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平成六年九月二十日受領
答弁第一号

  内閣衆質一三〇第一号
    平成六年九月二十日
内閣総理大臣 村山富市

         衆議院議長 土井たか子 殿

衆議院議員今村修君提出海外再処理契約及び返還ガラス固化体に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員今村修君提出海外再処理契約及び返還ガラス固化体に関する質問に対する答弁書



一の1から3までについて

 フランス核燃料会社(以下「COGEMA」という。)に使用済燃料の再処理を委託した我が国の電気事業者(以下「電気事業者」という。)は、昭和六十三年一月二十一日付けで、COGEMAが我が国に返還しようとするガラス固化体(使用済燃料を溶解した液体から核燃料物質その他の有用物質を分離した残りの液体をガラスにより固型化したものをいう。以下同じ。)の仕様に関して電気事業者が行った検討結果についての検討依頼文書を科学技術庁原子力安全局長あてに提出した。しかし、当該検討依頼に係る事務については、核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律(昭和三十二年法律第百六十六号。以下「原子炉等規制法」という。)等の規制法令の規定に基づく事務ではなく、我が国の原子力政策上、使用済燃料の海外における再処理役務の提供を円滑に受けることが重要であり、そのために必要との政策的判断に基づく事務であるため、科学技術庁においては原子力局長がその取りまとめを行うこととし、原子力局長からその検討結果を電気事業者に対して通知したものである。

一の4について

 原子力安全局長あての検討依頼文書の取扱いを検討し、当該文書を担当の原子力局長へ送付し、処理したことは行政上の処理として問題はないものと考えている。また、検討結果を原子力局長から通知したことにより、再処理契約上問題は生じなかったものと承知している。

一の5について

 科学技術庁は、再処理契約上、電気事業者がCOGEMAから使用済燃料の再処理役務の提供を円滑に受けるためには、検討結果の通知が必要不可欠であることにかんがみ、正確さを期する観点から、検討結果を文書にて通知したものである。

一の6の@について

 再処理契約においては、電気事業者は、COGEMAからガラス固化体の仕様が提出された後、日本の関係当局から当該仕様についての承認を得ることを要求されているものと承知している。

一の6のA及びBについて

 再処理契約においては、当該仕様から得られるガラス固化体が受入れ可能であることについて日本の関係当局から確認が得られない場合には、COGEMAは、再処理契約を修正し、再処理役務の提供を行わず、使用済燃料を一時貯蔵の後電気事業者に返還することができることとなっていると承知している。

一の7の@について

 COGEMAから提出されたガラス固化体の仕様については、財産権の保護の観点から非公開とすべきものがあるか否かについて、現在、電気事業者及びCOGEMAと調整を行っている段階であるため、答弁を差し控えたい。

一の7のAについて

 電気事業者は、科学技術庁に検討依頼を行う前に、その事業所等において「海外再処理に伴う返還廃棄物の安全性の考え方等について」(昭和六十二年八月二十七日原子力安全委員会決定)に基づき検討を行い、当該仕様に示された項目及びその数値が妥当であり、当該仕様から得られるガラス固化体を安全に貯蔵し得る貯蔵施設の設計が可能であると判断したと承知している。

一の8の@及びAについて

 原子力安全局は、昭和六十三年一月から同年八月までの間、同局内において「海外再処理に伴う返還廃棄物の安全性の考え方等について」に基づき検討を行い、電気事業者の検討結果は妥当と判断したものである。

二について

 返還予定のガラス固化体が廃棄物管理施設において管理される際には、原子炉等規制法に基づく廃棄物管理の事業の許可並びに廃棄物管理施設に関する設計及び工事の方法の認可に係る審査等において、廃棄物管理事業者が当該ガラス固化体を当該廃棄物管理施設において安全に管理できることが確認されることとなっており、また、返還予定のガラス固化体が電気事業者により廃棄物管理設備に廃棄される際には、原子炉等規制法に基づき、その放射能濃度、発熱量等が当該廃棄物管理設備において管理することができるものとすること等の保安のために必要な措置を講ずること等が電気事業者に義務付けられている。返還予定のガラス固化体については、仕様そのものについての具体的基準等により法的に規制されているのではなく、その廃棄に係る安全性は、これらの原子炉等規制法に基づく廃棄物管理の事業に係る規制及び工場又は事業所の外において行われる廃棄に係る規制等を通じて確保される。

