答弁本文情報
平成九年七月十八日受領答弁第二八号
内閣衆質一四〇第二八号
平成九年七月十八日
衆議院議長 伊※(注)宗一郎 殿
衆議院議員中川智子君提出高速増殖炉もんじゅ・アスファルト固化処理施設の安全審査とプルサーマル計
画に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
衆議院議員中川智子君提出高速増殖炉もんじゅ・アスファルト固化処理施設の安全審査とプルサーマル計 画に関する質問に対する答弁書
一の1について
原子力安全委員会原子炉安全専門審査会研究開発用炉部会高速増殖原型炉もんじゅナトリウム漏えいワーキンググループが平成八年九月十九日付けで取りまとめた報告書「動力炉・核燃料開発事業団高速増殖原型炉もんじゅ二次系ナトリウム漏えい事故に関する調査審議の状況について」においては、高速増殖原型炉もんじゅ(以下「もんじゅ」という。)の原子炉設置許可申請書等の考え方に従い、もんじゅの異常時運転手順書が作成されるべきである旨の指摘がなされているが、科学技術庁原子力安全局原子炉規制課においても、もんじゅの異常時運転手順書がもんじゅの原子炉設置許可申請書等の考え方に従い作成されるべきであると考えており、両者の見解は矛盾するものではない。
また、原子炉設置者は、主務大臣の設置の許可を受けた原子炉に係る設置許可申請書の記載事項(以下「原子炉設置許可申請書記載事項」という。)に従う必要がある。
原子炉設置者は、原子炉設置許可申請書記載事項に従う必要がある。原子炉設置者は、原子炉設置許可申請書記載事項のうち、核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律(昭和三十二年法律第百六十六号。以下「原子炉等規制法」という。)第二十三条第二項第二号から第五号まで又は第八号に掲げる事項を変更しようとするときは、同法第二十六条第一項の規定に基づき、主務大臣の許可を受けなければならないとされている。ただし、同法第二十三条第二項第四号に掲げる事項のうち工場又は事業所の名称のみを変更しようとするときは、この限りでないとされている。また、原子炉設置者は、原子炉設置許可申請書記載事項のうち、同法第三十二条第一項に規定する場合を除き、同法第二十三条第二項第一号、第六号又は第七号に掲げる事項を変更したときは、同法第二十六条第二項の規定に基づき、その旨を主務大臣に届け出なければならないとされており、同法第二十三条第二項第四号に掲げる事項のうち工場又は事業所の名称のみを変更したときも同様とされている。
原子炉等規制法第二十六条第一項の規定に基づき原子炉設置者が主務大臣の設置の許可を受けなければならない事項を許可を受けることなく変更したことが同法第六十八条第一項の規定に基づく立入検査等により判明した場合、同法第三十三条第二項の規定に基づき主務大臣は設置の許可を取り消し、又は運転の停止を命ずることができ、同法第七十八条の規定に基づき原子炉設置者は一年以下の懲役等に処せられる。また、同法第二十六条第二項又は第三項の規定に基づき原子炉設置者が主務大臣に変更の届出を行わなければならない事項の届出を怠ったことが同法第六十八条第一項の規定に基づく立入検査等により判明した場合、同法第八十三条の規定に基づき原子炉設置者は過料に処せられる。もんじゅの原子炉設置許可申請書の記載事項については、原子炉設置者が主務大臣の許可を受けなければならない事項を許可を受けることなく変更した事実や主務大臣に変更の届出を行わなければならない事項の届出を怠った事実はない。
また、御指摘の「もんじゅの場合、動燃は、二次系ナトリウム漏洩に際し、漏洩ループのナトリウムドレンに必要な二次ナトリウム充填ドレン系機器(主に弁等に用いられている電気計装品)の機能維持を図るため、緊急ドレンに必要な弁操作完了までは換気装置は止めない設計・運転マニュアルを採用していた」との事実はない。
