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答弁本文情報

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平成四年三月十日受領
答弁第二号

  内閣衆質一二三第二号
    平成四年三月十日
内閣総理大臣 宮澤喜一

         衆議院議長 櫻内義雄 殿

衆議院議員新村勝雄君提出歯科材料の製造認可基準と保険導入手続き及び補綴技術料に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員新村勝雄君提出歯科材料の製造認可基準と保険導入手続き及び補綴技術料に関する質問に対する答弁書



一について

 御指摘の事例は、株式会社ウベ循研が意図的に違法行為を行ったものであることから、同社を業務停止処分にするとともに、関係団体を通じ、医療用具製造業者に対して、再発防止についての指導の徹底を図ったところである。今後とも、このような事件については厳正に対処するとともに、適正な申請が行われるよう、医療用具製造業者を指導してまいりたい。

二について

 中央薬事審議会令(昭和三十六年政令第十二号)に基づき定められた中央薬事審議会規程により、歯科医学の専門家等で構成される歯科用調査会が中央薬事審議会に設けられ、歯科材料の安全性等に関する調査審議を行っているところである。厚生大臣は、その結果を参考として、歯科材料の承認審査を行っている。

三について

 新しい原理や原料を用いた歯科材料の承認審査については、画一的な基準を設定することが困難であり、最新の歯科医学的知見に基づき、個別品目ごとに承認審査を行っている。

四について

 医療用具の臨床試験については、各申請者が、医療用具の有する特性を勘案し、症例数及び期間の設定等を含めた臨床試験計画を作成することとしている。この臨床試験計画は厚生省に提出され、内容の適否について個別に確認されることとなっている。なお、厚生省は、申請者が適切な臨床試験計画を立案することを確保するために、症例数について目安を示しているものである。

五について

 歯科用調査会の調査員は、中央薬事審議会令の規定に基づき厚生大臣が任命した学識経験者である中央薬事審議会の委員又は臨時委員の中から、中央薬事審議会規程により中央薬事審議会会長が指名することとされている。御指摘のポリサルフォン樹脂が義歯材料として製造承認された平成元年七月当時の歯科用調査会の調査員は、東京医科歯科大学歯学部教授塩田重利、日本大学歯学部教授工藤逸郎、東京医科歯科大学歯学部教授佐藤温重、東京歯科大学教授関根弘、国立衛生試験所療品部長中村晃忠、昭和大学歯学部教授松本光吉及び日本歯科大学教授吉田隆一である。

六について

 御指摘の通知において「承認申請書に添付すべき資料のうち主要な部分は原則として日本国内の専門の学会において発表され、又は学会誌若しくはこれに準ずる雑誌に掲載され、若しくは掲載されることが明らかなものでなければならない。」としているのは、臨床試験成績等を論文等として公表することにより、添付すべき資料の質的向上と客観性の確保を図るためである。厚生大臣は、学識経験者で構成されている歯科用調査会の調査結果を参考として、歯科材料の承認審査を行っており、更に専門の学会へ諮問する必要はないものと考えている。
 また、医薬品及び他の医療用具についても、同様の理由から専門の学会への諮問は行っていない。

七について

保険診療上の有用性とは、医療上有用であることのほか、保険経済上も有用であることをいい、具体的には、医学的見地から有効であること、臨床上安全性が証明されていること等に加え、費用が合理的な範囲内であることである。

八について

 歯科医療に係る保険診療上の問題は、新規医療の導入も含め、従来から、社団法人日本歯科医師会から意見を聴取するとともに、中央社会保険医療協議会(以下「中医協」という。)での議論を踏まえ対処しているところである。日本歯科補綴学会の意見は、同学会の上部団体である社団法人日本歯科医師会の意見に反映されるものと認識しており、同会の意見を聴くことで足りるものと考えている。

九について

 ポリサルフォン樹脂については、一般に生体に対する安全性は高いものと評価されており、製造承認申請時に添付された動物実験等の前臨床試験成績及び臨床試験成績においても、安全性が確認されていることから、御指摘のような販売又は授与の一時停止等の処置を命ずる場合に該当するものとは考えていない。