三について

 原子炉等規制法第五十一条の二第一項に規定する廃棄物管理については、その対象となる放射性廃棄物が、当該放射性廃棄物に含まれる放射性物質についての放射能濃度により限定されていないため、核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律施行令(昭和三十二年政令第三百二十四号)第十三条の九に規定する廃棄物埋設に係る核種別の放射能濃度と同様の基準は法令に規定されていないが、いずれにせよ、廃棄物管理に係る安全性は、原子炉等規制法に基づく廃棄物管理の事業の許可、廃棄物管理施設に関する設計及び工事の方法の認可、使用前検査並びに定期検査等の規制等を通じて確保される。

四の1について

 「廃棄に関する確認の方法」とは、返還予定のガラス固化体がCOGEMAが提出した仕様の範囲内であることについて、COGEMAから提出される書類を基に確かめることをいう。

四の2について

 本試験の結果は、COGEMAが提出した仕様の範囲内であったと承知している。

四の3について

 本試験は、放射性廃棄物の廃棄施設の立地の円滑化を図るために行われるものであり、本試験の結果によりガラス固化体の返還及び貯蔵の可否について判断するものではない。本試験の結果の如何にかかわらず、放射性廃棄物の廃棄に係る安全性は、原子炉等規制法に基づく規制等を通じて確保されることとなる。

五について

 COGEMAは、電気事業者に提出したガラス固化体の仕様において、ガラス固化体の品質に影響がない等の理由から、高レベル放射性廃棄物成分の範囲として、これを含むガラス成分の七・五パーセントから十八・五パーセント(重量比)までを定めていると承知している。
 なお、ガラス固化体一本当たりの放射能量は、再処理された使用済燃料の燃焼度、冷却時間等の条件により異なるが、同一条件では、高レベル放射性廃棄物成分の、これを含むガラス成分に対する重量比が七・五パーセントと十八・五パーセントのものでは、二・五倍程度の相違となる。

六の1の@について

 ガンマ線については、線質係数を一とすると、表面における線量当量率は一万四千シーベルト毎時、一メートル離れた地点での線量当量率は四百二十シーベルト毎時及び二メートル離れた地点での線量当量率は百四十シーベルト毎時であると承知している。

六の1のAについて

 中性子線については、線質係数を十とすると、表面における線量当量率は六十一・三ミリシーベルト毎時、一メートル離れた地点での線量当量率は八・一ミリシーベルト毎時及び二メートル離れた地点での線量当量率は四・二ミリシーベルト毎時であると承知している。

六の2について

 ガラス固化体の輸送及び管理については原子炉等規制法に基づく規制が課せられており、放射線障害を防止する必要がある場所には、放射線障害を防止するために必要なしゃへい能力を有するしゃへい設備を施設しなければならないこと等から、輸送容器に収納されていないガラス固化体から一メートル及び二メートル離れた地点においてしゃへいを介さず直接に人間が被ばくするケースは考え難い。

六の3及び4について

 TN28VT型輸送容器に標準的なガラス固化体二十八本を収納した状態での線量当量率は算出していない。いずれにせよ、TN28VT型輸送容器にガラス固化体二十八本を収納したもの(以下「本輸送物」という。)の線量当量率については、原子炉等規制法第五十九条の二第二項及び第七十四条の二第一項の規定に基づき、科学技術庁長官が、本輸送物の発送前にBM型輸送物に係る技術上の基準に適合することについて確認することとなっている。

七の1について

 電気事業者は、再処理工場UP ― 2(以下「UP ― 2」という。)に係るCOGEMAとの再処理契約に基づく廃棄物返還の選択権を行使していないと承知している。

七の2について

 COGEMAは、再処理工場UP ― 3(以下「UP ― 3」という。)に係る電気事業者との再処理契約に関して、使用済燃料約二千七十トン分については昭和六十一年八月二十二日に、また、使用済燃料約七百トン分については昭和六十三年三月四日に、当該契約に基づく使用済燃料の再処理により発生するすべての残滓(輸送及び電力会社への返還に適する形態になっている廃棄物をいう。以下同じ。)を返還するという選択権を行使したと承知している。

八の1について

 電気事業者と英国核燃料会社(以下「BNFL」という。)とのガス炉燃料に係る再処理契約のうち廃棄物返還の選択権が英国側にあるものは約五百トン分についてであり、約四百トン分については廃棄物を返還する権利が英国側にあり、約六百十トン分については廃棄物返還に関する規定がないと承知している。