原子炉等規制法においては、原子炉を設置しようとする者等又は主務大臣の許可を受けた原子炉等に係る設置許可申請書等に記載される原子炉等の位置、構造及び設備等を変更しようとする原子炉設置者等は、主務大臣の許可等を受けなければならないこととされている。主務大臣は、原子炉等の位置、構造及び設備が核燃料物質等による災害の防止上支障がないものであること等の基準に適合していると認めるときでなければ許可等をしてはならないこととされており、許可等をする場合においては、あらかじめ、当該基準の適用について原子力安全委員会の意見を聴き、これを十分に尊重しなければならないこととされている。当該許可等に当たっての主務大臣及び原子力安全委員会の安全審査は、最新の科学技術的知見に基づき行われる。なお、当該審査の内容は、科学技術庁等の安全審査書及び原子力安全委員会の答申において記載されており、これらは公開されている。
再処理施設アスファルト固化処理施設(以下「固化処理施設」という。)の設置については、動力炉・核燃料開発事業団法(昭和四十二年法律第七十三号)第四十条第二項の規定に基づく内閣総理大臣の命令に基づき、動力炉・核燃料開発事業団(以下「動燃」という。)から「再処理施設の一部変更に係る安全性に関する書類」(以下「安全性に関する書類」という。)を内閣総理大臣あてに提出し、昭和五十三年九月二十日付けで安全上支障がないものと認められたところである。安全性に関する書類においては、「アスファルト充てん室およびエクストルーダ室には、炭酸ガス吹き出し設備を、貯蔵セルおよびアスファルト貯蔵室には、水噴霧設備を設ける」、「以上の対策によって、火災事故が起こることは考えられないが、万一に備えて、火災報知機、消火設備等を設けて、重大な事故に至らないようにする」と記載されていた。また、アスファルト充てん室に炭酸ガス吹き出し設備とともに水噴霧設備を設けることについては、原子炉等規制法第四十五条第一項の規定に基づく再処理施設に関する設計及び工事の方法の認可が昭和五十四年十二月二十四日付けでされており、さらに、水噴霧ノズルの追加措置等については、同法第四十五条第二項の規定に基づく再処理施設に関する設計及び工事の方法の一部変更の認可が昭和五十七年十二月三日付けでされている。
御指摘の混合速度に関する運転条件及び「九七 ― M四六 ― 一キャンペーン運転計画書」については、法令に基づく許認可等の対象とはされていない。
現在、固化処理施設の消火設備の設置等については、以上のような事実を踏まえ、安全審査の在り方を含め、「東海再処理施設アスファルト固化処理施設における火災爆発事故調査委員会」において検討しているところである。
「原子力の研究、開発及び利用に関する長期計画」(平成六年六月二十四日原子力委員会決定。以下「長期計画」という。)においては、混合酸化物燃料(以下「MOX燃料」という。)を再処理することによって得られたプルトニウム等のリサイクルの回数は想定されていない。また、現在のところ、そのような回数を定める基準はない。
原子力安全委員会が平成七年六月に発電用軽水型原子炉施設に用いるMOX燃料の核分裂性プルトニウムの富化度を八パーセントまでとすることを条件としてプルサーマルの安全審査を行う旨決定したとの事実はない。
日本原燃株式会社は、平成四年十二月二十四日に、原子炉等規制法第四十四条第一項の規定に基づき、六ヶ所再処理・廃棄物事業所における再処理の事業の指定を受けたが、当該指定に係る申請書において記載されている再処理を行う使用済燃料の種類には、使用済MOX燃料は含まれていない。長期計画においては、民間第二再処理工場を、軽水炉MOX燃料も再処理が可能なものとすることとされている。
燃焼度がトン当たり三万メガワット日以上の使用済MOX燃料の再処理の実績としては、平成四年に、フランスにおいて、燃焼度がトン当たり約三万から四万メガワット日のMOX燃料約六・八トンが再処理されたと承知している。
国内における商業的規模での軽水炉MOX燃料の再処理に関し、長期計画は、軽水炉MOX燃料の再処理も可能な民間第二再処理工場の建設計画について、二千十年頃に再処理能力、利用技術などについて方針を決定することとしている。