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答弁本文情報

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平成八年七月九日受領
答弁第二八号

  内閣衆質一三六第二八号
    平成八年七月九日
内閣総理大臣 橋本(注)太郎

         衆議院議長 土井たか子 殿

衆議院議員平田米男君提出定期借地権に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員平田米男君提出定期借地権に関する質問に対する答弁書



一について

 相続税における財産の価額は、相続税法(昭和二十五年法律第七十三号)第二十二条の規定により、財産の取得の時における「時価」によることとされており、国税庁では、財産評価基本通達(昭和三十九年四月二十五日直資五十六、直審(資)十七国税庁長官通達)により各種財産の評価方法に共通する原則や具体的な評価方法を定め、内部的な統一を図るとともに、これを公開して納税者の申告及び納税の便宜に供しているところである。
 財産評価基本通達では、定期借地権が設定されている宅地(底地)の価額については、普通借地権が設定されている宅地(底地)の評価と同様に、その実態に即して、原則として、課税時期における更地の価額から定期借地権の価額を控除して評価することとしており、この場合の定期借地権の価額については、@多種多様な借地契約が想定され、借地契約の内容も、極めて個別性が強いと考えられること、A普通借地権のような借地契約の更新がなく、契約期間の満了により確定的に借地契約が消滅すること等から、課税時期において借地人に帰属する経済的利益及びその存続期間を基として評価することとしている。
 また、定期借地権が設定されている宅地(底地)の価額は、定期借地権の価額が零の場合であっても、賃貸中であることによる処分又は利用上の制約等を考慮して、借地契約の残存期間に応じて、課税時期における更地の価額から、最大限、その二十パーセント相当額を減額することとしている。
 これらの評価方法により評価した定期借地権が設定されている宅地(底地)の価額は、それぞれの財産の現況に応じ、不特定多数の当事者間で通常成立すると認められる価額である「時価」として、適切なものと考えている。
 なお、定期借地権に関する評価については、創設されて日の浅い定期借地権制度の普及及び定着の実態等を、今後ともよく見極める必要があると考えている。

二について

 相続税の課税価格の計算上控除すべき債務の金額は、相続税法第二十二条の規定により、課税時期の「現況」によることとされている。この規定は、債務の金額を課税時期の客観的経済価値によって評価する趣旨であって、弁済期未到来の金銭債務に関する控除すべき債務の金額については、例えば、@通常の利率による利息の定あがあるときには、その債務の元本金額に相当する金額により、また、A利息の定めがないときには、通常の利率による利息相当額の経済的利益を契約期間中留保し得ることから、留保される経済的利益を債務の元本金額から控除した金額によって評価することが相当であり、これは、定期借地権の設定に当たり保証金を受領している場合におけるその保証金の返還債務の評価の場合も同様である。
 定期借地権の設定に当たり保証金を受領している場合、相続税の課税価格が、定期借地権を設定しない,場合よりも高額になることも考えられなくもないが、これは、相続税の課税価格が、課税対象財産である個々の財産の相続税法第二十二条の規定に基づく「時価」による評価額から、同条の規定に基づく「現況」による債務の金額の評価額を控除して算定されることによるものであり、その課税価格算定の基礎となる財産又は債務が異なる場合を単純に比較し、課税価格に異同があることをもって、評価の在り方について論ずることは、適切ではないと考えている。

三について

 定期借地権を利用した公営住宅又は住宅・都市整備公団若しくは地方住宅供給公社による住宅の供給の進捗状況については、平成八年七月一日現在、神奈川県地方住宅供給公社により九戸の住宅が竣工し、大阪府地方住宅供給公社により四十九戸の住宅が建設中であり、また、兵庫県尼崎市において百五十戸の公営住宅を建設するための定期借地権設定契約が締結されたところである。今後とも、定期借地権を活用したこれらの住宅の供給を図っていくこととしている。

四について

 定期借地権付住宅は、従来の持家と異なり、土地取得を伴わず、比較的少額の初期負担で取得でき、中堅勤労者にとってもゆとりのある居住や職場に近い所での居住の実現が容易になるなど、多様化する国民のニーズに対応する観点から、住宅政策上意義のあるものと認識している。
 このため、@建設省において、望ましい定期借地権設定契約の在り方を示した契約書案を作成し普及に努めるとともに、A住宅金融公庫融資において、定期借地権付住宅について融資対象としているところである。
 今後とも、定期借地権を活用した質の高い住宅の一層の普及促進のための環境整備に努めてまいりたい。





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