答弁本文情報
平成九年四月二十五日受領答弁第一四号
内閣衆質一四〇第一四号
平成九年四月二十五日
国務大臣 藤本孝雄
衆議院議長 伊※(注)宗一郎 殿
衆議院議員海江田万里君提出競輪の場外車券場設置許可に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
衆議院議員海江田万里君提出競輪の場外車券場設置許可に関する質問に対する答弁書
(1)について
競輪の場外車券売場の設置は、車両競技審議会の答申(平成五年五月十三日)にも指摘されているとおり、ファンの利便性の向上、ノミ行為の防止、本場の混雑緩和など、競輪の公正かつ円滑な運営に大きく寄与するものであると認識している。
場外車券売場については、自転車競技法(昭和二十三年法律第二百九号。以下「法」という。)第四条第一項に基づき、設置しようとする者が通商産業大臣の許可を得て設置する仕組みになっており、通商産業大臣は、設置許可の申請があった場合、法第四条第二項に基づき、自転車競技法施行規則(昭和二十三年商工省令第二十八号。以下「規則」という。)第四条の三第一項及び「自転車競技法施行規則第四条の三第一項第四号の規定に基づき、場外車券売場の施設の規模、構造及び設備並びにこれらの配置の基準を定めた件」(平成六年通商産業省告示第百九号。以下「場外告示」という。)に定める基準に適合する場合に限り、許可しているところである。
施設の位置、構造及び設備が公安上及び競輪の運営上の観点等に照らして適切でない場合には、当該施設を車券の発売等の用に供することを認めないこととする必要があるため、場外車券売場の設置については、法第四条第一項の規定により許可に係らしめているところである。
一 設置許可に係る審査をする機関について
設置許可に係る審査については、通商産業省組織令(昭和二十七年政令第三百九十号)第九十条第二号及び通商産業省組織規程(昭和二十七年通商産業省令第七十三号)第十八条第八号に基づき、法の施行に関する事務を所掌する通商産業省機械情報産業局車両課(以下「車両課」という。)及び通商産業局商工部が担当しているところである。
二 設置許可の手続の内容について
場外車券売場を設置しようとする者は、法第四条第一項の規定に基づき、通商産業大臣の許可を受けなければならない。許可の申請に当たっては、規則第四条の二第一項の規定に基づき、許可申請書を当該場外車券売場を設置しようとする場所を管轄する通商産業局長を経由して、通商産業大臣に提出しなければならない。
通商産業大臣は、許可の申請があったときは、申請に係る施設の位置、構造及び設備が規則第四条の三第一項及び場外告示において定められている基準に適合するか否かなどについて審査を行うこととなっている。
三 許可申請書の受理の日から許可の日までの平均日数について
許可申請書の受理の日から許可の日までの日数は、案件によって様々であるが、昭和三十年以降に許可した十七件についての平均日数は、約二十八日である。
本件場外車券売場については、通商産業大臣が、平成八年十月三十日に許可申請書を受理し、同年十一月一日に許可したところである。
場外車券売場の設置許可に係る審査に当たっては、法に基づく許可申請書の受理前の段階において、実質的な審査を行うことを通例としており、本件についても、許可申請書の受理前の段階から十分な審査を行っている。
車両課及び関東通商産業局商工部において、平成八年八月に申請予定者から計画概要等の説明を受け、その後、同年九月に許可申請書の原案及び関係資料の提出を受け、これに基づき、法令上の許可の基準に適合しているか否か、あるいは、申請予定者が地域社会との調整を十分行っているか否かなどについて事前の審査を行った。その過程において、申請予定者に対し、必要に応じ調査の指示や内容の確認等を行ったところである。
本件の場外車券売場の設置を許可するまでの間、審査の参考に資するため、本件場外車券売場付近の状況を現地において確認したところであるが、これは、担当である車両課の職員が行ったものである。
御指摘の昭和五十七年の車両競技審議会の答申の後、競輪を取り巻く情勢の変化を踏まえ、平成五年の同審議会の答申において「今後は市(区)町村長の同意書の添付を常に求めるという画一的な運用によるのではなく、施行者と地元市町村との間の協定、周辺町内会等地域を適切に代表する者からの同意書をもってこれに代えるようにする等、個々のケースに応じ適切な運用を行っていくことも検討すべきである。」との考え方が示されている。
本件の場外車券売場については、設置予定地を含む愛宕一之部連合町会を構成する十七町会中の十三町会が誘致願等の形で設置賛成の意思表示を行い、他の四町会も反対の意思表示を行わなかったことなどから、通商産業大臣は、前記平成五年の答申に示された考え方に基づいて、申請者による地域社会との調整が十分に行われたものと判断し、設置を許可したところである。
本件の場外車券売場については、施行者と地元港区との間における地元調整に係る協定は存在しないと承知している。
御指摘の大阪市浪速区の案件とは、同区恵比寿西三丁目二番十四号の案件と考えられるが、当該案件については、地域社会との調整が十分でない状況にあり、設置許可の申請には至っていない。
なお、当該地には廃業したパチンコ店の建屋以外の建築物はないと承知している。
また、場外車券売場の設置許可に係る審査は、車両課及び通商産業局商工部が担当しており、日本自転車振興会が設置許可に係る審査を行ったという事実はない。
日本自転車振興会は、法第十二条の十六第一項第六号及び第七号に基づき、自転車その他の機械に関する事業の振興のための事業の補助(以下「機械工業振興補助」という。)及び体育事業その他の公益の増進を目的とする事業の振興のための事業の補助(以下「公益事業振興補助」という。)を行っている。これらの補助は、日本自転車振興会が、法第十二条の二十第一項に基づき当該補助に係る事業計画及び収支予算について通商産業大臣の認可を得て、実施しているところである。
なお、日本自転車振興会の平成九年度事業計画における機械工業振興補助の対象事業は、公設工業試験場における共同利用施設等の整備拡充を図るための事業、情報化等産業構造改革を推進する事業等の機械工業における技術の向上及び合理化に関する事業並びに貿易構造の高度化を図るための事業等の我が国機械工業における国際交流の推進に関する事業となっている。
また、日本自転車振興会の平成九年度事業計画における公益事業振興補助の対象事業は、サイクルスポーツ施設の整備等事業等の体育の振興に資する事業、老人福祉施設の建築整備事業等の社会福祉の増進に資する事業、成人病予防機器の整備事業等の医療及び公衆衛生の向上に資する事業、自転車利用普及促進事業等の文教その他の公益の増進に資する事業、長野オリンピック冬季競技大会の支援事業並びに非常災害の復旧及び援護のための事業となっている。