衆議院

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平成九年六月二十七日受領
答弁第二四号

  内閣衆質一四〇第二四号
    平成九年六月二十七日
内閣総理大臣臨時代理
 国務大臣 武藤嘉文

         衆議院議長 伊(注)宗一郎 殿

衆議院議員枝野幸男君提出食品添加物「臭素酸カリウム」に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員枝野幸男君提出食品添加物「臭素酸カリウム」に関する質問に対する答弁書



一について

 参議院議員竹村泰子君提出小麦と小麦粉の安全性に関する質問に対する答弁書(平成九年三月二十一日内閣参質一三九第一号。以下「政府答弁書」という。)は、厚生省がん研究助成金による昭和五十六年度の研究報告を踏まえ、食品衛生調査会から臭素酸カリウムはF三四四ラットに発がん性が認められたこと等から食品に残留することは好ましくないとする意見具申が厚生大臣に対してなされたことを受けて、食品衛生法(昭和二十二年法律第二百三十三号)第七条第一項に基づいて定められた食品、添加物等の規格基準(昭和三十四年厚生省告示第三百七十号。以下「規格基準告示」という。)のうち、臭素酸カリウムに関する部分を改正し、臭素酸カリウムは、小麦粉を原料として使用するパン以外の食品に使用してはならないこと、臭素酸カリウムの使用量は、臭素酸として、小麦粉一キログラムにつき〇・〇三〇グラム以下でなければならないこと及び使用した臭素酸カリウムについては、最終食品の完成前に臭素酸カリウムを分解又は除去しなければならないこととしたこと等について答弁したものである。

二について

 規格基準告示における「最終食品の完成前に臭素酸カリウムを分解又は除去しなければならない。」との規定は、測定の時点における分析技術の水準及び当該規定の内容に照らして適切な方法を用いて測定した場合に、最終食品であるパンから小麦粉に使用した臭素酸カリウムが検出されてはならないという趣旨であると考えている。

三について

 御指摘の点について、臭素酸カリウムに関する我が国及び英国等の取扱いの状況並びにその取扱いを行う理由又は根拠を、これまでに得ている資料により承知している内容に基づいて整理すると、次のとおりである。

臭素酸カリウムに関する我が国及び英国等の取扱いの状況並びにその取扱いを行う理由又は根拠

臭素酸カリウムに関する我が国及び英国等の取扱いの状況並びにその取扱いを行う理由又は根拠

 なお、米国においては、我が国と同様、一定の限度を設けた上で小麦粉への使用が認められていると承知している。

四について

 厚生省に対し、本年四月に社団法人日本パン工業会から、「現時点では臭素酸カリウムの使用を自粛することを改めて申し合わせた」旨の報告があり、同年六月に日本イースト工業会及び日本プレミックス協会から、臭素酸カリウムを今後とも使用しないことを改めて申し合わせた旨の報告があったところである。

五について

 社団法人日本パン工業会、日本イースト工業会及び日本プレミックス協会(以下「社団法人日本パン工業会等」という。)は、我が国のそれぞれの業界におけるすべての事業者を包含するものではないこと、冷凍パン生地等として輸入されているものがあることから、社団法人日本パン工業会等が現時点において臭素酸カリウムのパンへの使用を自粛したという事実のみをもって、直ちに臭素酸カリウムを食品衛生法第六条に基づいて厚生大臣が定める添加物(以下「食品添加物」という。)から除外することは適当ではないと考えている。

六について

 御指摘のFAO、WHOのA(1)ランクの分類については、昭和五十四年を最後に公表されていないと承知している。また、一日摂取許容量については、FAO、WHOにおいては従来から臭素酸カリウムに関しては、これを設定していないと承知している。なお、三についてで述べたとおり、JECFAにおいて平成四年に臭素酸カリウムは小麦粉処理剤としての使用は適当でないとの結論が出されたところである。我が国においては、規格基準告示において、最終食品の完成前に臭素酸カリウムを分解又は除去しなければならないと規定しており、御指摘の点から直ちに臭素酸カリウムを食品添加物から除外しなければならないとは考えていない。
 次に、御指摘の「食品添加物の指定における当面の対応について」(昭和五十八年四月十一日食調第二号食品衛生調査会毒性・添加物部会意見報告。以下「部会報告」という。)は、第一項においては添加物指定要請に基づき食品衛生調査会の毒性及び添加物部会合同部会が審議対象とする添加物の考え方について、第四項においては添加物の使用基準の検討の考え方について述べているものである。これらはいずれも昭和五十八年当時、我が国の市場開放の推進に伴う食品の輸入の増大に対応して、新たに食品添加物を定めること等に関する考え方を述べているものであり、既存の食品添加物を除外することについての考え方を述べているものではない。また、臭素酸カリウムは、御指摘のように部会報告の第二項でいう日本独自の添加物に当たらないものである。したがって、部会報告との関係においては、臭素酸カリウムを食品添加物から除外するという考え方は出てこないものと考える。
 なお、添加物の取扱いについては、平成八年三月、食品衛生調査会の答申に基づき、「食品添加物の指定及び使用基準改正に関する指針について」(平成八年三月二十二日衛化第二十九号厚生省生活衛生局長通知。以下「平成八年指針」という。)を示したところであり、現在は平成八年指針に基づいて取り扱っているところである。

