答弁本文情報
平成三年六月四日受領答弁第一四号
内閣衆質一二〇第一四号
平成三年六月四日
衆議院議長 櫻内義雄 殿
衆議院議員早川勝君提出外国人の入国管理に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
衆議院議員早川勝君提出外国人の入国管理に関する質問に対する答弁書
一の1について
御指摘の財団法人日本語教育振興協会は、日本語教育施設の質的向上を図るため設立され、そのための必要な事業として教育施設の教育内容、教員の資格、設備等教育条件について審査を行っているものである。
これに対し、法務大臣は、出入国管理及び難民認定法(昭和二十六年政令第三百十九号。以下「法」という。)別表第一の四の表の就学の項の下欄に掲げる活動を行おうとする者(以下「就学生」という。)から在留資格認定証明書の交付申請があったときは、法第七条の二に基づき、申請人が法第七条第一項第二号に掲げる条件に適合しているか否かを個別に審査し、適合している場合には同証明書を交付することができるものとされている。
このように、法務大臣が行う外国人に対する在留資格認定証明書の交付に係る審査と財団法人日本語教育振興協会が行う日本語教育施設の審査とは、別個の視点で行われるものであって、外国人が財団法人日本語教育振興協会の認定を受けた日本語教育施設に入学を許可されたことをもって自動的に本邦への入国が認められるものではない。
就学生に関しては、出入国管理及び難民認定法第七条第一項第二号の基準を定める省令(平成二年法務省令第十六号。以下「基準省令」という。)中において上陸許可に関する基準が明らかにされており、それ以外の内規等は存在しない。
また、就学生として本邦に入国を希望する外国人の入国手続及び上陸許可に関する基準の内容等については、財団法人日本語教育振興協会等の主催する研修会等の機会をとらえ、在留資格認定証明書の交付申請を代理する日本語教育施設などに対し、積極的に説明、指導を行っている。
なお、個別の事案について日本語教育施設から地方入国管理局等に対し照会がなされた場合には、これに応じ説明を行うこととしている。
御指摘のような事実はない。
日本語教育施設ごとの統計は、取られていない。
なお、日本語教育施設全体の平成三年四月期生の就学生に係る在留資格認定証明書の交付件数(概数)は一万五千四百件、不交付件数(概数)は一万三千七百件であり、交付比率は約五十三パーセントとなっている。
就学生に関しては、基準省令において、本邦に在留する期間中の生活に要する費用の支弁に関する規定が設けられており、いずれの就学生についても同一の審査を行っている。
就学は、本来就労が認められない在留資格であり、この在留資格をもって上陸、在留しようとする者に関しては、その適正な就学活動が確保されるよう身元保証人を付することを要件とすることが必要であり、身元保証制度を引き続き維持する考えである。
なお、就学生の身元保証については、同制度が適正に運用されるよう入国審査等において身元保証人の保証意思や保証能力の確認に努めているところである。
就学生に係る在留資格認定証明書の交付申請については、一時期に多数の申請が行われ、かつ、一定期間内に可否を決定する必要があることから、各地方入国管理局ごとにあらかじめ業務量及び職員数等を勘案して、期間を定めて受理する取扱いを行うこととし、各日本語教育施設の協力を得ているところである。
御指摘の審査は、法令に基づいて行われており、各地方入国管理局によって相違することはない。
法務大臣は、本邦に上陸しようとする外国人からあらかじめ申請があったときは、当該外国人が法別表第一の三の表の短期滞在の項の下欄に掲げる活動を行おうとする場合を除き、法第七条第一項第二号に掲げる条件に適合している旨の在留資格認定証明書を交付することができることとされており、その審査については公平性に十分留意しているところであるが、審査は、その性質上、個々の申請について行うものであるところから、在留資格間等で右証明書の交付比率に差異が生ずることがある。
在留資格認定証明書の交付を受けている外国人から査証申請が行われた場合において、在外公館における審査の結果、提出された卒業証明書が偽変造であることが判明する等の例が認められ、その結果、査証が発給されないことがある。
在留資格認定証明書は、本邦に上陸しようとする外国人からあらかじめ申請があったときに当該外国人が法第七条第一項第二号に掲げる上陸の条件に適合していることを証するものとして法務大臣が交付するものであるところ、同証明書の交付は、査証の発給を保証するものではない。
御指摘の事実については、承知していないが、偽変造の卒業証明書を提出して入国を企図する中国人が増加する傾向にある実情にかんがみ、適切、有効な入国に係る審査方法を構築するよう現在関係省庁で検討中である。また、中国人就学生の我が国への入国問題については、中国政府とも協力しつつ適切な処置を講じてまいりたい。
不法就労者等法違反外国人に対しては、その定着化を防止しつつ減少を図っていくとの基本方針の下に、悪質な事案に重点を置いた摘発を積極的に実施しているほか、これら法違反外国人が多数存在すると認められる地域については、年間数回にわたり集中的な摘発を実施している。
これら法違反外国人対策については、右のほか、厳正な上陸審査及び適正な在留審査等を通じて最善の努力を払っているところである。
我が国は在留資格制度を採用し、本邦に在留する外国人が行うことのできる活動を限定しており、日系二世、三世であると否とにかかわらず、短期滞在等就労活動が許容されない在留資格で在留する外国人が就労することは許されない。不法就労の防止については、常々各方面に対する指導及び広報の努力を行うとともに、これら外国人が不法に就労しているとの端緒を得たときは、積極的に摘発するよう努めているところであり、今後ともその努力を続けて行く所存である。また、在留期間経過後不法に在留している外国人に対しても、同様に積極的な摘発を行っているところであり、今後も同様に対処する所存である。
不法就労者等法違反外国人の取締りを行うに当たっては、摘発の難易いかんによって摘発対象者を決めるようなことは一切しておらず、ブローカー等が介在する悪質な事案などに重点を置いた摘発を積極的に実施しており、今後とも同様の方針で対処していく所存である。