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答弁本文情報

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平成四年五月二十九日受領
答弁第九号

  内閣衆質一二三第九号
    平成四年五月二十九日
内閣総理大臣 宮澤喜一

         衆議院議長 櫻内義雄 殿

衆議院議員児玉健次君提出じん肺対策に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員児玉健次君提出じん肺対策に関する質問に対する答弁書



一の(1)について

 常時粉じん作業に従事する労働者等に対するじん肺健康診断については、じん肺法(昭和三十五年法律第三十号)に基づき事業者に実施を義務付けているところであり、その費用は事業者が負担すべきものである。
 また、常時粉じん作業に従事する労働者でじん肺管理区分が管理二又は管理三のもの等については、じん肺法により一年以内ごとに一回のじん肺健康診断の実施を事業者に義務付けているところであり、その他の労働者については、医学的知見により、最低年一回のじん肺健康診断の実施を事業者に義務付ける必要はないと考えている。
 常時粉じん作業に従事していた者で、離職の日まで一年を超えて使用していたものから請求があった場合には、じん肺法に基づき、当該離職の際のじん肺健康診断の実施を事業者に義務付けている。
 また、じん肺管理区分が管理三である者に対し、労働安全衛生法(昭和四十七年法律第五十七号)に基づき離職の際に又は離職の後に、申請に基づき健康管理手帳を交付し、定期的に健康診断を受診する機会を与えているところである。その他の離職者については、随時、じん肺管理区分決定申請を行うことにより、じん肺管理区分が管理三に決定された場合には、健康管理手帳を交付することとしているところであり、離職者について定期的な健康診断を制度化する必要はないと考えている。

一の(2)について

 労働安全衛生法に基づき、昭和四十七年度より健康管理手帳制度を設け、じん肺管理区分が管理三の離職者について、じん肺健康診断の無料受診の機会を与えることとしており、さらに、昭和六十一年度より中小企業共同安全衛生改善事業助成制度を設け、じん肺健康診断についても都道府県労働基準局長が指定した中小企業者の集団に対して補助を行っているところである。
 自治体の施策については、当該自治体の判断に基づき独自に実施されているものと考えている。

一の(3)について

 じん肺法第十二条の規定による書面の提出並びに同法第十五条及び第十六条の規定による申請によりじん肺管理区分が管理二以上と決定された石炭鉱業に係る労働者は、平成二年においては、在職者も含め北海道六百四十六名、九州三百九十七名である。

一の(4)について

 御指摘の北海道のじん肺労災認定者は、昭和六十二年度百五十一名、昭和六十三年度百二十八名、平成元年度百三十三名、平成二年度百二十九名となっている。
 炭鉱離職者を含め常時粉じん作業に従事する労働者であった者については、随時、じん肺管理区分決定の申請が可能であり、また、じん肺管理区分が管理三である者に対しては、離職の際に又は離職の後に、申請に基づき健康管理手帳を交付の上、健康診断を受診する機会を与えているところである。
 今後とも本制度のより一層の活用を図るため、その周知徹底に努めてまいりたい。

二について

 合併症の範囲については、医学的知見を踏まえて定められているところであり、日頃より各方面から医学的知見の集積に努めているところである。

三について

 職業訓練のための施設及び労災病院等の療養施設又はリハビリテーション施設について、すべての労働者を対象として整備しているところであり、じん肺り患者に対してもこれらの施設を効果的に活用しているところである。

四の(1)について

 じん肺健康診断は、毎年粉じん作業に従事するすべての労働者に対して実施することが義務付けられているものではなく、粉じん作業従事労働者約五十万二千人(平成二年)の中には、三年以内ごとに一回じん肺健康診断の実施を義務付けられている者が大多数を占めており、このため見かけ上受診率が低くなっているものである。
 政府としては、粉じん作業を行う事業場も含め、的確な臨検監督を実施しているところであり、平成二年において、粉じん作業を行う事業場を含め臨検監督を行った事業場数は、十五万六千四百一件である。また、じん肺法に定める健康診断に関する規定についての違反件数は、合計千九百九十七件である。
 なお、じん肺健康診断については、業界団体等への指導を通じ、その実施の徹底を図ることとし、特にじん肺健康診断の実施が不十分な中小企業者については、中小企業共同安全衛生改善事業助成制度の活用等により一層の徹底を図ることとしている。

四の(2)について

 鉱山、トンネル等における屋外作業においては、作業場所、作業環境が日々変化すること、自然環境の影響を受けること等の状況により、客観的な作業環境の良否の判断の指標となる作業環境の評価基準を定めることは現状では困難である。
 これらの作業においては、呼吸用保護具の着用、通気設備の設置等の対策を講ずることにより、労働者への暴露の低減を図っているところである。

五について

 平成三年九月十八日に福岡地方裁判所飯塚支部において開かれた御指摘の筑豊じん肺訴訟の第三十二回口頭弁論期日において、裁判長から、話合いによる解決に向けて努力されたい旨の発言があったが、国としては、この発言は、裁判所として和解を勧告したものではないと認識している。





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