七及び八について

 政府答弁書の五の5についてで答弁した試験成績は、厚生省環境衛生局食品化学課「厚生省食品化学レポートシリーズNo.一二 一九八二」及び社団法人日本食品衛生学会第四十一回学術講演会要旨において公表されており、その概要は次のとおりである。また、政府答弁書の四の2、3及び4についてで答弁した食品衛生調査会における基準値の決定においては、当該試験成績に基づいて審議を行ったところである。
 1 臭素酸の含有率(当該物質の重量をその物質が含まれる物の重量で除した数をいう。以下同じ。)が〇から百万分の千までとなるように臭素酸カリウムを添加した小麦粉を用いて食パンを製造した後、イオンクロマトグラフ法により食パン中に残存する臭素酸を測定したところ、含有率百万分の五十の添加では痕跡程度であったが、含有率百万分の四十以下の添加では検出されなかった。
 2 臭素酸カリウムの含有率を〇から百万分の千の範囲で八段階に添加した小麦粉を用いてパンを製造した後、陰イオン交換樹脂カラム ― 比色法により残存する臭素酸を測定したところ、臭素酸カリウムの含有率百万分の六十五(臭素酸の含有率百万分の五十)以下の添加では当該検査方法の定量限界(含有率百万分の一)以下であった。
 また、厚生省は、本年三月、国立衛生試験所等の試験機関から、臭素酸の含有率が〇、百万分の十五、百万分の三十及び百万分の六十(小麦粉一キログラムにつき、それぞれ〇・〇一五グラム、〇・〇三〇グラム及び〇・〇六〇グラム)となるように臭素酸カリウムを添加して試製した食パン、山型パン及びロールパンについて、高速液体クロマトグラフ法、ガスクロマトグラフ法及びイオンクロマトグラフ法の三種の方法により臭素酸の測定を行ったところ、高速液体クロマトグラフ法及びガスクロマトグラフ法を用いた測定(いずれも検出限界は含有率十億分の十)によれば、食パン及び山型パンでは含有率百万分の三十以下の添加ではいずれも検出されなかったが、ロールパンでは含有率百万分の三十以下の添加においても検出されたこと並びにイオンクロマトグラフ法による測定では、パン中のたんぱく質、脂肪酸等の影響により、正確な値を求めることは困難であったことについて報告を受けているところである。
 一般に、食品中の添加物の測定法については、科学技術の進歩に応じた見直しを行うことが必要であると考えており、臭素酸カリウムの測定法についても見直す方向で検討しているところである。

九について

 八についてで答弁したとおり、一般に、食品中の添加物の測定法については、科学技術の進歩に応じた見直しを行うことが必要であると考えており、臭素酸カリウムの測定法についても見直す方向で検討しているところである。

十、十一及び十二について

 お示しのICP ― MSによる分析方法及びその結果については、報告書中に測定値の分散等の精度、分析対象物に対する分析方法の特異性、分析対象物の検出限界等に関する十分な記述が無いため、当該分析方法及びその結果について、厚生省として科学的な評価を行うことは困難であり、当該報告書の記述のみをもって、直ちに臭素酸カリウムの取扱いについて見直しを行う必要性があるか否かを判断することはできない。
 なお、当該分析結果において臭素酸カリウムを検出したとする五銘柄のパンのうち、入手できた三銘柄について、国立衛生試験所等の試験機関で高速液体クロマトグラフ法及びガスクロマトグラフ法(いずれも検出限界は含有率十億分の十)により試験を行ったところ、いずれのパンからも臭素酸カリウムは検出されなかった。

十三について

 社団法人日本パン工業会等における臭素酸カリウムの使用の自粛は、いずれも各団体の構成員が自主的に申し合わせたものであり、構成員がその申合せに反したか否か及び申合せに反した場合の措置については、当該団体において判断されるべきであると考える。

十四及び十五について

 部会報告は、六についてで述べたとおり、昭和五十八年当時、我が国の市場開放の推進に伴う食品の輸入の増大に対応して、新たに食品添加物を定めること等に関する考え方を述べているものであり、現在の取扱いは平成八年指針に基づいて行っているところである。
 五についてで述べたとおり、社団法人日本パン工業会等は我が国のそれぞれの業界におけるすべての事業者を包含するものではないこと、冷凍パン生地等として輸入されているものがあることから、社団法人日本パン工業会等が現時点において臭素酸カリウムのパンへの使用を自粛したという事実のみをもって、直ちに臭素酸カリウムを食品添加物から除外することは適当ではないと考えている。
 臭素酸カリウムについては、規格基準告示において、「使用した臭素酸カリウムについては、最終食品の完成前に臭素酸カリウムを分解又は除去しなければならない。」と規定していることから、直ちにその取扱いについて見直しを行う必要があるとは考えていない。
 また、現在の食品添加物のうち臭素酸カリウムと同様に、事業者において申合せ等により使用の自主規制が行われているものは承知していない。



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