十について

 従来から、新規医療技術等については、将来普及の見込みが高いと考えられるものにも保険診療上の有用性を認めて保険導入してきているところであるが、ポリサルホン樹脂有床義歯についても将来の普及の見込みが高いと判断して導入したものである。
 また、使用頻度の少ない理由及び昭和六十三年にスルフォン樹脂有床義歯の請求件数が減少した理由については確実に申し上げることができない。

十一について

 お尋ねの規模別の歯科技工所数の年次推移及び増加割合は次のとおりである。
歯科技工所数の年次推移及び増加割合
 (注)歯科技工所数については、昭和六十年以降調査が始まったものであるため、過去十年間のデータはなく、最近の五年間のデータを用いた。

 また、歯科技工士養成所の卒業者数及び就業歯科技工士数の過去十年問の年次推移は次のとおりである。
歯科技工士養成所の卒業者数及び就業歯科技工士数
(注)就業歯科技工士数は昭和五十七年以降二年ごとに調査が行われている。

 歯科技工所の総数が年々増加していること及び歯科技工士数別歯科技工所数についてもいずれも同程度の割合で増加していることから、歯科技工士一名程度の零細歯科技工所の歯科技工士の廃業や転職が近い将来において進行する状況にはないと考えている。

十二及び十三について

 昭和五十六年にポリサルホン樹脂有床義歯を保険導入した際には、「衆議院議員新村勝雄君提出歯科材料の製造認可基準と保険導入手続き及び補綴技術料に関する質問に対する答弁書(平成三年十月四日付け内閣衆質一二一第五号)」の十二及び十三についてにおいて述べたように、歯科技工料のみを考慮したのではなく、ポリサルホン樹脂有床義歯が堅ろう性、薄さ等の面で臨床上有用性があるほか、破損等による再製作の減少など保険上の有用性も高く評価できること等を含めて総合的に勘案し、中医協の議論を踏まえて、点数設定を行ったものである。その後の診療報酬改定においても、これらの諸要素をその都度見直し、中医協の議論を踏まえて、点数改定を行っているところであり、歯科技工料についても諸要素の一部として勘案されるものである。

十四について

 部義歯のうち鉤やバーなどの組合せが複雑なものには適合し難い面があることが認識されたことから、昭和六十年の診療報酬改定でスルフォン樹脂床を用いた局部義歯について点数を引き下げ、総義歯については点数を据え置くこととしたものである。

十五について

 社団法人日本歯科医師会が平成三年に発行した「スルフォン床義歯の昨今について」及びクインテッセンス出版株式会社が同年に発行した「ポリスルホン義歯の臨床応用」等に、専用接着剤を塗布することで修理及びリベースが可能となることが述べられている。

十六について

 昭和五十七年八月十日の衆議院内閣委員会における答弁は、医療技術上の適応の限界を述べたものではなく、欠損歯の増加等口腔内の状態が変わりやすい患者については義歯作成後短期間に再度製作したり、修理、調整する必要が生ずる可能性があるが、スルフォン樹脂有床義歯については、修理に時間を要すること等にかんがみ、適応症を選ぶことが望ましいとの趣旨を述べたものである。
 しかしながら、現在では、歯科医療技術の進歩により修理やリベースが容易になっているので、スルフォン樹脂有床義歯の適応症が限定されることはないものと認識している。

十七について

 御指摘の歯科技工料調査は、医療経済実態調査の補完的役割を有するものであり、その結果を公表すると以降の調査において種々の支障を来すことが考えられることから、現時点においては公表を見合わせているところである。
 また、同調査については、今後も、毎年一回実施していく予定である。

十八について

 平成二年の診療報酬改定においては、高齢化社会における歯科医療充実等の観点から、御指摘のスルフォン樹脂有床義歯を含む有床義歯に係る点数引上げのほか様々な措置を講じたものであり、スルフォン樹脂有床義歯のみに偏った改定を行ったものではない。

十九について

 従来から、歯科医療の充実の観点から所要の診療報酬の点数の引上げ等を図ってきているところであるが、平成四年四月一日実施予定の診療報酬改定では、技術料重視等の観点から、初診時基本診療料、再診時基本診療料及びアクリルレジン有床義歯に係る点数の引上げ等を行うこととしている。





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