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平成九年一月二十八日受領
答弁第八号

  内閣衆質一三九第八号
    平成九年一月二十八日
内閣総理大臣 橋本(注)太郎

         衆議院議長 伊(注)宗一郎 殿

衆議院議員山本孝史君提出血液行政の見直しに関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員山本孝史君提出血液行政の見直しに関する質問に対する答弁書



一の@について

 御指摘のアルブミン製剤、免疫グロブリン製剤等の血液製剤については、国内献血により自給するいわゆる国内自給を達成することを最終目標として、献血血液量の確保、献血血液の有効利用及び血液製剤の使用の適正化に努めており、アルブミン製剤及び免疫グロブリン製剤についても段階的に自給を拡大してきたところであるが、現時点においても、アルブミン製剤の使用量が諸外国と比較して多いこと等の事情が見られることから、国内自給は達成されていない。

一のA及びBについて

 諸外国と比較して使用量の多いアルブミン製剤その他使用の適正化が必要と認められた血液製剤については、厚生省薬務局に設置した「血液事業検討委員会」が昭和六十一年七月に作成した適正使用のためのガイドラインを医療機関等に対し周知徹底することにより、その使用の適正化に努めているところであるが、現時点において、その使用の適正化に関する定量的な目標値は設定していない。
 また、アルブミン製剤等現時点において国内自給が達成されていない血漿分画製剤について、その国
内自給の達成に向けた具体的な計画は策定していない。
 なお、現在、アルブミン製剤の使用の適正化を始め、血漿分画製剤の国内自給に向けた具体的な取組の在り方について、平成八年十月に厚生省薬務局に設置した「血液行政の在り方に関する懇談会」(以下「血液行政懇談会」という。)において、検討を進めているところであり、今後、その検討結果等を踏まえ、一層積極的な取組を進めてまいりたい。

二の@からBまでについて

 御指摘の内容に係る総務庁の「血液事業に関する調査結果に基づく勧告(平成三年八月)」については、厚生省として重要な指摘と受け止めており、こうした指摘等も踏まえ、平成八年には、医薬品による健康被害の再発防止を図るために厚生省内に設置したプロジェクトチームにおいて検討を行い、同年七月に取りまとめた報告において、「血液事業の新たな展開に向けてのあり方を検討し、できるだけ速やかに成案を得て必要な立法措置を講ずるとともに政策全般にわたる総合的な見直しを行う」こととしたところである。
 さらに、この報告を踏まえ、血液行政懇談会において、法制面を含め血液行政の新たな展開に向けての在り方について、検討を進めているところである。

三について

 御指摘の閣議決定(昭和三十九年八月二十一日)「献血の推進について」は、当時、血液製剤の約九割を占めていた保存血液について、その約九割が買血に依存し、その安全性等の面で問題があったことを踏まえ、当該保存血液について可及的速やかに献血により確保する体制を確立することが重要であるとの認識に基づいてなされたものであり、閣議決定時点では、血漿分画製剤の原料血液を含めて献血により確保する体制を確立するとの方針は採られていなかった。

四の@について

 血漿分画製剤は、血液という生体の一部から得られる製剤であり、また、国民の善意によりなされる献血に由来するものであることから、その医療機関への供給に当たっては、国民の理解の得られる形で効率的かつ適正に行われなければならないと考えられ、血漿分画製剤が医療機関に対し薬価基準を大幅に下回った価格で販売されることにより不適正な使用が助長されるような事態が生じることは適切ではないと考えている。

四のAについて

 薬価基準における薬価の具体的な決定は、原則として二年に一回行う薬価調査により得られる市場における当該医薬品に係る実勢価格の加重平均値を基に行っている。血漿分画製剤についても、平成八年九月の薬価調査により市場における実勢価格の加重平均値が現行の薬価基準における薬価よりも大幅に下回っていることが明らかになったものについては、平成九年四月に予定されている薬価改定時に、実勢価格に対応して引き下げることとしたいと考えている。

