答弁本文情報
平成五年一月二十二日受領答弁第一八号
内閣衆質一二五第一八号
平成五年一月二十二日
衆議院議長 櫻内義雄 殿
衆議院議員鈴木喜久子君提出供述調書の信用性判断に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
衆議院議員鈴木喜久子君提出供述調書の信用性判断に関する質問に対する答弁書
一について
当時の埼玉県警察本部長が御指摘のような発言をした旨の新聞報道があることは承知しているが、発言内容の根拠については承知していない。
なお、御指摘の狭山事件において、「犯人は殺害後に身代金を要求した」という事実関係については、第一審である浦和地方裁判所の昭和三十九年三月十一日の判決において、右事実があったものと認定され、控訴審及び上告審においても、右認定は覆されていないところである。
御指摘の新聞報道の根拠については承知していない。
一般に、犯行時刻又は死亡時刻は、死体の解剖結果や被害者の生前の行動等の捜査結果を総合的に踏まえて推定されており、その後において、捜査に支障がないと認められる範囲でその内容が発表される場合もあると承知している。
我が国の刑事訴訟においては、刑事訴訟法(昭和二十三年法律第百三十一号)第三百十八条により、証拠の証明力は、裁判官の自由な判断に委ねるとして自由心証主義を採ることとしている。したがって、自白の信用性を判断する基準を一般的に示すのは困難であるが、自白の信用性は、当該自白の内容及び他の証拠を総合的に勘案し、個々の事案において、個別具体的に判断される事柄である。
前記事件における自白の信用性については、現在、東京高等裁判所に再審請求事件が係属中であるので、答弁は差し控えたい。
前記事件における自白の信用性については、現在、東京高等裁判所に再審請求事件が係属中であるので、答弁は差し控えたい。
なお、東京高等裁判所は、昭和四十九年十月三十一日の控訴審判決において、「足首の痕跡については、被害者がソツクスを履いていたこと、足首に力が加わるのは死体を芋穴へ出し入れするときだけの短時間であること、しかも芋穴の口が狭いこともあつて死体の出し入れの作業を静かにしなければならないこと(現に被告人自身そのように供述している。)などを考え合わせると、死体の足首に索溝などの痕跡が残らないことも十分納得できる」と判示している。
前記事件については、現在、東京高等裁判所に再審請求事件が係属中であるので、証拠の開示等に関する答弁は差し控えたい。