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平成四年三月三十一日受領
答弁第四号

  内閣衆質一二三第四号
    平成四年三月三十一日
内閣総理大臣 宮澤喜一

         衆議院議長 櫻内義雄 殿

衆議院議員谷村啓介君提出動力炉・核燃料開発事業団人形峠事業所における回収ウラン転換実用化試験等に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員谷村啓介君提出動力炉・核燃料開発事業団人形峠事業所における回収ウラン転換実用化試験等に関する質問に対する答弁書



一について

 動力炉・核燃料開発事業団人形峠事業所周辺環境保全等に関する協定書(昭和五十四年七月二十八日締結、平成元年三月十七日改定。以下「協定書」という。)の改定等の必要性は、協定の当事者である岡山県、上斎原村及び動力炉・核燃料開発事業団(以下「動燃」という。)の協議により判断されるものである。
 動燃は、従来から、動燃人形峠事業所(以下「事業所」という。)において現行の協定書に基づき回収ウランの転換試験を実施してきたところであり、回収ウランを取り扱う上での問題は生じていない。
 動燃が現在予定している今後の回収ウランの転換試験(以下「予定転換試験」という。)についても、動燃において協定書に基づき、岡山県及び上斎原村の了解を得ることとし、その際、必要があると判断された場合には、協定書の改定等について検討されることとなる。

二について

 動燃は、予定転換試験において、電気事業者等との契約に基づき、試験期間中、ウランの量が三百六十トンの範囲内で回収ウランを事業所に搬入し、転換を行うこととしているが、予定転換試験における回収ウランの搬入及び保管に係る年次、月別数量に関する計画については、今後、予定転換試験の実施に係る核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律(昭和三十二年法律第百六十六号)第五十五条第一項に定める核燃料物質の使用の変更の許可並びに協定書に基づく岡山県及び上斎原村の了解を得て、動燃において具体的計画が確定されることとなる。
 さらに、動燃は、転換された回収ウランをウラン濃縮原型プラントで濃縮することとしているが、これについても、具体的な計画は、核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律第十六条第一項に定める核燃料物質の加工の変更の許可並びに協定書に基づく岡山県及び上斎原村の了解を得て、確定されることとなる。
 また、その後の回収ウランの加工及び使用の段階の計画は、今後、回収ウランを所有する電気事業者において決定されるものであり、回収ウランの事業所からの搬出の計画は、その際に決定されることとなる。

三について

 動燃が事業所においてこれまで実施した回収ウランの転換試験に使用されていた機器の一部は、昭和六十年度と昭和六十二年度に解体され、ドラム缶(容量二百リットル)七十一本に収納されて、事業所内の廃棄物貯蔵施設に保管されている。廃棄物を収納したドラム缶の線量別数量は、その表面線量当量率が現在の検出限界である〇・二マイクロシーベルト毎時以上五マイクロシーベルト毎時未満のものが三十本、〇・二マイクロシーベルト毎時未満のものが四十一本である。
 これらの廃棄物の処分計画は、今後動燃において検討されることとなるが、含有核種及びその放射線量については、処分の際に評価されることとなり、処分計画に応じて適切に処理されることとなる。

四について

 動燃は、事業所のウラン濃縮パイロットプラント(平成三年度に濃縮工学試験施設と名称変更)において回収ウランの濃縮試験を実施したが、同年度に同プラントの遠心分離機の一部は撤去され、濃縮工学試験施設内に密閉した状態で保管されており、これに関連する機器類は、解体されてドラム缶(容量二百リットル)七十五本に収納され、事業所内の廃棄物貯蔵施設に保管されている。
 この遠心分離機及び廃棄物を収納したドラム缶の表面線量当量率は、すべて〇・二マイクロシーベルト毎時未満である。
 撤去された遠心分離機については、核兵器の拡散防止上の観点から、動燃において機微情報の拡散を防ぐための処理技術が開発された後、処理されることとなっており、それまでは濃縮工学試験施設に保管されることとなっている。含有核種及びその放射線量については、処分の際に評価されることとなり、処分計画に応じて適切に処理されることとなる。
 関連機器類の解体により発生した廃棄物の処分計画も、動燃において今後検討されることとなるが、含有核種及びその放射線量については、処分の際に評価されることとなり、処分計画に応じて適切に処理されることとなる。

五について

 ウラン濃縮原型プラントの解体等の計画については、動燃において今後検討されることとなる。

六について

 予定転換試験の実施に伴う事業所周辺のモニタリングポストの設置等は予定されていないが、今後、必要があれば検討されることとなる。
 地方公共団体及び原子力施設の設置者が具体的な環境放射線のモニタリング計画を作成する際の指針として、環境放射線モニタリングに関する指針(平成元年三月原子力安全委員会決定)がある。

七について

 動燃が事業所及びその周辺地域において、測定した大気中のラドン濃度の結果は別表一のとおりである。
 動燃においては、労働者の安全を確保するため、御指摘の旧人形峠鉱山における坑内の作業環境の整備に努めていたところである。
 昭和三十三年十月以前の坑内のラドン濃度の測定値については、動燃の前身である原子燃料公社が、同公社の年報(昭和三十二年度)で公表したもの以外は承知しておらず、それによれば、探鉱坑道掘削途上における機械通気を行わない時の削岩箇所における値及び坑道掘削完了後の自然通気時における値は別表二のとおりである。

八について

 ウラン濃縮原型プラントは、DOP ― 1が昭和六十三年四月から、DOP ― 2が平成元年五月からそれぞれ運転を開始しており、十年間、連続運転を行う計画である。
 事業所における研究等に係るその後の計画については、今後検討されることとなる。

九について

 平成三年七月に、原子力委員会放射性廃棄物対策専門部会に高レベル放射性廃棄物総合計画委員会を設置し、高レベル放射性廃棄物対策の進め方全般に関し、より具体的にその考え方を示していくための調査・審議を行っている。
 また、平成三年十月に、国、電気事業者及び動燃の三者から成る高レベル放射性廃棄物対策推進協議会を設置し、高レベル放射性廃棄物処分対策に係る当面の具体的な推進方策の検討、所要の連絡調整等を進めている。



(別表一)
     事業所及びその周辺地域における大気中のラドン濃度測定結果

事業所及びその周辺地域における大気中のラドン濃度測定結果


(別表二)
          坑内のラドン濃度の測定値

坑内のラドン濃度の測定値




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