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答弁本文情報

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平成七年十一月七日受領
答弁第四号

  内閣衆質一三四第四号
    平成七年十一月七日
内閣総理大臣 村山富市

         衆議院議長 土井たか子 殿

衆議院議員金田誠一君提出死刑制度の運用に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員金田誠一君提出死刑制度の運用に関する質問に対する答弁書



一の1について

 個々具体的な死刑執行に関する事項については、死刑を執行された者の遺族の感情、他の死刑確定者の心情の安定等に配慮し、答弁を差し控えさせていただきたい。一般論として言えば、死刑執行については、あくまで個々の具体的な事案に即して慎重かつ適正に対処しているところである。

一の2及び3について

 個々具体的な死刑執行に関する事項については、前記理由により答弁を差し控えさせていただきたい。一般論として言えば、死刑執行のもたらす重大な結果にかんがみ、法務大臣は、執行停止、再審又は非常上告の事由の有無、恩赦を相当とする情状の有無等について慎重に検討し、これらの事由等がないと認めた場合に、初めて死刑執行命令を発することとしている。また、刑事訴訟法(昭和二十三年法律第百三十一号)上、民事訴訟が係属中であることや再審請求中であることは、死刑の執行停止事由とされていない。

一の4について

 個々具体的な死刑執行に関する事項については、前記理由により答弁を差し控えさせていただきたい。一般論として言えば、第一審のみで又は控訴の取下げにより死刑の判決が確定した場合であっても、我が国の裁判の実務においては、死刑の適用は極めて慎重になされている上、執行に当たっても、法務大臣により更に再審事由の有無等について慎重に検討され、これらの事由等のないことが確認されたときに、初めて死刑執行命令が発せられるものであり、極めて慎重かつ厳正に運用されている。

二の1及び2について

 法務大臣は、死刑の執行については、省内関係部局をして、執行停止、再審又は非常上告の事由の有無、恩赦を相当とする情状の有無等に関し、関係記録を十分精査させるなどして慎重に検討した上で判断することとしている。
 個々具体的な死刑執行に関する事項については、前記理由により答弁を差し控えさせていただきたい。

三の1について

 個々具体的な死刑執行に関する事項を公表することについては、従来から、死刑を執行された者の遺族の感情、他の死刑確定者の心情の安定等に配慮し、差し控えてきたところである。現在においても、死刑執行の事実を公表することによって、死刑を執行された者の遺族に、事件後相当期間を経て改めてその名誉や生活の平穏を失わせるという不利益や精神的苦痛を与えるとともに、他の死刑確定者の心情の安定を損なう結果となるという事情に変化は認められないと考える。
 また、死刑に限らず、他の自由刑及び財産刑においても、国家の刑罰権の作用は、本来、刑の執行そのものに限られるのであって、それを超えて、国家機関が刑の執行の事実を殊更に公表して、刑の執行を受けた者やその関係者に、刑の執行そのものを超えた不利益や精神的苦痛を与えることは相当でないと考える。
 なお、死刑の言渡しがなされた個々の事件の裁判の内容については、裁判公開の原則により明らかにされている上、死刑執行の事実については、毎年の統計において執行数を公表している。

三の2について

 死刑制度の存廃は、我が国刑事司法制度の根幹にかかわる重要な問題であり、国民世論の動向にも十分に配慮すべきものであるから、国民の間に多角的観点からの冷静な議論が行われることは望ましいものと考えられるが、この問題に関しては、新聞等の報道、各種の出版物等を通じ、どのような事件につき死刑判決が言い渡されているかはもとより、学者、実務家、各種団体等の様々な議論や諸外国における死刑の廃止、復活の動向等が伝えられ、国民においても、これを受けて理解及び議論を深めているものと認識している。したがって、現時点で政府がこの問題についての議論を高めるため新たに特段の方策を採る必要性があるとは考えていない。

三の3について

 死刑制度の存廃は、国民世論に十分配慮しつつ、社会における正義の実現等種々の観点から慎重に検討すべき問題であるところ、国民世論の多数が、極めて悪質、凶悪な犯罪については、死刑もやむを得ないと考えており、多数の者に対する殺人、誘拐殺人等の凶悪犯罪がいまだ後を絶たない状況等にかんがみると、その罪責が著しく重大な凶悪事犯を犯した者に対しては、死刑を科することもやむを得ず、死刑を全面的に廃止することは、適当でないと考えている。





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