカー山梨実験線にかかわる諸問題に関する質問に対する答弁書



一の1について

 超電導磁気浮上式鉄道については、交通機関の高速化についての取組が諸外国においても重要な課題とされている中で、高速かつ低公害という優れた特性を有する交通機関として技術開発が進められており、将来、実用化された場合には、基幹的な高速交通機関になり得るものと考えている。なお、一人を一キロメートル輸送する際のエネルギー消費量は、航空機の場合の約二分の一と見込まれている。

一の2について

 御指摘の各条件における超電導磁気浮上式鉄道の電力消費量については、列車の連結車両数、加速度、最高速度等により異なるので、一概に確定することは困難である。

一の3について

 実験に要する電力については、電力会社との契約電力が一時間当たり約一万キロワットと想定されており、車両の走行によりその大部分を消費することとなる。

一の4について

 山梨実験線の変電所については、受電設備の容量が四万五千キロボルトアンペアのもの一箇所及び九万キロボルトアンペアのもの一箇所の設置が計画されており、出力はそれぞれ約四万キロワット及び約八万キロワット、効率はそれぞれ約九十パーセントと想定されている。

一の5について

 山梨実験線への電力供給のための新たな送電設備の建設は、現在行われていない。なお、東京電力株式会社は、既設の送電系統から山梨実験線へ所要の電力を供給するための送電線の建
設に平成四年に着手することを計画中であると聞いている。

一の6について

 電力需要は、国民生活の多様化、国民のアメニティ志向等を反映して今後ともある程度高い伸びで増加すると見込まれる。このような事情を踏まえ、国民生活、産業活動の基盤を支える重要なエネルギーである電力の安定供給を確保するため、柏崎刈羽原子力発電所を含め電源開発が計画的に行われているものであり、特に超電導磁気浮上式鉄道の実験等を目的として柏崎刈羽原子力発電所の増設を行っている事実はない。

二の1から4まで及び6について

 超電導磁気浮上式鉄道の超電導磁石による磁場が動物、乗客、沿線の住民等に与える影響は、日常的に存在する磁場によるものと同程度であり、特に問題はないと考えられる。

二の5について

 財団法人鉄道総合技術研究所においては、強磁場における作業は自動化する等の措置が講じられており、安全上問題はないと考えている。

三の1について

 トンネルの規模は本数でみると十四本、総延長でみると約三十五キロメートルであり、トンネル工事により発生する残土の量は約五百万立方メートルと見込まれている。残土の処分方法については、日本鉄道建設公団、山梨県及び地元市町村の間で調整を行いつつ、宅地、田畑等の造成に活用していくことを計画しているところである。

三の2について

 今後工事を進めるに当たり、御指摘の事態により問題が生ずることのない設計及び施工法が採られることとなる。

三の3について

 ボーリング調査は、トンネル区間の地点及び主な構造物の設置が予定される地点において四十二本実施されたところであり、今後も必要に応じ実施される予定である。その方法は、ボーリング調査において一般的に採用されているものであり、地盤を掘削し基盤層に至るまでの土を採取するというものである。

三の4について

 動植物については、既存の文献等による調査が既に実施されており、今後とも所要の現地調査が行われる予定である。

三の5について

 山梨実験線の約八割はトンネルであり、それ以外の区間についても、その多くは既に田畑、宅地等となっていることから、実験線の建設による里山の自然環境への影響は少ないものと考えられる。

四の1及び4について

 ガイドウェイ等の施設については、その構造上、地震、事故等により変形又は損傷することはほとんど考えられないが、万一、交差誘導線の切断等の事態が生じた場合には、保安装置が作動し列車は自動的に停止するシステムとなっている。

四の2について

 クエンチ現象は、昭和六十二年から平成二年までの間に、十四件発生しており、その規模としては、御指摘の一件については、列車が側壁に接触したものであるが、その他については、いずれも、保安装置により列車が停止したという軽微な故障であると聞いている。今後は、クエンチ現象を防止するため、改良された超電導磁石を採用することとされている。

四の3について

 列車内に緊急事態が発生した場合には、車内からの操作により保安装置が作動し、列車は自動的に停止するシステムとなっている。

五の1について

 昭和六十年度から平成元年度までの一日当たりの東京・大阪間の交通機関別利用状況は、別表のとおりである。

五の2について

 各交通機関の分担関係は、基本的には、各交通機関の競争と利用者の自由な選択を通じて形成されていくものと考えられる。
 超電導磁気浮上式鉄道は、現在、技術開発の途上にあり、交通機関としての我が国の交通体系の中での位置付けは、今後の技術開発の成果等を見極めた上で決定されるものであると考えている。

五の3から9までについて

 超電導磁気浮上式鉄道は、現在、技術開発の途上にあり、山梨実験線における連続高速走行試験等を経て実用化のめどを立てることとしており、御指摘の点については、基本的には、その時点において検討すべき問題であると考えている。



別表

(注)新幹線及び高速道路の利用状況については、断面交通量(各駅間又は各インターチェンジ間を通過する交通量)の平均値である。





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