答弁本文情報
平成五年三月十九日受領答弁第一号
内閣衆質一二六第一号
平成五年三月十九日
内閣総理大臣 宮澤喜一
衆議院議長 櫻内義雄 殿
衆議院議員和田貞夫君提出誤判防止に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
衆議院議員和田貞夫君提出誤判防止に関する質問に対する答弁書
一及び二について
御指摘のいわゆる免田事件外三事件の無罪判決等においては、自白の信用性の問題を含め種々の問題が指摘されていることを承知しており、これらの事件の結果を謙虚に受け止め、無罪判決等で指摘された事項を教訓として、客観的証拠の収集に努めるとともに、自白の吟味及び裏付け捜査に徹底を期すことが肝要であると考えている。
また、死刑の言渡しを受けた免田榮氏が、再審における無罪判決の言渡しまで拘置されたのは、刑法(明治四十年法律第四十五号)第十一条第二項に基づき、死刑の確定判決の効力としてなされた措置であったが、再審において無罪判決を受けた者がそれまでの間長期にわたり身柄を拘束されていた事態については、結果として遺憾なことと考える。
御指摘の自白のトレースないし自白に基づく現場検証は、自白における犯行態様等を実際に再現することにより、その供述どおりに犯行を行うことが可能であるかどうか等を検証し、自白の信用性を判断するということを意味しているものと理解されるが、自白の信用性の判断は、当該自白に至る経緯の検討、秘密の暴露の有無及び他の関連証拠との対比等種々の方法によって行われるものであって、自白のトレースないし自白に基づく現場検証もその一方法であるが、必ずしも、自白の信用性の判断にとって不可欠なものであるとは考えられない。
御指摘の狭山事件における犯行経路の時間関係については、自白調書の信用性の判断にも関連しており、現在、東京高等裁判所に再審請求事件が係属中であるので、答弁は差し控えたい。