答弁本文情報
平成六年六月十四日受領答弁第九号
内閣衆質一二九第九号
平成六年六月十四日
内閣総理大臣 羽田 孜
衆議院議長 土井たか子 殿
衆議院議員田中昭一君提出水俣病対策としての熊本県債発行に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
衆議院議員田中昭一君提出水俣病対策としての熊本県債発行に関する質問に対する答弁書
一について
チッソ株式会社は、水俣病の認定患者に対する補償金の支払を行うため、通常の営業努力はもとより保有資産の売却等により対処してきたが、昭和四十八年からは、関係金融機関においても、同社に対する金融特別措置を講じ、同社の補償金支払を支援してきたところである。しかしながら、昭和五十三年に至り、同社は当該補償金の支払財源の確保が困難となり、その存続自体も危ぶまれる厳しい経営状況に追い込まれたため、原因者負担の原則を堅持しつつ、同社の経営基盤の維持・強化を通じて、当該補償金の支払に支障が生じないよう配慮するとともに、あわせて地域の経済・社会の安定に資するとの観点から、同年六月二十日に水俣病対策についての閣議了解を行い、これに基づき、関係金融機関による金融特別措置の維持を要請するとともに、熊本県による地方債の発行を通じて所要の融資を行うこととしたものである。
チッソ株式会社への融資を行うための地方債の発行は、同社の経営状況及び補償金の支出状況の推移等を踏まえながら、昭和五十六年度中にそれ以降の方針について検討することとして、開始されたものである。
一特定私企業に対し金融支援を行うため、県債を発行した類似例はない。