答弁本文情報
平成九年五月二十三日受領答弁第二一号
内閣衆質一四〇第二一号
平成九年五月二十三日
衆議院議長 伊※(注)宗一郎 殿
衆議院議員福島豊君提出日産生命保険相互会社の破綻にともなう委託年金資金の取扱いに関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
衆議院議員福島豊君提出日産生命保険相互会社の破綻にともなう委託年金資金の取扱いに関する質問に対する答弁書
一について
日産生命保険相互会社に対して、保険業法(平成七年法律第百五号)第二百四十一条の規定に基づき、保険管理人による業務及び財産の管理を命ずる処分を行ったところであり、同法第二百四十五条の規定によれば、当該処分を受けた保険会社は、業務を停止しなければならないこととされているが、当該業務の中には、解約に関する業務が含まれている。
これは、解約に伴い資金が大量に流失することとなれば、結果的に他の保険契約者に対する保険金等の支払いが不可能となる事態が生じることも予想されるところから、すべての保険契約者間の公平性を確保するとの観点から、解約に関する業務を停止させているものである。
保険管理人に対し、保険業法第二百四十七条第一項の規定に基づき、保険契約の移転を定める計画の作成を命じたところであり、同法に定める所定の手続に従って移転がなされた段階で、保険契約に係る解約返戻金の取扱いについても明らかになるものと考えている。
平成八年三月末現在で、百一の厚生年金基金(以下「基金」という。)が、日産生命保険相互会社との間で年金給付及び一時金たる給付に充てるべき積立金(以下「年金給付等積立金」という。)の運用に関する契約を締結しており、この契約に基づく同社の運用額は約千五百八十一億円であったと承知している。
年金資金の保全に関するお尋ねについては、保険管理人に対し、保険業法第二百四十七条第一項の規定に基づき、保険契約の移転を定める計画の作成を命じたところであり、同法に定める所定の手続に従って移転がなされた段階で、当該契約を含むすべての保険契約に係る取扱いについても明らかになるものと考えている。
基金は、自らの責任において金融機関等と契約を締結し、年金給付等積立金の運用を行っており、年金給付等積立金が年金給付等に必要な額を下回った場合には、自らの責任において不足分の積立を行うべきものであり、これは、金融機関等の破綻に起因する場合であっても同様である。
生命保険会社の情報開示を充実させることは、生命保険会社の経営の透明性を高め、市場規律により経営の自己規正を促す上で重要と考えており、引き続き、可能な限りの情報開示を促してまいりたいと考えている。
なお、日産生命保険相互会社については、平成七年度決算に係る業務及び財産の状況に関する説明書類において、市場性のある有価証券に係る時価情報が開示されているものと承知している。
お尋ねの情報開示については、各生命保険会社としても、他の業態の開示状況をも踏まえつつ、自主的にその充実に努めてきているものと承知している。
情報開示の充実は、生命保険会社の経営の透明性を高め、市場規律により経営の自己規正を促す上で重要と考えており、引き続き、その充実を促してまいりたいと考えている。
早期是正措置については、生命保険会社の経営の自己責任、行政の透明性が求められている中で、銀行の場合と同様に、生命保険会社についても早期是正措置制度の意義は認識しているところであり、その導入について検討を進めてまいりたいと考えている。
保険会社が破綻した際の年金資金に係る保険契約者を含む保険契約者等の保護については、平成八年四月の保険業法の施行に伴い、破綻保険会社の保険契約を引き受ける救済保険会社に対して資金援助を行い、保険契約の移転等を円滑に進めることを目的とする「保険契約者保護基金」が設立されているところである。
さらに、救済保険会社が出現しない場合においても、保険契約者等の保護を可能な限り図るため、その方法について、支払保証制度に関する研究会の場で、現在鋭意検討を進めているところである。