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答弁本文情報

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平成四年六月十六日受領
答弁第一〇号

  内閣衆質一二三第一〇号
    平成四年六月十六日
内閣総理大臣 宮澤喜一

         衆議院議長 櫻内義雄 殿

衆議院議員新村勝雄君提出歯科材料の製造認可基準と保険導入手続き及び補綴技術料に関する再質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員新村勝雄君提出歯科材料の製造認可基準と保険導入手続き及び補綴技術料に関する再質問に対する答弁書



一について

 歯科材料を含め医療用具の製造の承認に当たっては、薬事法(昭和三十五年法律第百四十五号)第十四条の規定に従った適正な申請が行われるよう医療用具製造業者に対する指導を徹底しており、万一、臨床試験成績の偽造があった場合は同法に基づき厳正に対処することとしていることから、現時点において、御指摘のような法改正に取り組むことは考えていない。

二について

 歯科用調査会は、中央薬事審議会医療用具特別部会に設けられ、医療用具特別部会長の指揮監督の下に調査審議を行っている。

三について

 新しい原理や原料を用いた歯科材料の承認審査については、画一的な基準によるのではなく、最新の歯科医学的知見に基づき、個別品目ごとに調査審議を行っているところである。

四について

 歯科材料の臨床試験については、各申請者が、歯科材料の有する特性を勘案し、症例数及び期間の設定等を含めた臨床試験計画を作成することとしている。この臨床試験計画は厚生省に提出され、内容の適否について個別に確認されることとなっている。なお、厚生省は、申請者が適切な臨床試験計画を立案することを確保するために、症例数について目安を示しているが、御指摘のような最低基準はない。

五について

 新しく開発された歯科材料の承認申請書に添付される臨床試験成績に関する資料については、原則として公表されるものを使用するよう、申請者に対し厳格に指導しているところである。

六について

 承認申請書に添付される臨床試験成績等の資料について論文等として公表することを求めている趣旨は、当該資料の質的向上と客観性の確保を図るためである。歯科材料の製造の承認に当たっては、歯科医学の専門家等で構成される歯科用調査会の調査審議の結果を参考としており、その際、製造承認申請書に添付される資料の内容の妥当性等の評価も行われているところである。

七について

 医療用具等の承認審査に当たっては、専門知識を有する学識経験者で構成される中央薬事審議会の特別部会に置かれた調査会の調査審議の結果を参考としており、更に専門学会に諮問する必要はないものと考えている。

八について

 保険診療上の有用性の評価については、保険適用の対象となる医療技術が複雑多岐にわたる上、技術進歩に伴う変化が急速であること、費用の合理性についても有効性との関係において総合的に判定されるべきものであること等の理由から、具体的な評価基準を設定することは困難であると考えている。
 新しい医療技術の保険適用に際しては、中央社会保険医療協議会の審議を踏まえて行っているところであり、保険適用に係る公正は確保されていると考えている。

九について

 昭和五十六年にポリサルホン樹脂有床義歯の保険適用を行った際に、社団法人日本歯科医師会の意見を聴いており、日本補綴歯科学会の意見は同学会の上部団体である日本歯科医師会の
意見に反映されるものと考えているので、改めて過去の事実関係を調査することは考えていない。

十について

 薬事法第六十九条の二に基づく販売又は授与の一時停止等の措置は、例えば、既に製造又は輸入されている医療用具等について、新たな知見により保健衛生上の危害が発生すること又は拡大することの蓋然性が高いと判断される場合に、命ずるものである。

十一について

 製作方法の技術的進歩によりスルフォン樹脂有床義歯の適合性等について改良が見られること、また、平成二年度社会医療診療行為別調査によれば、スルフォン樹脂有床義歯の請求件数は全有床義歯のそれの二・六パーセントに達しており、近年増加傾向にあることから、今後スルフォン樹脂有床義歯が更に普及していく可能性は少なくないものと認識している。
 また、スルフォン樹脂有床義歯の使用頻度が必ずしも少ないとは認識していないこと、昭和六十三年にスルフォン樹脂有床義歯の請求件数が減少した理由について現時点において調査を行う特段の必要性を認識していないことから、御指摘のような調査を行うことは考えていない。

十二について

 歯科技工士については将来過剰が予想されることから、昭和六十一年以降、新規参入の抑制に努めてきたところであり、このため、歯科技工士養成所の卒業者数も減少傾向を示していると考えられる。
 毎年の卒業者数と同程度に就業者数が増加していない理由は必ずしも明らかではないが、歯科技工士養成所の卒業者の多くが歯科技工士として業務に従事している状況に変化はないと考えられることから、高齢による離職者が相当数発生していることが原因の一つと考えられる。

十三について

 スルフォン樹脂有床義歯に係る診療報酬上の評価については、アクリルレジン有床義歯に比べて堅ろう性、薄さ等の面で臨床上より有用であること等を含めて総合的な評価を行い、中央社会保険医療協議会の議論を踏まえた上で決定したものである。
 義歯の料金決定の際の要素には歯科技工料だけでなく、臨床上の有用性や保険診療上の有用性も含まれており、歯科技工料が主要な要素とは必ずしもいえない。また、昭和六十三年五月三十日厚生省告示第百六十五号により義歯の製作料金の配分について告示した趣旨は、保険診療の担い手である保険医療機関が歯科技工所に義歯製作を委託する場合の技工料金の平均的な標準を周知することを通じて歯科技工委託の円滑な実施に資することを目指したものであり、これが直ちに個々の義歯の料金設定の根拠となるものではない。

十四について

 昭和六十年の診療報酬改定当時においては、ポリサルホン樹脂有床義歯は鈎やバーなど組合せが複雑なものには適合し難い面があったが、その後の医療技術の進歩により適合性が改良されている。

十五について

 歯科技工料調査の公表により保険医療機関と歯科技工所との取引に影響を及ぼし、円滑な取引の実施に支障を来すこと等が考えられる。
 なお、将来の公表については未定である。

十六について

 平成四年四月一日実施の歯科診療報酬改定においては、技術料重視等の観点から、初診時基本診療料、再診時基本診療料及びアクリルレジン有床義歯に係る点数の引上げ等により全体で二・七パーセントの引上げを行ったところであり、患者の要望に十分こたえられるものと考えている。





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