衆議院

メインへスキップ



答弁本文情報

経過へ | 質問本文(HTML)へ | 質問本文(PDF)へ | 答弁本文(PDF)へ
平成四年十二月十五日受領
答弁第一一号

  内閣衆質一二五第一一号
    平成四年十二月十五日
内閣総理大臣 宮澤喜一

         衆議院議長 櫻内義雄 殿

衆議院議員常松裕志君提出選択的夫婦別氏の法制化に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員常松裕志君提出選択的夫婦別氏の法制化に関する質問に対する答弁書



一の(1)から(4)までについて

 法務大臣の諮問機関である法制審議会の民法部会身分法小委員会は、学者、法曹関係者等の学識経験者及び政府関係職員により構成されている。
 法制審議会民法部会は、平成三年一月二十九日、民法(明治二十九年法律第八十九号)第四編「親族」の第二章「婚姻」の規定(以下「婚姻関係規定」という。)全般の見直しを審議事項とすることを決定し、これについての調査審議を開始したが、平成四年十二月一日、それまでの調査審議の結果を踏まえ、問題点及びこれに対する意見を取りまとめた「婚姻及び離婚に関する見直し審議に関する中間報告(論点整理)」(以下「中間報告」という。)を事務当局において公表して各界に意見照会をすることとした。
 前記身分法小委員会における審議事項が婚姻関係規定全般の見直しとされたのは、最近の社会情勢の変化に対応して、各方面から婚姻及び離婚法制の見直しを求める声が強くなってきたこと等による。
 中間報告は、婚姻関係規定のうち見直しを求める意見がある大部分の論点につき、現行の制度を維持する意見とこれに対して見直しを求める意見とを簡単な理由を付して、併記したものである。なお、意見の併記は、意見の多少や軽重を意味するものではない。

一の(5)から(7)までについて

 法制審議会民法部会においては、意見照会に対する回答を踏まえて、調査審議を続行することを予定している。
 法制審議会の最終答申の時期の見込みについて政府として述べることは、現時点においては困難である。
 法制審議会の最終答申の時期が明らかでない現段階においては、改正法案の国会提出時期等について具体的な見通しを述べることは困難である。

二、三及び五について

 選択的夫婦別氏の法制化及びこれに関連する諸問題については、法制審議会の調査審議の結果等を踏まえて、政府の方針を決定する予定である。

四の(1)について

 夫婦が別氏を称することができる制度を導入することが適当と判断された場合には、その時点において、戸籍制度をどのようにするかについて改めて検討を加え、政府の方針を決定する予定である。

四の(2)について

 子の氏の変更の許否については、家庭裁判所において適切な判断がされているものと考えている。

六の(1)について

 法制審議会は、婚姻関係規定全般の見直しを優先しており、これに含まれない事項の取扱いについては、現時点においては、未定である。

六の(2)について

 児童の相続分は、児童の権利に関する条約(第百二十三回国会条約第九号)において権利として掲げられているものではない。
 戸籍等の続柄の記載に設けられている嫡出子と非嫡出子との記載方法の違いは、国民の身分関係を正確に登録し、公証することを目的とする必要最小限の合理的な差異であり、同条約で禁じられている差別には当たらない。
 なお、市民的及び政治的権利に関する国際規約(昭和五十四年条約第七号)第四十条4に基づき採択された一般的性格を有する意見は、同規約第四十条1に基づく報告手続の改善及び同規約の実施に関する事項について締約国の注意を喚起しているにすぎず、同規約についての解釈を示す趣旨のものではない。

六の(3)について

 現段階においては、戸籍制度全体を見直すことは予定していない。

六の(4)について

 現行の戸籍制度は、国民の身分関係を正確に登録し、公証することを本旨とするものであるところ、その公開については、国民の利便と個人のプライバシー保護の調和に慎重な配慮が図られており、合理的なものであると考えている。

七について

 選択的夫婦別氏の法制化及びこれに関連する諸問題については、政府としては、各種の提言はもちろん、各界の意見、世論の動向や法制審議会の今後の調査審議を踏まえて適切に対応する所存である。





経過へ | 質問本文(HTML)へ | 質問本文(PDF)へ | 答弁本文(PDF)へ
衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.