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答弁本文情報

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平成八年七月九日受領
答弁第三五号

  内閣衆質一三六第三五号
    平成八年七月九日
内閣総理大臣 橋本(注)太郎

         衆議院議長 土井たか子 殿

衆議院議員枝野幸男君提出肺血栓症対策に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員枝野幸男君提出肺血栓症対策に関する質問に対する答弁書



一の1について

 厚生省が作成する人口動態統計における死因別死亡数によれば、近年、我が国における肺血栓症を含む肺塞栓症による死亡数は増加している。一般的には、我が国における当該疾病の発生頻度は従来欧米に比べて極めて低いとされていたが、食事の変化により欧米に近づいているとされており、平成七年度に厚生省の特定疾患調査研究事業の血液凝固異常症調査研究班(以下「血液凝固異常症研究班」という。)において、当該疾病の発病の危険は手術後の者、血栓性素因を有する者、高齢者及び肥満の状態にある者に高いと報告されているところである。また、文献等により、比較的軽度の外傷に起因する肺血栓症で突然死に至る場合があることは承知している。

一の2について

 御指摘の疾病に関する調査研究については、平成七年度に血液凝固異常症研究班により深部静脈血栓症とそれに続発する肺塞栓症に関する我が国の診療の現状の実態把握と解析を行い、報告書が取りまとめられたところである。また、国立循環器病センターにおいては、循環器病研究委託費により、昭和六十年度から六十二年度まで「血栓塞栓性肺血管疾患の診断と治療に関する研究」を実施し、平成六年度から「肺動脈血管塞栓症の病態と治療対策に関する研究」を実施しているところである。

一の3について

 一の2についてで示した研究事業の成果の医療機関、医師等への提供については、研究班から研究報告書が医師会、大学の医学部等に送付されており、また、研究者による医学雑誌への論文の発表等が行われているところである。また、平成八年度から国立循環器病センターを中心に循環器病診療総合支援全国ネットワークシステムの構築を開始し、医療機関、医師等がこれらの研究成果を始め必要な医学情報を容易に取得できる体制の整備を進めているところである。

二の1について

 下腿部外傷等の患者に対する肺血栓症の予防としては、一般的に、遺伝的素因により血液中の抗凝固因子の一つであるアンチトロンビンIII(以下「ATIII」という。)欠乏症が疑われる者についてはATIIIの検査を行うとともに、ATIII欠乏症の者に対してATIIIの補充と併せてヘパリンナトリウム、ワルファリンカリウム等の抗凝固薬を投与することが有効であると考えられており、その他の肺血栓症を引き起こし易い者については抗凝固薬を投与することが有効であると考えられている。また、長期入院中の者については早期に離床させることやベット上での下肢の運動等を行わせることが有効であると考えられている。

二の2について

 肺血栓症の予防措置の必要性については、医師及び医療機関はその機能、担当する診療科目等その置かれている状況に応じてこれを認識することが適当であると考える。

二の3及び4について

 肺血栓症の予防措置に関する医師等の認識の状況については把握していないが、社団法人日本医師会の雑誌及び講演会において当該疾病が取り上げられていること等から、当該予防措置に関する知識は着実に普及していると考える。
 肺血栓症の予防措置については、従来から調査研究の成果が研究班から都道府県、医師会等に提供されており、また、厚生省として、循環器病診療総合支援全国ネットワークシステムの拡充を図り、これらの情報を医師及び医療機関に対し、積極的に提供することに努めてまいりたい。

二の5について

 平成七年度において、血液凝固異常症研究班が行った調査によると、回答した静脈治療を行っている医療施設のうちATIII検査等の血栓性素因について検査を実施したものは九十三パーセントであったが、医療法(昭和二十三年法律第二百五号)第二十一条第一項の規定に基づき病院が有すべき臨床検査施設は、同法施行規則(昭和二十三年厚生省令第五十号)第二十条第五号において喀痰、血液、尿、ふん便等について通常行われる臨床検査ができるものと規定されているところであり、病院においては通常行われる検査に対応し得るものと考えているが、御指摘のATIII検査等の血栓性素因に関する検査は当該通常行われる検査には含まれないものとしているところである。また、同法第二十一条第一項の規定に基づき病院が有すべき臨床検査技師等の病院の従業者については、同法施行規則第十九条第一項第六号においては病院に置くべき従業者の員数の標準として病院の実状に応じた適当数と規定されているところであり、御指摘の検査の実施状況については、把握していない。
 医療法第四条の二に規定する特定機能病院等の高度の医療を提供する医療機関については、御指摘の検査が必要な場合に実施できるよう検査施設等の整備について指導してまいりたい。

二の6について

 医療機関相互の機能分担を図るとともに、機能連携を進めることは、効率的な医療提供体制の確立のために重要であると認識しており、各都道府県における検査体制の整った医療機関とそれ以外の医療機関の間での連携強化を促進するため、病診連携推進事業等による助成を行っているところである。

二の7について

 消防機関の救急隊が傷病者を搬送する場合においては、当該救急隊が当該傷病者の症状に応じて最も適応した医療を施すことのできる最寄りの医療機関を選定しているところであり、下腿損傷者等の搬送の場合においても、その重症度等に応じて適切な医療機関を選定するよう努めているところである。





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