四のBについて

 平成八年九月の薬価調査によれば、アルブミン製剤(三十二品目)については、平均の値引率が百分の十三であり、最も値引きされていた品目の値引率は百分の十六である。免疫グロブリン製剤(五十二品目)については、平均の値引率が百分の十四であり、最も値引きされていた品目の値引率は百分の二十八である。血液凝固第VIII因子製剤(十一品目)については、平均の値引率が百分の十であり、最も値引きされていた品目の値引率は百分の十二である。血液凝固第IX因子製剤(八品目)については、平均の値引率が百分の十であり、最も値引きされていた品目の値引率は百分の十一である。
 なお、血漿分画製剤の品目ごとの調査結果については、血漿分画製剤製造事業者の個別の営業活動の内容に触れるものであり、商取引に影響を及ぼすおそれがあること等の観点から、答弁を差し控えたい。

四のCについて

 血液製剤が医療機関に対し薬価基準を大幅に下回った価格で販売されることにより不適正な使用が助長されるような事態が生じることは適切ではないと考えている。
 血液製剤を含む医薬品の薬価差については、逐次縮小を図ってきたところであるが、薬価差問題の解消を図るため、現行薬価制度の抜本的見直しに向けて、関係する審議会等において検討を進めてまいりたい。

四のDについて

 血漿分画製剤を含む血液製剤の医療機関への供給については、国民の理解の得られる形で効率的かつ適正に行われる必要があると考えており、その具体的な在り方については、血液行政懇談会における論議の結果等を踏まえ、今後、検討を進めてまいりたい。

五について

 日本赤十字社から民間の血漿分画製剤製造事業者に対する献血由来の原料血漿の提供については、平成二年三月及び平成三年十二月における厚生省、日本赤十字社及び社団法人日本血液製剤協会の三者間の合意に基づいて実施されており、その価格についても、当該合意に基づき原料血漿の種類に応じ定められている。当該価格の設定に当たっては、日本赤十字社の原料血漿の提供に係るコストの外、原料血漿に係る国際取引価格等を勘案しているところである。

六について

 献血申込書等日本赤十字社における献血者及び献血血液に関する記録の保存期間については、現在、医師法(昭和二十三年法律第二百一号)第二十四条第二項に規定する診療録の保存期間を考慮して五年間とされているが、今後、御指摘の血液製剤に係る遡及調査(ルックバック)の在り方、事務処理の体制の在り方等も勘案しつつ検討を要する課題であると認識している。

七について

 児童及び生徒が、他人を援助し、助け合う態度を身に付けることは人間として重要なことであり、学校教育についても現行の学習指導要領の中に、道徳及び特別活動の領域並びに社会等の教科において、人間尊重の精神を生活の中に生かすこと、助け合いや社会への奉仕の気持ちを深めること等について示し、各学校において、児童及び生徒の発達段階に応じた指導が行われているところである。
 献血に係る教育での取組としては、文部省が作成している「高等学校学習指導要領解説(保健体育編)」において、日本赤十字社の諸活動について授業で触れるよう明記し、保健の授業の中で、献血の意義や重要性についても取り上げられている。また、献血を通じた他人への援助等については、学校教育の中で保健の授業以外にも特別活動等の領域において取り組まれているところである。
 今後とも、学校教育において、これらの指導が一層充実されるよう配慮してまいりたい。

八について

 特別休暇は、一般職の職員の勤務時間、休暇等に関する法律(平成六年法律第三十三号)第十九条の規定等に基づいて、特別の事由により職員が勤務しないことが相当である場合に認められる休暇である。成分献血については、任意の時間に、かつ、比較的短時間で行い得るものであり、骨髄液提供の場合のように入院等で一定の時期に一定期間のまとまった日数を要する等の事情にはなく、特別休暇の対象となる特別の事由に該当するものとは考えていない。





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