八の2について

 電気事業者とBNFLとのガス炉燃料に係る再処理契約においては、廃棄物返還の選択権が日本側にあるものはないと承知している。

八の3について

 BNFLは、昭和六十三年九月六日に、使用済燃料約五百トン分の再処理により発生するガラス固化体を返還するという選択権を行使したと承知している。

九の1について

 電気事業者とBNFLとの軽水炉燃料に係る再処理契約のうち廃棄物返還の選択権が英国側にあるものは約千六百六十トン分についてであり、約千二十トン分については廃棄物返還に関する規定がないと承知している。

九の2について

 電気事業者とBNFLとの軽水炉燃料に係る再処理契約においては、廃棄物返還の選択権が日本側にあるものはないと承知している。

九の3について

 BNFLは、昭和六十二年七月六日に、使用済燃料約千六百六十トン分の再処理により発生するガラス固化体を返還するという選択権を行使したと承知している。

十について

 COGEMAと電気事業者とのUP ― 3に係る再処理契約のうち使用済燃料七百トン分及びUP ― 2に係る再処理契約については、ガラス固化体の仕様に関して、当該仕様から得られるガラス固化体が受入れ可能であることについて日本の関係当局から確認を得ることを要するという規定はないと承知している。
 COGEMAと電気事業者とのUP ― 3に係る再処理契約のうち使用済燃料二千七十トン分及びBNFLと電気事業者との軽水炉燃料に係る再処理契約のうち廃棄物の返還の選択権が英国側にある分については、当該契約に基づきCOGEMA又はBNFLから提出されたガラス固化体の仕様に関して、当該仕様から得られるガラス固化体が受入れ可能であることについて日本の関係当局から確認が得られない場合には、COGEMA又はBNFLは、再処理契約を修正し、再処理役務の提供を行わず、使用済燃料を一時貯蔵の後電気事業者に返還することができることとなっていると承知している。
 また、BNFLと電気事業者とのガス炉燃料に係る再処理契約のうち廃棄物の返還の選択権が英国側にある分については、当該契約に基づきBNFLから提出されたガラス固化体の仕様に関して、当該仕様から得られるガラス固化体が受入れ可能であることについて日本の関係当局から確認が得られない場合には、BNFLは、送り出した使用済燃料分の再処理役務の提供は行い、送り出した使用済燃料分を除く分の再処理はその契約を終結する権利を行使することができると承知している。
 なお、BNFLと電気事業者とのガス炉燃料及び軽水炉燃料に係る再処理契約のうち廃棄物の返還の選択権が日本側にあるものはないと承知している。

十一の1について

 御指摘の電気事業者とCOGEMAとの再処理契約については、当時の外国為替及び外国貿易管理法(昭和二十四年法律第二百二十八号。以下「外為法」という。)第四十二条に規定する役務に関する契約に該当するため、当時の輸出貿易管理令(昭和二十四年政令第三百七十八号)第二条第一項に規定する通商産業大臣の許可を受けている。

十一の2について

 電気事業者から提出された「逆委託加工貿易契約許可申請」に対し通商産業大臣が許可しなかった場合には、電気事業者は使用済燃料の輸出等を外為法上行うことができなかったと考えられる。

十一の3について

 当時の日米原子力協定上、当該契約締結の際に米国の承認は必要とされていなかった。

十一の4について

 当該契約に関して、日仏政府間で交換公文を締結する必要はなかった。また、当該契約に関して、日米政府間で交換公文を締結した事実はない。

十一の5について

 昭和五十二年十二月二十九日に日仏両政府間で交換された口上書は、仏国政府からの要請等に基づき取り交わされたものである。この口上書については、仏国政府との関係上、公表は差し控えたい。

十二の1について

 御指摘の電気事業者とBNFLとの再処理契約については、当時の外為法第四十二条に規定する役務に関する契約に該当するため、当時の輸出貿易管理令第二条第一項に規定する通商産業大臣の許可を受けている。

十二の2について

 電気事業者から提出された「逆委託加工貿易契約許可申請」に対し通商産業大臣が許可しなかった場合には、電気事業者は使用済燃料の輸出等を外為法上行うことができなかったと考えられる。

十二の3について

 当時の日米原子力協定上、当該契約締結の際に米国の承認は必要とされていなかった。

十二の4について

 当該契約に関して、日英政府間で交換公文を締結する必要はなかった。また、当該契約に関して、日米政府間で交換公文を締結した事実はない。

十二の5について

 昭和五十三年八月二十二日に日英両政府間で交換された口上書は、英国政府からの要請等に基づき取り交わされたものである。この口上書については、英国政府との関係上、公表は差し控えたい。





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